益母草

益母草[ヤクモソウ]

Leonuri Herba

ヤクモソウは母によい草として、日本の民間薬でよく用いられてきた生薬です。

益母草
メハジキLeonurus sibiricus Linné(Leonurus japonicus Houttuyn)の花期の地上部。晩夏の頃、淡い紅色の小花を咲かせるシソ科の植物です。
ヤクモソウの効果と効能

ヤクモソウは、お血(血流障害)を除いて血行を促す、月経を整える、利尿して水腫を除くなどの作用がある婦人薬です。浄血・新陳代謝・補精の薬として、婦人の産前産後や血の道といわれる症状に用いられます。中国では、ヤクモソウの種子をジュウイシと呼び、ヤクモソウと同様に血流改善効果を期待して、不正出血・月経過多などに用いられます。目の症状にも効果があり、視野を明るくするといわれています。
ヤクモソウには、ルチンや結晶性アルカロイドのレオヌリンなどの有効成分が含まれているため、腎臓炎によるむくみにも効果のあることが実証されています。熱に弱いヤクモソウの場合、煎じるのではなく薬酒にして取るのが効果的です。

益母草
ヤクモソウこぼれ話

ヤクモソウの名の由来は、婦人の病気に優れた効力があるからとされています。欧米でも、Mother wort(母の草)と呼んでいます。古書に「ヤクモソウを久しく服すれば子をもうけしめる」と記載されているように、子宝の薬草としても利用されてきました。ヤクモソウはメハジキの地上部のことで、茎をまぶたに挟んで遠くに飛ばす「目弾き」遊びから名付けられました。学名の「Leonurus」は、ギリシャ語の「ライオンの尾」が由来です。長い花穂がライオンの尾に見えるためと伝えられています。
西洋でも、古くはローマ時代からヤクモソウの仲間は重要な薬でした。心臓によいハーブとされ、「心臓の暗い気を取り去り、楽しく快活で陽気にするためにはこれ以上優れたハーブはない」と、ハーブ療法の古書にも記載されています。

icon_reference参考文献一覧

  • 朝日百科 植物の世界シリーズ 朝日新聞社
  • 漢方210処方生薬解説 昭和漢方生薬ハーブ研究会編 じほう
  • 漢方診療のレッスン 花輪寿彦 金原出版
  • 漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳・編 医歯薬出版
  • 薬になる植物百科 田中孝治 主婦と生活社
  • 漢方のくすりの事典-生薬・ハーブ・民間薬- 米田該典監修・鈴木洋著 医歯薬出版
  • 月刊漢方療法 Vol.1 No.4(1997-7) 滝戸道夫 薬草百話ベニバナ
  • 健康と病の民俗誌 医と心のルーツ 宗田一 健友館
  • 世界薬用植物百科事典 A.シェヴァリエ原著・難波恒雄監訳 誠文堂新光社
  • 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学館
  • 都薬雑誌 Vol.19 No.9 、Vol.26 No.2
  • 日本薬草全書 水野瑞夫監修・田中俊弘編集 新日本法規
  • 日本のハーブ事典 村上志緒 東京堂出版
  • 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
  • マムシ愛用 栗原愛塔 徳間書店
  • 身近な漢方薬材事典 鈴木昶 東京堂出版
  • メディカルハーブ 英国ハーブソサイエティ編 日本ヴォーグ社
  • モノグラフ 生薬の薬効・薬理 伊田喜光・寺澤捷年監修 医歯薬出版
  • 薬用ハーブの機能研究 健康産業新聞社

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