生理前は太りやすく、生理が終わると体重が元に戻るといった変化があります。なぜこうしたことが起こるのでしょうか? 体重が変動する原因や対策を、産婦人科専門医の高尾美穂先生に聞きました。
生理前に体重が増加する理由は?
体に水分が溜まりやすくなるから
生理前の体重増加に悩まされるという人もいます。食欲が止まらず食べ過ぎている場合もありますが、一番の理由は、女性ホルモンの働きによって体が水分をため込み、むくみやすくなっているためです。
通常時と生理前の体を比較したところ、筋肉や脂肪の量は変わらず、水分が増えていたという調査結果もあります。なお、生理前に便秘になりやすいのも腸管がむくむことが影響しています。
生理前に増えた体重を戻しやすくするには?
水分代謝を促してむくみをケアする
生理が定期的にやってきている場合、体重は生理の1週間くらい前から増え始めます。一番重くなるのは生理の直前であり、一番軽くなるのは生理の直後です。その差が大きな人では約2kgともいわれ、一時的とはいえ気にせずにはいられない体重増加です。
しかし、水分代謝を促すようにすればむくみは解消され、元の体重に戻りやすくなります。体重の増減ばかりにとらわれず、下記のことを意識して過ごすとよいでしょう。
- 〔生理中のむくみケア〕
- むくみの原因となる塩分をとり過ぎないようにする。
- むくみの緩和に役立つカリウムをとる。カリウムが豊富な食品は、きゅうり、キウイ、すいか、切干大根、ほうれんそう、にんじん、バナナ、いも類、海藻類など。
- 体を動かして汗をかく。
生理前になるとつい過食して体重増加が気になるという方は、以下の記事も参考にしてください。食欲が止まらなくなる原因と対処法を専門医が解説しています。
補食やベジファーストでPMSによる過食を防ぐ
PMS(月経前症候群)の症状の1つに、過食があります。女性ホルモンの影響で血糖値を調整するインスリンの効きが悪くなり、通常は食後5~6時間で下がっていく血糖値が3時間ほどで下がってしまい、空腹を感じやすくなるためです。
生理前に食べ過ぎてしまう場合は、空腹になる前に補食(おやつ)をとったり血糖値の上昇を緩やかにする「べジファースト」を意識したりしましょう。詳しい対策は以下の記事で紹介しています。
生理前に控えたほうがいい食べ物・飲み物をチェックする
生理前は食欲や体重の増加、むくみ、PMSなど、体調の変化を感じやすい時期です。以下のような食べ物や飲み物は、できるだけ控えたほうがよいでしょう。
- 〔控えたほうがいい食べ物・飲み物〕
- 塩分を多く含むもの......体がむくみやすくなる。
- 精製された白い食品......白砂糖や白米、うどんやパンに使われている小麦など、精製されたものは血糖値を上げやすい。
- カフェインを含むもの...交感神経を刺激し、気持ちを高ぶらせたり睡眠を阻害したりすることが。睡眠不足になると食欲を増進させるホルモンが増える。
下記記事では、生理前・生理中に甘いものを食べたくなるメカニズムと、その対処法を解説しています。気になる方はこちらの記事もご覧ください。
生理前の体重増加に関するQ&A
生理前にお腹周りが太るのはなぜ?
女性ホルモンの働きにより、体が水分を溜め込んでむくみやすくなるためです。生理前に胸が大きくなったり、お腹周りがポヨッとしているなと感じたりすることがありますが、それも、皮膚や腸などのむくみによるものです。
生理が始まる何日前頃から太りやすくなる?
生理が定期的にやってきているのなら、生理の1週間くらい前が体重の重くなりやすいタイミングです。
生理前に増えた体重は戻る?
生理前~生理後で体重が一番重くなるのは生理の直前。生理が始まると徐々に減り始め、生理直後は体重がもっとも軽い時期であり、ピーク時の-2kgともいわれています。
生理前はむくみケアをして過ごそう
生理前に体重が増えて太るのは、女性ホルモンの影響により、むくみやすくなるのが主な原因です。心配し過ぎなくても、多くの場合、体重は元に戻ります。食べ過ぎに注意しながら、むくみケアを心がけてみましょう。
この方にお話を伺いました
イーク表参道副院長 産婦人科専門医 医学博士 婦人科スポーツドクター 高尾 美穂 (たかお みほ)

東京慈恵医科大学附属病院産婦人科などを経て、現職。働く女性の産業医、スポーツドクター、ヨガインストラクターとしても活動している。