生理前になるとめまいや立ちくらみが起きて悩んでいる。もしかしたら、それはPMSなどの疾患(病気)かもしれません。生理前にめまいや立ちくらみが起きる原因や、いざというときの対処法、日頃からできる予防法をまとめました。体の不調の解決に向けて一緒に情報をチェックしていきましょう。
生理前にめまい・立ちくらみが起こる原因とは?

生理前のめまいは、PMS・貧血・低血圧・片頭痛が原因で引き起こされている可能性があります。
PMS(月経前症候群)
PMS(月経前症候群)とは、生理の10日〜数日前あたりから起きる身体的・精神的な不調の総称です。めまいは身体的な不調の一つといえるでしょう。
PMSの主な原因とされているのが、女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンによって、体に水がたまってむくみが起こります。中でも、平衡感覚を司る内耳の一部に水がたまったときに「めまい」につながります。
プロゲステロンの影響のほかでは、睡眠不足・栄養不足・ストレスなどがPMSの原因として挙げられてはいます。しかし、完全には解明されていません。しかも、症状が重なって状態の悪化につながる恐れもあります。
貧血(鉄欠乏性・虚血性)
貧血によって生理前にめまいが起きる場合もあります。生理によって血液が不足するため、女性は貧血になりやすいです。中でも多いのが、赤血球の中にある「ヘモグロビン」が減少することで起きる「鉄欠乏性貧血」です。
ヘモグロビンは酸素を運搬する役割を果たすため、体が酸素不足になり、めまいや立ちくらみにつながる恐れがあります。ほかに、生理によって子宮周辺に血液が集中し、脳の血液量が不足して起きる「虚血性貧血」もめまいの原因といわれています。
低血圧・起立性低血圧
低血圧も生理前のめまいの原因といわれています。低血圧の人は、脳への血液循環が不足しがちでめまいを起こしやすいです。生理周期中には、ホルモン「プロスタグランジン(E1)」による血管を拡張させて血圧を下げる作用で血行不良になり、脳に巡る血液が不足しやすいのです。
また、ホルモンバランスが安定しない思春期の場合は、急に起き上がる・立ち上がるときに、脳への血流が一時的に不足して起きる「起立性低血圧」(いわゆる立ちくらみ)も多いといわれています。
片頭痛(前庭性片頭痛)
日頃から頭痛を感じやすい「片頭痛」の方も、生理前にめまいや立ちくらみを起こしやすいです。片頭痛が原因でめまいを生じさせることは、「前庭性片頭痛」という疾患としての概念が確立されたり診察基準が設けられたりしています。前庭性片頭痛の特徴は下にまとめたとおりです。
- 〔前庭性片頭痛の特徴〕
- 30〜40歳代に多い
- 男性の3〜4倍ほど女性に多い
- めまいの持続時間が5分〜3日間と幅広い
- 日常生活に支障をきたす中等度から、重度のめまいが生じる
- 光・音・においに過敏になり、屋内に閉じこもりたくなる
- めまいと頭痛が併発することがあり、日常の動作だけで頭痛が増悪する
- 生理や月経とめまいや頭痛が連動する
- ギザギザした線や光が目の前で見えることがある
- 自分や周りがグルグル回るような回転性のめまいが生じる
- 体がフワフワするような浮遊感が起こる
なお、前庭性片頭痛は女性ホルモンの変動(自律神経のバランスを整える「エストロゲン」の減少や、プロゲステロンの増加)が引き金となって起こる場合があります。激しい頭痛を必ずしも伴うとは限らない点も注意しましょう。
すぐできる! 生理前にめまい・立ちくらみが起こったときの対処法

生理前のめまいや立ちくらみが起きたとしても焦らなくて大丈夫です。対処法を紹介しますので、試してみてください。
深呼吸をする
まずは深呼吸をしてみましょう。めまいが起きると、不安や焦りから呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると、自律神経が乱れて症状が悪化する可能性もあります。
そのため、深呼吸で脳に酸素を十分に巡らせます。これにより、自律神経の乱れが整ってリラックス状態(副交感神経が優位な状態)になり、めまいの緩和を図ることができます。
自宅・職場・屋外のどこでも実践しやすいので、いざというときのためにぜひ覚えておきたい対処法です。楽な姿勢で座って目を閉じたら、「鼻から吸って口からゆっくり吐く」と「胸に空気をためる」ことを意識しながら、1分間ほど深呼吸をしてみてください。
安静にする
めまいや立ちくらみがしているときは、転倒のリスクがあります。安静にして、落ち着くのを待ちましょう。安全な場所に移動して座る・横になる・壁に寄りかかるなどするのが望ましいです。横になれるときは、「楽な姿勢をとること」と「頭を高くし過ぎないこと」を意識しましょう。
血行をよくして体をよりリラックスさせるために、ベルト・ネクタイ・ボタンなどは外すのもおすすめです。光や音による刺激をなくすために、テレビや照明を消した暗くて静かな場所で休むのもいいでしょう。
生理前のめまい・立ちくらみを予防する方法
生理前のめまいや立ちくらみを予防する方法として、予防に効果的な食べ物を摂取したり体を温めたり、ツボ押しなどがあります。ぜひ試して、めまいが起きにくい体をつくりましょう。
予防に効果的な食べ物を摂取する
生理前のめまいの原因は複数あります。さまざまな原因に対処できるように、下にまとめたような食材を意識的にとってみましょう。また、特定の食材だけを偏って摂取するのは逆効果です。いろいろな栄養素をバランスよくとるようにしてください。
- 〔PMSのケアが期待できる食べ物〕
- 大豆・大豆製品(納豆・豆腐・味噌・豆乳など):エストロゲンに似た働きを持つイソフラボンによってホルモンバランスを整える
- 豆類・芋類・海藻類・果物:水分の排出作用があるカリウムによって、むくみのケアやめまい予防の効果が期待できる(カリウムは低血圧のケアにも効果的)
- 〔貧血予防作用が期待できる「鉄分」が豊富な食べ物〕
- 鶏や豚のレバー:ヘム鉄を多く含み、鉄分を効率的に補える
- 牛や豚の赤身肉:鉄分のほか、ビタミンB12などの栄養素も豊富
- 牡蠣・アサリ・イワシなどの魚介類:鉄分やタウリンを豊富に含む
- 卵黄:手軽に鉄分を摂取できる
- レンズ豆やひよこ豆などの豆類:非ヘム鉄が豊富
- ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜:ビタミンCも一緒に摂取するのがおすすめ
- 〔血行改善が期待できる食べ物〕
- 生姜:血管を拡張させて血流を改善する
- にんにく:血液をさらさらにする作用が期待できる。抗酸化作用も高い
- 鯖や秋刀魚などの青魚:血液をさらさらにするオメガ3脂肪酸が豊富
- 唐辛子:血行改善と体温上昇の作用があるカプサイシンが豊富
- 緑茶:血行改善と血圧調整に優れたカテキンを含む。温かいもので、体を内側から温めるのがおすすめ
- ほうれん草:鉄分やビタミンCが豊富で、血液をつくったり循環させたりするのに必要な栄養素を補える
生理中に意識して食べるとよい食べ物は、以下の記事で紹介しているので併せて確認してください。
質の高い睡眠をとる
質の高い睡眠も、生理前のめまいの対処になります。ホルモンバランスの変化だけでなく、疲労によっても自律神経は乱れます。十分な時間を確保し、質のいい睡眠をとれれば、疲労回復につながってめまいの改善も期待できます。
睡眠の質を上げるために、たとえば、カフェインの入った飲み物は避け、香りのいいハーブティーを飲むのはいいでしょう。好きな香りのアロマを炊いてみるのもいいかもしれません。テレビやスマホを寝る前に見るのも控えるのが望ましいです。
以下の記事では、眠りを深くする習慣を紹介しているので参考にしてください。
体を温める
体を温めると、血行や代謝が促進され、自律神経の乱れが改善されて、めまいの予防になります。方法はさまざまです。下にまとめたような対策をしてみてはいかがでしょうか。
- 〔体を温める対策〕
- 入浴:38〜40℃のぬるめのお湯に20分程度つかる。アロマオイルや入浴剤で香りを楽しむのもリラックスにつながる。足湯だけでも効果的
- 軽い運動やストレッチ:血流をよくするのはもちろん、気分をリフレッシュさせたり、腸内環境を整えたりできる面もある。ただし、めまいや立ちくらみがするときは避ける
- 温かい服装:ストールやカーディガンを持ち歩き、冷えやすい時間帯や場所で着用する。靴下を重ね履きする
- 食事を工夫する:スープや鍋などの温かいメニューを選んだり、体を温める作用がある根菜や生姜を意識的に摂取したりする
体を温める入浴方法や、お風呂で体を芯まで温めるコツを以下の記事で紹介しています。
靴下を重ね履きするメリットや、靴下の選び方を以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
ツボを押す

ツボ押しは、場所と時間を選ばず、手軽にできるめまいケアです。自律神経を整えたり、血行を促進したりする効果が期待できます。下に挙げたツボを、息を吐きながらゆっくり5秒程度押し、5秒かけて離すことを繰り返してみたり、手のひらやカイロなどで3〜5分程度温めたりしてケアしてみてください。
- 〔生理前のめまい対策で押したいツボの例〕
- 三陰交(さんいんこう):足の内側のくるぶしから指4本分ほど上にある
- 関元(かんげん):おへそから指4本分ほど下にある
- 関元兪(かんげんゆ):背骨の下部にある、骨盤の後部を形成する大きな骨「仙骨」の少し上にある
以下の記事では生理痛を和らげるツボを部位ごとに詳しく紹介しています。自分の症状に合わせてツボ押しをしましょう。
症状がひどい場合は婦人科へ
生理前のめまいの原因はさまざまです。生活習慣の改善でケアできることも多く、カウンセリングや生活改善の指導だけで済む場合もあります。
しかし、婦人科の受診が望ましい場合もあります。
- 〔婦人科の受診が望ましい状態〕
- めまいや立ちくらみが毎月繰り返される
- 症状が年々重くなっている気がする
- 応急処置をしても、なかなか回復しない
- 市販の薬(鎮痛剤や貧血の薬など)を飲んでも効かない
- めまいのせいで、大事な予定を休むことがある
めまいが生理前だけでなく続いている場合は、メニエールや脳疾患の疑いもあります。投薬治療が望ましい場合もあるので、今回紹介したような応急処置や予防法を試しても、症状が続く・ひどいままのときは婦人科を受診しましょう。
この方にお話を伺いました
宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長 馬場 敦志 (ばば あつし)
筑波大学医学専門学類医学類卒業。現在は宮の沢スマイルレディースクリニック(札幌市)院長として勤務。専門は産婦人科。

















