冷え、不眠、乾燥、風邪... 冬の不調を身近な食材で改善する漢方の知恵
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冷え、不眠、乾燥、風邪... 冬の不調を身近な食材で改善する漢方の知恵

寒い冬は冷え、不眠、乾燥、風邪、胃の不調など、ちょっとした不調に悩まされることも。病院に行くほどでもないけれど元気でもない...... そんなときは「漢方」の知恵を活かして、みかんや生姜、大根などの身近な食材でできるセルフケアを取り入れてみましょう。

〔目次〕
漢方の知恵で冷えや不眠など冬の未病を対策
養生法①:冷えには生姜や薬味、大根の葉を活用
養生法②:内側から対策して乾燥から肌を守る
養生法③:胃の調子には大根・キャベツが活躍
養生法④:お酒を飲むときのケア合
養生法⑤:美味しく風邪予防&対策
養生法⑥:体を温めて寒い夜もぐっすり

漢方の知恵で冷えや不眠など冬の未病を対策

台所の食材

「漢方」というと、漢方薬のイメージがありますが、本来は日々を元気に過ごすための知恵のこと。昔の人が暮らしの中から見出した生活のヒントは、「二千年続いているおばあちゃんの知恵袋」ともいえます。

日々のちょっとした不調を改善するのに活躍するのが、台所に日常的にある食材です。体調に合わせて取り入れてみましょう。

〔冬の不調の養生に役立つ主な食材〕
生姜......冷えや風邪対策に
にんにく......冷えや不眠対策に
ねぎ......冷えや風邪対策に
大根(大根の葉)......胃のケア、喉の痛みに
はちみつ......保湿、二日酔い対策、喉の痛みに
ナッツ......保湿に
キャベツ......胃もたれに
こしょう......食欲改善に
みかん......胃のケア、二日酔い対策、風邪予防、不眠対策に
山いも......食欲がないときに
黒糖......風邪のひき始め、不眠対策に
牛乳......不眠対策に

養生法①:冷えには生姜や薬味、大根の葉を活用

温め効果抜群のジンジャーシナモンティー

シナモンは「桂皮(けいひ)」として漢方薬に使われている、体を温める作用が強いスパイス。冷えが原因の腹痛を緩和する作用があり、生姜にも同じ働きがあります。

このふたつを組み合わせれば、相乗効果を発揮するため温め効果は抜群に。ひどい冷えがあるときなどは、紅茶にシナモンパウダーと生姜のスライスをトッピングしたジンジャーシナモンティーがおすすめです。

冷えや痛みがある部位には生姜の温湿布を

冷えや痛みがある部位には生姜の温湿布を

すり下ろした生姜を入れた布袋を洗面器に入れ、約70℃の湯を注ぎます。洗面器にタオルを浸して軽く絞ると「生姜湿布」の出来上がり。

腰や背中、お腹など冷えや痛みがある部分に生姜湿布を当ててラップを巻き、さらにその上からタオルを巻けば血行が良くなり、痛みの緩和に役立ちます。

生姜のエキスを抽出したお湯を湯船に入れるだけでもOKです。

※肌の弱い方は使用を控えてください。またやけどにもご注意ください。

薬味で体の中から温める

ねぎや紫蘇、わさび、生姜、にんにくなどの薬味には体を温める作用があります。冷えが気になるときは積極的にとりましょう。

大根の葉の入浴剤で血行促進

大根の葉の入浴剤で血行促進

大根の葉を干した「干葉(ひば)」は冷えや乾燥から皮膚を守り、血行を促す作用があるため昔から薬湯に使われてきました。自宅で行う場合は、干葉をお茶パックに入れて湯船に浮かべます。大根の葉は細かく刻んだ方がより効果的。天日でしっかり乾燥させて使いましょう。

こんな方法も......温めた手のひらを当てるだけでも効果あり

肩や腰など、無意識に痛いところに手を当てることはありませんか? 実は「手当て」には、患部を温めたりリラックスさせたりして不調を改善すると考えられています。手当をするときは、手のひらをこすり合わせ、手を温めてから行うとよいでしょう。

養生法②:内側から保湿して乾燥から肌を守る

ハニーナッツで内側から保湿

ハニーナッツで内側から保湿

植物の種には潤いを与える作用があります。保湿に優れたはちみつと一緒にとれば、冬の乾燥対策に有効なハニーナッツに。

ハニーナッツは、煮沸消毒した瓶に素焼きのミックスナッツを入れ、はちみつで浸して半日置けば出来上がりです。シナモンスティックを加えて香りをプラスするのもおすすめ。

そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトにかけたりクラッカーにのせたりしても美味しくいただけます。

果物で潤いを補給

果物にも体を潤わせる働きがあります。特に酸味と甘味のどちらも含むりんごやキウイフルーツなどがおすすめです。

養生法③:胃の調子には大根・キャベツが活躍

お腹の張りに大根おろし

胃腸は冷やしすぎると消化不良を起こすため温めることが大切ですが、余分な熱が溜まりすぎることでも消化不良を起こしてしまいます。

体を動かす機会が減ったり、つい食べすぎたりしがちな冬。胃もたれやお腹の張りを解消する作用がある大根、中でも消化を促す効果を期待できる大根おろしを食事に取り入れましょう。中国では「夏に生姜、冬に大根を食べていれば医者いらず」といわれるほど冬に重宝される食材です。

胃もたれにはキャベツの千切り。腸も活発に

胃もたれにはキャベツの千切り

キャベツには胃粘膜の働きを整える作用があります。さらに含まれた食物繊維が腸の働きをよくすることで体全体の気力を高める作用もあります。

キャベツを食べるなら千切りが手軽。千切りキャベツを袋に入れて塩を振ってもみ、しんなりしたら瓶に入れて酢を加える「酢キャベツ」にしたり、千切りしたキャベツを湯通しして塩昆布やしらすと和えたりすると美味しくたくさんいただけます。

こしょうを一振りすれば食欲増進

こしょうは温める作用が強いスパイス。お腹が冷えていると感じたら、料理に一振りしてみましょう。おかずだけでなく、ご飯に黒こしょうをかけるのも◎ただし食べ過ぎ・飲み過ぎで口臭や口内炎がある人は、体に余分な熱が溜まり過ぎているので控えましょう。

干したみかんの皮で胃の調子を整える

干したみかんの皮で胃の調子を整える

みかんの皮を乾燥させた陳皮は七味唐辛子の材料や漢方薬に使われている生薬です。爽やかな香りに「気」を巡らせ、胃の調子を整える作用があります。

陳皮は無農薬のみかんの皮を1週間ほど天日干しして作ります(※)。煮込み料理やスープに入れたり、胃に不快感がある場合はお粥に入れたりしてもよいでしょう。

入浴剤代わりに湯船に入れて、香りを楽しむだけでも効果があります。

※作った陳皮は1シーズンで使い切りましょう。

こんな方法も......1日10時間の「食べない時間」を作る

胃によいとされている食べ物でも調子が悪いときに食べてしまうと、かえって胃の負担になってしまうことが。食べないことも養生です。

胃を休めるため、普段から1日のうち連続10時間は「食べない時間」をキープすることが大切。例えば7時間睡眠をとる場合は、寝る3時間前から起床までを食べない時間としましょう。

養生法④:お酒を飲むときのケア

二日酔い予防にははちみつ

はちみつの糖分がアルコールの代謝を高めるため、二日酔いになりにくいとされています。

食欲がないときは山いもと陳皮のお粥を

食欲がないときは山いもと陳皮のお粥を

「山のウナギ」といわれるほど滋養のある山いもには、エネルギーを補ったり、胃の粘膜を保護して機能を高める働きがあります。

二日酔いで食欲がないときは無理して食べる必要はありませんが、何かお腹にいれなければいけないときには、胃腸に優しい山いものお粥がおすすめ。角切りにした山いもを入れて炊き、あれば陳皮を加えるとより胃が温まります。

こんな方法も......酸味でアルコールを解毒

おつまみには、梅や柑橘類、酢の物などアルコールの解毒を促す酸味のあるものがおすすめです。翌日調子が悪いときも、白湯に梅干を入れた「梅白湯」を飲んでリフレッシュしましょう。

養生法⑤:美味しく風邪予防&対策

喉の痛み改善の「はちみつ大根あめ」を作り置き

喉の痛み改善 はちみつ大根あめ

冬になると喉がイガイガしやすい人は、保湿効果のあるはちみつに「肺」を潤して喉の痛みや咳を改善する作用のある大根を漬けた「大根あめ」を常備しておくと便利です。

大根は1cmに角切りし、はちみつに2~3時間漬けたら冷蔵庫で保存しましょう。できたエキスはそのままなめる、またはお湯に溶いていただきます。

ビタミンC豊富なみかんで「みかん酒」

ビタミンC豊富 みかん酒

みかんはビタミンCが豊富で免疫機能を維持する働きもあり、昔から風邪予防に用いられてきました。みかんの皮を干した陳皮も、呼吸器疾患の治療などに使われてきた生薬です。

半分に切ったみかんの果肉、陳皮、レモンスライスをホワイトリカーに3時間ほど漬け込むと「みかん酒」ができます。風邪予防に有効です。

風邪のひき始めには生姜シロップで体を温める

風邪のひき始め 生姜シロップ

風邪のひき始めには体を温めることが有効です。おすすめは、いずれも体を温める作用のある生姜・黒糖・シナモンを煮詰めた生姜シロップ。

生姜のスライスと黒糖を同量合わせておき、水分が出たらシナモンスティックと水を入れて煮ます。お好みで、仕上げにはちみつを加えても。ゾクっとしたら、お湯で割っていただくとよいでしょう。

寒気のする風邪には生姜入りねぎ味噌湯

寒気のする風邪 生姜入りねぎ味噌湯

生姜とねぎには体を温めて発散させる働きがあります。さらに体の余分な熱をとる作用がある味噌を合わせたのが、生姜入りねぎ味噌湯。

お湯に少量の味噌を溶いて、刻んだ生のねぎ、おろし生姜を加えていただきます。寒気のする風邪に有効です。

養生法⑥:体を温めて寒い夜もぐっすり

陳皮もしくはにんにくを入れてぽかぽか足湯

陳皮もしくはにんにくを入れて足湯

足が冷たいと寝つきが悪くなります。湯船に入れないときは、寝る1時間半前~2時間前に、足湯に20分~30分ほど浸かって温まりましょう。陳皮を浮かべれば、温め効果が高まるだけでなく、香りのリラックス効果で入眠しやすくなります。

また、にんにくを丸ごと布袋に入れて浮かべるのも有効。にんにくは漢方で「大蒜(たいさん)」と呼ばれ、体を温める作用があります。

足湯は差し湯を用意して43~45℃に保つのがコツ。お湯の量はくるぶし以上、ふくらはぎ以下が適切です。

黒糖ホットミルクで睡眠の質を高める

漢方では、深い睡眠のためには潤いとよい「血(けつ)」が必要とされています。寝る前の飲み物としておすすめなのが、黒糖ホットミルク。牛乳には体を潤す作用が、黒糖には血を補い、血行を促して体を温める作用があります。

糖分が気になる人はホットミルクだけでもよいでしょう。

漢方の知恵はこうしなければならない、ということはありません。今日は寒いからこれをやってみようなど、楽しみながら日々の暮らしに取り入れてみてください。

この方にお話を伺いました

薬日本堂・薬剤師 日本漢方養生学協会理事長 鈴木 養平 (すずき ようへい)

鈴木 養平

1969年宮城県生まれ。東北医科薬科大学卒業後、薬日本堂入社。臨床を経験し、店舗運営、教育、調剤、広報販促に携わる。漢方薬による体質改善の指導・研究にあたる一方で、“漢方をより身近に”と薬日本堂漢方スクールセミナー講師・雑誌などで活躍。著書に『わがまま養生訓』(フォレスト出版)がある。

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