めまいやだるさ、疲労感などの症状が続く「鉄欠乏性貧血」。単なる疲れだと思って放置しておくと全身の老化をはじめ、仕事のパフォーマンス低下など、さまざまな不調を招くことに。
そこで、鉄欠乏性貧血のチェック方法をご紹介。さらに食事による改善方法をお知らせします。「自分は貧血かも?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
あなたは大丈夫? 貧血チェック
3個以上、当てはまる場合は鉄欠乏性貧血の可能性があります。
女性の半数は貧血や貧血予備群
鉄欠乏性貧血は、貧血の中でもっとも多く見られるタイプ。過度なダイエットや偏食などの不摂生による鉄分不足が原因で、血液中のヘモグロビンが少ない状態です。
ヘモグロビンは全身に酸素を送る役割があります。そのため、貧血を放置すると酸素不足が続き、細胞に十分な酸素が行きわたらないことで爪や粘膜が弱り、体全体の老化が進むこともあります。
鉄欠乏性貧血はゆっくり進むことが多いので、貧血があっても自覚症状が出にくいもの。しかし、治療してよくなると、階段を上がるときの動悸や息切れ、頭痛が減り、疲れにくくなったと実感できますよ。
月経や妊娠・授乳などで鉄分が取られやすい女性は、貧血になる割合が男性より高く、約半数が貧血や貧血予備群ともいわれます。
食事で賢く鉄分を補う3つのポイント
鉄欠乏性貧血の予防・改善は食事が基本。栄養のバランスを心がけながら、効率よく鉄分を摂取しましょう。
1.肉や魚で「ヘム鉄」をしっかりとる
鉄分には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄のほうが圧倒的に吸収されやすいので、肉や魚を積極的に食べましょう。
・ヘム鉄を多く含む食品
赤身肉(レバー、牛肉など)、赤身魚(カツオ、マグロなど)、貝類
・非ヘム鉄を多く含む食品
緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)、海藻類(ひじき、もずくなど)、大豆製品(納豆、豆腐など)、鶏卵
2.食事にフルーツをプラスし、鉄分の吸収効率を高める
鉄分はビタミンCと一緒にとると吸収がよくなります。オレンジやグレープフルーツなど柑橘系のジュース、デザートを食事にプラスしてみるのもいいでしょう。
そのほか、加熱によるビタミンC損失が少ないピーマンやじゃがいもを活用するのもおすすめです。
3.食事中の緑茶や紅茶、コーヒーは控える
緑茶や紅茶、コーヒーに含まれる「タンニン」は鉄分と結合するため、食事中や食後に飲むと鉄分の吸収を妨げてしまいます。
食事後、少し時間を空けて飲むようにしましょう。
鉄分摂取におすすめのハーブティー
ハーブの中で鉄分の多いものを、緑茶や紅茶、コーヒーの替わりにとり入れるのも効果的です。手軽に飲めるだけでなく、サプリメントと違って胃腸に負担をかけないのもうれしいポイント。
忙しくて食事がしっかりとれないときや、食欲がないときにも役立ちます。
血液の健康に有効なハーブ「ネトル」は、ノンカフェインで飲みやすい味なので、日常茶としてもおすすめです。
●ネトル
ネトルはふんわりとした草の香りと、さっぱりした味わいが特徴のハーブです。
鉄分や葉緑素(クロロフィル)を多く含み、貧血予防・改善はもちろん、造血や浄血などに有効なことから「血液の見張り番」とも呼ばれます。
ビタミンCたっぷりのローズヒップとブレンドして飲めば、鉄分の吸収がさらにアップ!
食事でも症状が改善しないときは?
鉄分は主に肝臓でフェリチンというタンパク質と結びついて貯蔵鉄として蓄えられています。この蓄えが底をついた状態では食事で鉄分を補っても、なかなか蓄えまでは増えません。
また、貧血が続く場合は、消化器系や子宮系の出血を伴う疾患が原因の可能性もあります。
食事で貧血が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
この方にお話を伺いました
緑蔭診療所 橋口 玲子 (はしぐち れいこ)

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。東邦大学医学部客員講師、および薬学部非常勤講師、国際協力事業団専門家を経て、1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科専門医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)、『世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典』(マイナビ)などの著書、監修書がある。