立木の枝葉のある部分を、専門用語で「樹冠(じゅかん)」または、
「クローネ」と呼びます。
また、森の中で一本一本の立木の樹冠が連なっている部分を
「林冠(りんかん)」と言います。
この写真は、いわゆる「林冠が閉鎖した状態」であり、林内に光が
入りにくい状態になっています。
アカマツは太陽の光に対して敏感な樹種なので、林冠が閉鎖すると、
光が当たらなくなった下の方の枝葉は、自らどんどん枯らしていきます。
ですから、この写真の様に込み合ったアカマツ林では、生きている枝葉
が上の方にしかありません。
枝葉が少なくなれば、一本一本の立木は幹の太りが悪くなり、
森の中には、成長の悪い木や立ち枯れ木が増えて行きます。
こちらは、整備後の様子です。
(※注 上の写真と同じ場所ではありません)
そこで、抜き切りの伐採で、林冠に隙間を作ってあげますと、
林内に光が差し込んで、地面周辺の木々が元気になってきます。
大きく切り開かれた所には、シラカバの幼木が沢山生えてきました。
伐採されたアカマツの命は、新しいシラカバの幼木に引き継がれました。
ちなみに、シカラバの幹は、5~6年目、樹高2~3m辺りから少しづつ
白くなっていくようです。
やっしんでした。
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この写真は、記念館・カフェから縄文式復元住居方向を見た、現在の林内の様子です。
同じ場所の整備前の様子を見てみましょう。
この写真は、森林整備前の2009年3月の写真です。
鬱蒼としていて、林内の散策路へも踏み出しにくい雰囲気がありました。
この場所は、2010年1月頃に、主にアカマツの抜き切り伐採を行いました。
こちらは整備1年後、2011年5月上旬の様子です。
2011年6月末(初夏)の様子です。
2011年11月初旬の様子です。
林内に光が差し込んで明るくなり、記念館・カフェから遊歩道の先に
縄文住居が見え隠れするようになり、林内へ入りやすい雰囲気に変わりました。
写真の手前部分は、かなり切り開かれてオープンスペースができましたが、
そこにはシラカバなどの木が自然に生えてきて、新しい森がスタートして
いる様子が観察できます。命が引き継がれていく自然の力を感じることができます。
1番右側の赤い大きなものは、排気量60cc以上、ガイドバーの長さは60cmです。
右から2,3番目のオレンジは、排気量40cc、ガイドバーは40cmです。
4番目の赤は、排気量35cc、ガイドバーは35cmです。
左側の2つのオレンジは、トップハンドルというタイプで、主に樹上や高所作業車の
上で、枝下ろし作業に使います。排気量は39cc、ガイドーバーは35cmです。
次に、手動の牽引具です。偏心木の重心移動に使います。
つまり立木が伐倒方向と異なる方向へ傾いている時、一本梯子に登って高い位置に
ワイヤーを括り付け、滑車で方向を折り返して、牽引具で引っぱります。
黄色い器具はキトープリップといってワイヤーロープの長さを調整する器具です。
ここで使っているワイヤーロープの終端処理のアイ加工は私がやっています。
ちなみに、これは「巻き差し」という方法で編んだものです。
ここで、私の腰道具を紹介します。
腰ベルトは林業用の安全帯に腰パットを追加したものです。
胴綱は木にワイヤーロープを括りつける時など、一本梯子を登る時に使います。
ポケットの中身は、
チェーンソー用のプラグレンチ、
チェーンソーの目立て(刃を研ぐ事)用丸ヤスリと定規付きのやすりハンドル、
リフティングトング(丸太を運ぶ)、
クサビ、
手トビ(丸太を移動したり、クサビを叩くこともできる)、
などが入っています。
森の中で道具を落としても見つけ易いように、目立つ色のテープなどを付けています。
さて、これから、本格的に森林整備作業が始まります。
健康の森に来られて、チェーンソーの音を耳にしましたら、
それはおそらく、私たちが働いている音ですので、
よろしくお願い致します。
この写真は、縄文式復元住居入口の看板周辺の現在の様子です。
実は、健康の森では、2008年から構内森林の整備計画を立て、
少しずつ整備を進めています。
具体的には例えば、立木を抜き切りで伐採したり、林床植生を選択的に
刈り込んだりしています。
同じ場所の整備前の様子を見てみましょう。
この写真は、森林整備前の2009年3月の写真です。
立木の幹が混んでいて、林内を見通せず、
上部は枝葉に覆われて、林内にあまり陽が差し込まない状態でした。
森林整備は計画的に、自営工事で少しずつ進めています。
この場所は、2010年1月頃に、主にアカマツの抜き切り伐採を行いました。
整備1年後の様子を見てみましょう。
2011年5月上旬の様子です。
林内の空間が広がり、上部にも隙間ができて、林内に陽が差し込むようになりました。
アカマツに被圧されていた、山桜も花がよく見える様になりました。
2011年6月末の様子です。
アカマツ林内にあった広葉樹が元気に葉を茂らせ、
下層の低木も活き活きしてきました。
2011年11月初旬の様子です。
林内に差し込んだ光の加減で、カエデの紅葉がとても美しくなりました。
森林整備(伐採)は主に冬の仕事です。
この冬も、年明けから本格的に森林整備作業が始まりました。
と言うわけで、これから先、この健康の森ブログでも
養命酒が取り組んでいる森林整備について、
健康の森が目指すものや、現状どんな森なのか、整備計画の内容、作業の様子、
森がどう変わってきたかなど、様々紹介して行きたいと思いますので、
ご期待ください。
枯れ草に巻き付いた鮮やかな赤がよく目立ちます。
赤い実の中には、白くてスポンジ状の果肉と黒くて小さな種が入っています。
こちらは、「リンドウ」の花です。
既に何度も霜が降りて、朝はかなり冷えますが、
リンドウの花はまだ咲いています。
この時期のリンドウは、赤く紅葉した葉と青紫の花
の組み合わせが特にキレイです。
これは、「ムラサキシキブ」の実です。
森の中で、この様なハッキリした紫色はインパクトありますね。
そういえば数年前、テレビなどでよく源氏物語の
特集番組やっていましたよね。
晩秋の健康の森、注意深く眺めながら歩いてみたら、
普段気が付かないようなものに、出会えるかもしれません。
【11月14日】
【11月16日】
【11月19日】
木の根元は、落ち葉のジュータンになりました。
左が「コハウチワカエデ」、右が「オオモミジ」の葉です。
「健康の森」では、コハウチワカエデが一番多いのではないでしょうか。
ちなみに、
きれいな落ち葉は、新聞紙に挟んで重石をして乾燥させた後、
ラミネータでパウチシートに保存すると長く楽しめます。
長々、お付き合いいただき、ありがとうございました。
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カエデの仲間はかなり、葉が疎らになってきました。
撮影ポイントでもある川辺のコハウチワカエデも、
葉が残り少なくなってきました。
落葉も盛んで、朝の掃除(落ち葉飛ばし)は大変です。
縄文住居から弥生住居への道路は、正に落ち葉のジュータンです。
これはこれで、情緒がありますね。
道路沿いから見えるコアジサイの黄葉もきれいですね。
弥生住居周辺のカラマツの黄葉は、信州らしい景観です。
ところで、「落葉(らくよう)」ですが、
みなさんは、落葉樹なんだから、秋に葉が落ちるのは
当たり前と思っていませんか?
実は「落葉」は植物にとって、老廃物の排出という意味を持った
ちゃんとした生理作用です。
ですから「落葉」する前に、葉に残っている有用物質を茎の
方へ回収し、不用物質を葉に移動させます。そして、
葉の付け根に、落葉した痕を保護する「離層(りそう)」
という特殊な組織を作ってから、葉っぱを切り離します。
例えるなら、宇宙ステーションからスペースシャトルを
切り離す時、人や物が移動した後、相方のハッチを
きちんと閉じてから切り離すようなものですね。
ですから夏場などに、強い風などで突然折れてしまった枝
の葉っぱは、離層ができていないので、枯れてもなかなか
「落葉」しません。
またカシワの木などは、離層の発達が未熟で、春まで枯れた
葉っぱが残ってしまいます。芽吹きの頃に葉が落ちるので、
世代が途切れないという縁起の良い木として、庭木に使われます。
11月中は、まだまだ晩秋の雰囲気が楽しめる健康の森、
暖かい飲物と、スタッフの笑顔が皆様をお待ちしております。
カフェテラスから森の方を見ます。
カフェテラスから縄文住居へ散策路を歩いて行きます。
道路から縄文住居への入口付近です。
日差しの加減で、昼前後の時間帯が特にきれいです。
逆光気味に太陽光で葉っぱを透かすように撮影するのが、私のお気に入りです。
そもそも紅葉(こうよう)とは、
葉緑素が分解されると同時に、葉にたまった糖分がアントシアンという
紅色の色素に変わると葉は赤く色づき、アントシアンが形成されない葉
では、葉緑体にあったカロチノイドという色素が目立つようになって、
葉は黄色に色づきます。
アントシアン形成とカロチノイドの程度によって葉は様々な色調を示す
のだそうですよ。
構内の色づきを樹種で分けてみますと、、、
赤系 高木~小高木類
カスミザクラ、コハウチワカエデ、コミネカエデ、ナナカマドなど
赤系 低木類
ドウダンツツジ、ミツバツツジ、ホツツジ、ナツハゼ、
ニシキギ、ヤマウルシなど
赤~黄色 高木~小高木類
ウワミズザクラ、ケヤキ、エンコウカエデ、リョウブなど
黄色 高木~小高木類
シラカンバ、ミズメ、ウダイカンバ、コシアブラ、
コナラ、ミズナラ、クヌギ、クリ、
ウリハダカエデ、マルバカエデ、カラマツなど
黄色 低木類
ノリウツギ、クロモジ、コアジサイ、ダンコウバイ、
ヤマハギなど
ちなみに、ヤマハンノキやヤシャブシなどは紅葉せず、
緑から茶に変わって落葉してしまいます。
こちらは、養命酒に生薬の烏樟(ウショウ)としても使われている
「クロモジ(クスノキ科)」です。
輝く様な黄色がきれいですね。
紅葉の見頃は、あと1週間から10日くらいでしょうか。
紅葉は、自然の色彩が見せる一瞬の煌めき、見逃さないように
したいものです。
カフェテラスでは、暖かいお飲物を用意してお待ちしておりますので、
是非、お出かけください。
林内の刈り込み作業も、冬の前の仕上げに入っています。
そんな作業中、道路沿いの草むらに「クサボケ」の実を見つけました。
刈り取らない様に注意していましたので、
春には、地面近くにオレンジ色の花を咲かせ、
秋になって、無事、実をつけました。
梅酒のように果実酒にすると美味しいそうですよ。
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