世界自然遺産「白神山地」 森の再生・利活用とクロモジ
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世界自然遺産「白神山地」 森の再生・利活用とクロモジ

白神山地は、広大なブナ天然林とその生態系が世界的に貴重な価値を認められ、1993年にユネスコが日本で最初の世界自然遺産として登録した森。

白神山地が世界自然遺産に登録される前からブナの植樹や里山の利活用を行ってきた「白神アロマ研究所」の自然体験ツアー、森の樹木から抽出したアロマを利用した活動をご紹介します。

クロモジは白神山地に欠かせない観光資源

白神アロマ研究所代表社員の永井さんが大切にしているは、植物を見て、触れて、自然と共生する「体感インパクト」。

山に入ってクロモジに触れ、自分の手で採取し、蒸留にも携わる「クロモジ採取蒸留体験ツアー」(12日など)は人気を博しています。
参加者にブナの森に自生するオオバクロモジを紹介すると、リラックスできると大好評とのこと。

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透き通った空気と水を飲みながらのクロモジ採取蒸留体験ツアー

このツアーでは、森の中で香りを感じながら行うヨガ講座や呼吸講座をプラスしたり、宿泊に「農家宿泊」を取り入れたりすることも。

その他にも、クロモジ液を使って行う「草木染め」や、クロモジの木でペンダントやストラップを作り、そこに精油を垂らす"木工品+香り"のワークショップなどは、大人だけでなく子どもにも大好評です。

クロモジは白神山地での自然体験の記憶を彩る、欠かせない観光資源へと成長しています。

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クロモジの草木染めの体験もできる

森の香りは心の緊張をほぐす

自然体験ツアーは、首都圏から訪れる人が多いそうです。

都心から来られた方は、森に来ても、早足で呼吸が浅い。
『ここで止まって、大きく空気を吸い込んでみましょう』と声がけすると、自然と呼吸も穏やかになるんです。
すると心身が緊張していることに気づく。
その気づきを与えるファシリテーター的な役割が香りにはあると思います。

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人気スポット「青池」をバックに、都心からの体験ツアー参加者

白神のクロモジ精油の魅力をPR

白神のオオバクロモジの精油分析を行うと、リナロールやゲラニオールという高級香水にも使われるフローラルな香り成分が高いことが分かりました。

プロモーションには、精油とディフューザーを持ち歩き、白神山地の国産アロマとして紹介しています。
観光フェアなどでは、いろいろ説明するより、香りのアピール力は絶大!
クロモジの香りをディフューザーで会場に漂わせると、「この芳しい香りは何?」と注目を集めていますと永井さん。

香りを入り口に、こうした体験を重ねることで、自分が手にした精油は、どんな環境でどんな過程で作られているかと興味をもち、自然への関心にもつながっていると感じています。

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黒文字(くろもじ)精油とブナの木のディフューザー

クロモジの「食」での活用に期待!

永井さんは、クロモジは「食」での活用に期待が広がると言います。

例えば、スイカのハリハリ漬にクロモジの葉の粉末をスパイス的にまとわせた漬物は、自然学校の食事でも話題沸騰中。

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スイカとクロモジを漬け込んだ「すいかの皮のハリハリ漬」

この漬物を食べると「この風味は何?」と驚く方が少なくありません。
この土地に自生するクロモジで、香りもよく、体にもいいんですよと言うと、「また食べたいから、また来ます!」と会話が広がります。

「クロモジは多くの人の生活を彩り、心身の健康にプラスになる逸材。
今後もこの魅力を活かし、かゆい所に手が届くモノ・コトを開発していきたいと考えています」と、クロモジへの展望を語ってくださいました。

"香りよし、飲んでよし、食べてよし、体験してよし"。
森を知り尽くす永井さんが語るクロモジの魅力に、さらに期待が高まりました。

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クロモジ入りグリーンカレー

世界自然遺産の森を次世代につなぐ

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白神アロマ研究所では、毎年林野庁の承諾を得たエリアでの樹木の採取や、森林管理署と採取の上限を樹体の約1割にするといった取り決めをしています。

白神の森を次世代に残していくためには、里山の利活用が大事だという永井さん。
「山の手入れをし、森を守る人たちが里山で生活をしていく、そこに若者が残る持続可能なシステムを考えています。森にはクロモジのようによい香りの逸材があり、自然と触れ合うツアーもできる、それに関わることで収入も得られます。だから上手に利活用することで町おこしにつながります」。

ブナを植樹してきた経験を活かし、78年前からはクロモジを種から休耕田で育成、植樹する活動も行っています。植樹した中には、高さ4メートル位になるクロモジも。成長の過程は全て記録し続けているそうです。

この方にお話を伺いました

白神アロマ研究所代表社員 永井雄人 (ながい かつと)

永井雄人

NPO法人白神山地を守る会代表理事、NPO法人白神自然学校一ツ森校代表理事、鰺ヶ沢白神グリーンツーリズム推進協議会会長。自然との共生を学ぶ自然学校を拠点に都市と農村交流を実践し、地域資源を生かしたさまざまな活動で地域振興に取り組んでいる。

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