春は体にたまった不要な物を排出し、陽の気を体にとり入れる季節。
気の巡りを促し、五臓の中でも解毒機能をもつ「肝」の働きを整えて体の中をきれいにするお花見メニューを3つご紹介します。気持ちのいいお天気の日に、おうちでお花見ごはんはいかがですか?
記事の最後には、実は生薬にも使われる「桜」の豆知識も!
春の彩りのり巻き
肝機能を助ける効果が期待できる酢飯や三つ葉、エビ、卵を使ったメニュー。特別な下ごしらえの必要がなく、簡単に作れて見た目にも楽しい一品です。
- 〔材料〕3本分(4人分として、1人分455kcal/塩分2.2g)
- のり........................3枚
- 三つ葉の軸.............1株
- たくあん.................60g
- ■酢飯
- 温かいごはん..........お茶碗5杯分(750g)
- 酢............................大さじ4
- 塩............................小さじ1強
- 砂糖........................大さじ1
- ■炒り卵
- オリーブオイル......大さじ1/2
- 卵............................3個
- 塩............................小さじ1/5
- 酒............................大さじ1
- 砂糖........................大さじ2
- ■エビ
- エビ(※).............12尾
- 塩............................少々
- 酒............................大さじ2強
※エビはブラックタイガーなど大きめのものを選んでください
- 〔作り方〕
- 三つ葉の軸は茹で、たくあんは千切りまたは粗みじん切りにする。
- 酢飯用の酢、塩、砂糖をよく混ぜてごはんに加え、切るように混ぜ、扇いで冷ます。
- フライパンを温めてオリーブオイルをひく。炒り卵用の卵、塩、酒、砂糖を混ぜ合わせて流し入れ、大きめの炒り卵を作る。
- エビは背わたと殻、尾を除き、塩少々(分量外)で揉んで流水で洗い、水分を拭く。曲がらないように腹側に厚みの1/3まで切れ目を入れて伸ばす。小鍋にエビ用の塩、酒と一緒に入れて軽く混ぜて蓋をし、中火にかける。沸騰したら弱火で30秒蒸し煮にして火を止める。
- 巻きすにのりを置き、2.のご飯の1/3を全体に広げる。手前1/3に、3.の炒り卵、4.のエビ、三つ葉、たくあんを各1/3ずつ細長く置き、巻いて形を整える。3本作り、それぞれ8等分に切り分ける。
○アドバイス
・切り分けるときはラップで包み、一切れごとにぬれ布巾で包丁の刃を拭いながら切るときれいに切れます。
・胃腸が弱い方は「酸味」をとりすぎないよう注意してください。
菜の花とツナの和え物
茹でて和えるだけの、彩りよい副菜。
菜の花やからしなど辛味のある食材には気を巡らせる力があります。また、菜の花には肝臓の解毒機能を助ける「β-カロテン」が豊富。油と合わせることでβ-カロテンの吸収がUPする一品です。
- 〔材料〕小鉢10皿分(1皿分92kcal/塩分0.5g)
- 菜の花..................... 2束
- ツナ缶..................... 1缶
- 酒............................大さじ1/2
- ■A
- しょうゆ ...............大さじ1/2
- 溶きからし.............小さじ1強
- ごま油....................小さじ2
- 〔作り方〕
- 菜の花は色よく茹でて冷やし、3cmに切ってしっかり汁気を絞る。
- ツナは油を切り、酒を振りかける。
- ボウルにAを混ぜ、1.の菜の花を加えてよく和え、2.のツナを加えてさらに和える。
○アドバイス
・溶きからしは練りからしでも代用可能。量はお好みで調整してください。
桜の花のゼリー
気の巡りをよくする作用がある桜の花の塩漬けが香るワインのピンク色が春らしいデザートです。お花見気分を盛り上げるのにぴったり。
- 〔材料〕4~6個分(4人分として、1人分78kcal/塩分0.2g)
- 桜の花の塩漬け .... 20g(花12~15輪)
- ゼラチン...............................15g(3袋)
- ■A
- 水............................300ml強
- 砂糖........................大さじ4
- 白ワイン(※)......300ml
- 赤ワイン(※)......大さじ1
※白ワイン+赤ワインは、ロゼワイン300mlで代用可能。
- 〔作り方〕
- 桜の花の塩漬けは塩を洗い流し、水(分量外)に1時間ほど浸して塩抜きをする。
- 鍋にAを入れてよく混ぜてから火にかける。沸騰したら火を止めてゼラチンを振り入れ、よく混ぜて溶かす。1.の水気を絞って加える。
- 2.の鍋底を冷水に浸して冷ましながら、熱いうちに桜の花を1つずつ竹串で振り動かして花を開かせる。
- とろみが出てきたら、濡らしたグラスに花を2~3輪とゼリー液100ml弱を入れる。再度桜の花を竹串などで振り動かして開かせ、冷蔵庫で冷やし固める。
○アドバイス
・3.と4.それぞれの工程で桜の花を開かせるのがきれいに咲かせるポイントです。
・グラスを濡らしておくと、ゼリーが外れやすくなります。
生薬としても活躍する桜
漢方では桜の樹皮を「桜皮(おうひ)」といい、昔から解毒、鎮咳薬として用いてきました。さらに最近、桜の花にはエイジングケアに役立つ「糖化抑制」の働きもあることが分かってきました。
糖化とは体内で余った糖分が、体内のタンパク質と結びつき、そのタンパク質を劣化させる現象のこと。皮膚や血管、骨などが糖化すると、肌は荒れ、血管のしなやかさは失われ、骨はもろくなり、関節が硬くなるなど、いわゆる老化現象が起こります。
鑑賞するイメージが強い桜ですが、こういった一面に目を向けてみるのも面白いかもしれません。
レシピ監修
料理研究家、管理栄養士、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)

中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『気になる不調と悩みを改善 薬膳のつくりおき』(家の光協会)他著書多数。
生薬解説
養命酒製造株式会社クロモジ推進室フェロー 丸山徹也 (まるやまてつや)

1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。2020年よりクロモジ推進室フェロー。薬剤師。