木の芽どきは自律神経の乱れに注意! 春のなんとなく不調のケア方法
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木の芽どきは自律神経の乱れに注意! 春のなんとなく不調のケア方法

春になんとなくだるさを感じることはありませんか。冬から春の季節の変わり目は「木の芽どき病」という言葉もあるように、自律神経が乱れやすく、なんとなく不調を感じやすい時季です。頭がふわふわするようなめまい感やなんとなく気持ち悪い、疲れると熱っぽくなるなども春の不調に多い症状です。緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を行っている橋口先生に、症状の原因とセルフケアについて詳しく伺いました。

〔目次〕
体内に余計な水分が溜まることが原因の不調
自律神経のバランスが乱れることによる不調
春のなんとなく不調におすすめのセルフケア

体内に余計な水分が溜まることが原因の不調

日差しが春めいてきて樹木に緑の新芽がぽつぽつと見え出す季節は、服装も明るい色のものが増えて気分が浮き立つ一方で、なんとなく体調が悪いと感じる方も多い時期です。

「季節の変わり目、特に春先から梅雨にかけての時期は苦手です」と言って受診されたAさん(30代女性)もそんな一人。気だるくなりやすく、朝起きづらい。もともと、生理の始まる時期に不調が起こることの多いAさんですが、この時期は天気が崩れる前にもめまい、吐き気が起こることが増えるそうです。

漢方の病因の一つに「湿邪(しつじゃ)」があり、湿気によって体内に余計な水分が溜まって不調が引き起こされると考えます。前線の通過に伴って雨が降る木の芽どきは湿邪による不調が増える時期でもあるのです。

漢方薬の中には「湿」による不調を改善するものがあるので、この時期Aさんに服用してもらうことにしました。

自律神経のバランスが乱れることによる不調

Bさん(40代女性)は10代のお子さんが2人いる忙しいお母さんです。普段は睡眠不足でも朝パッと起きて家事に取りかかれるのに、最近は布団から出にくく、起きても頭が重くて体が動かない感じとのこと。Bさんに限らず慢性的な睡眠不足のお母さんが多いのも問題ですが、この時季の体調不良には木の芽どきも関係しているようです。

「木の芽どき病」とか、「木の芽どき症候群」という呼び方は正式な病名ではありませんが、この時期に体調を崩す人が多いのでついたのでしょう。植物同様、人間の恒常性維持システム(自律神経系、ホルモン系、免疫系を軸とした身体の自動調節システム)も季節の影響を受けることが原因の一つと考えられています。

自律神経には活動神経である「交感神経」とリラックス神経である「副交感神経」の2つがあり、両者がバランスをとりながら働いています。起床時に交感神経のスイッチがパッと入ると動きやすいのですが、春先は副交感神経が優勢になりやすく、「春眠暁を覚えず」になりやすいのです。

ましてや普段から睡眠不足の人では起き出しにくいのも当然で、無理に活動しようとするとBさんのような不調を感じることもあるというわけです。

Bさんには睡眠の優先順位を上げて、なるべく早く寝たり仮眠をとったりするようにアドバイスするとともに、「気」の流れを良くして頭重を改善する漢方薬を処方しました。

春のなんとなく不調におすすめのセルフケア

ローズマリーやレモンの精油を床にたらした朝シャワー

春 不調 セルフケア 朝シャワー

木の芽どきの不調にはセルフケアがかなり役立ちます。交感神経を活発にするためにおすすめなのが、起床直後の熱めのシャワー。浴室の床にローズマリーやレモンなどの精油を一滴たらしてシャワーを浴びると、リフレッシュ効果抜群です。これらの精油を無水エタノールと精製水で1%に希釈したアロマスプレーを作り、自分の近くにスプレーしてもいいでしょう。

夜はハーブティーやリラックス効果のある精油の活用

春 不調 精油

起床後気だるいとコーヒーのようなカフェイン飲料に手が出がちですが、ペパーミントのハーブティーやグレープフルーツジュース等のリフレッシュ作用のある飲み物も活用しましょう。

逆に夜は睡眠を促すため、副交感神経を活発にするセルフケアを行うのがおすすめです。お風呂では、ぬるめの湯にゼラニウム、ラベンダーなどのリラックス効果のある精油をたらしたアロマバスを、寝室では水を入れた器に精油をたらす手軽な芳香浴を楽しみましょう。リラックスするためには精油を少量にして、香りを穏やかにすることが大切です。夜のハーブティーはジャーマンカモミールやレモンバーベナがいいでしょう。

受験、進学、就職、退職などの人生の節目と重なることの多い春の不調は、緊張や気配りによる精神疲労も不調の一因だと考えられています。

Bさんのお子さんも受験生でした。合格が決まった後など、ほっとしたときに疲労は表面化するものです。いったん休むことが重要ですが、精神疲労の改善にも上記のセルフケアは役立ちます。また、気だるさを感じている間はストレッチ程度の軽い運動を行い、少し回復してきたら散歩や好きなスポーツなどを取り入れるのも良い方法です。

自分のライフスタイルに合わせたセルフケアで、季節の変わり目を元気に過ごしましょう。

この方にお話を伺いました

緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

橋口 玲子

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティーやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。

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