生理痛でお腹や腰が痛くてつらい経験はありませんか? ツボ押しで痛みが和らぐことがあります。この記事では、生理痛に効果的なツボを部位別にご紹介します。ツボ押しはいつでもどこでも取り入れられるため、痛みがつらいときに、ぜひお役立てください。
生理痛を和らげるお腹のツボ
お腹のツボは、生理痛の中でも特に「下腹部の痛み」に直接アプローチできます。お腹が痛いと感じたときにすぐに試せるツボばかりですので、覚えておくと安心です。
気海(きかい)
「気海」は、その名の通り「元気の源となる気が集まる場所」といわれるツボです。全身のエネルギーを補う働きがあるとされ、下腹部の冷えによる痛み、生理不順、元気が出ないときによいとされています。

場所は、おへその真下あたり。おへそから指2本分(人差し指+中指)くらい下、ちょうどおへそと恥骨のあいだの上のほうにあります。
押すときは、仰向けに寝てひざを軽く立てると、お腹の力が抜けて押しやすくなります。両手の中指を重ねて「気海」にそっとあて、息を吐きながらゆっくり5秒かけて押し、5秒かけて離してみてください。お腹はデリケートな部分なので、やさしい力で行うのがポイントです。
関元(かんげん)
「関元」は、「気海」の少し下に位置し、体を内側からあたためる働きが強いといわれるツボです。全身の「気」が集まるポイントとされ、生理痛や下腹部の冷えによる痛み、むくみ、不眠など、女性に多い不調のケアにもよく使われます。

場所は、おへそから指4本分(親指以外の4本をそろえた幅)ほど下の位置。「気海」からさらに指2本分下、と覚えるとわかりやすいです。
押すときは、「気海」と同じく仰向けでひざを立てる姿勢がラクに押せます。両手の中指を重ねて「関元」にあて、息を吐きながらゆっくり5秒かけて押し、5秒かけて離しましょう。お腹のツボはデリケートなので、痛気持ちいいくらいのやさしい圧で行うのがポイントです。カイロなどで温めるだけでもケアとして効果があります。
中極(ちゅうきょく)
「中極」は、膀胱や子宮まわりに関係するといわれるツボで、婦人科系の不調によく使われます。生理痛や生理不順、下腹部の冷えに加えて、頻尿や残尿感などの泌尿器系のトラブルにも役立つとされています。

場所は、「関元」から指1本分ほど下、または恥骨(下腹部の硬い骨)の少し上あたり。おへそから指5本分下、と覚えておくと探しやすいです。
押すときは、ほかのお腹のツボと同じように、仰向けになってやさしく押しましょう。下腹部で膀胱に近い位置にあるため、強く押しすぎないことが大切です。両手の中指を重ねて「中極」にあて、息を吐きながらゆっくり5秒押して、5秒かけて離す、という動きを数回繰り返してみてください。
帰来(きらい)
「帰来」は、婦人科系の不調、特に子宮まわりに関係するといわれるツボです。生理痛や生理不順、下腹部の張りなどのケアに役立つとされています。

「関元」から外側へ指3本分(約4.5cm)離れた位置に、左右対称であります。
押すときは、仰向けになって両手の中指(または人差し指+中指)で左右を同時にそっと押します。息を吐きながら、下腹部をふんわり持ち上げるようなイメージで優しく刺激すると、より心地よく押せます。
生理痛を和らげる足のツボ
足のツボは、生理痛の原因になりやすい「冷え」や「血流の滞り」にしっかりアプローチできます。お腹のツボより押しやすく、外出先でもデスクの下でそっと刺激できるのが嬉しいところ。お風呂で温まりながら押すのもおすすめです。
血海(けっかい)
「血海」は、その名の通り「血の巡り」に関わるといわれるツボです。生理痛(特に重い痛み)、生理不順、足の冷えやだるさなどのケアに役立つとされています。

座ってひざを軽く曲げた姿勢で探すと見つけやすいです。ひざのお皿の内側上部の角から、指3本分(約4.5cm)ほど太もものほうに上がった位置にあります。
また、反対の手でひざのお皿を包むように置くと、ちょうど親指が触れるあたりが「血海」です。押すと少し響くような感覚があるポイントが目印です。
椅子に座った状態で、両手の親指を重ねて「血海」にそっと当てます。息を吐きながら、太ももの骨に向かってまっすぐ押し込むイメージで、ゆっくり5秒かけて押し、また5秒かけて離していきます。これを左右それぞれ、気持ちいい範囲で数回ずつ繰り返してみてください。
足三里(あしさんり)
「足三里」は、「健脚」や「胃腸の調子を整えるツボ」としてよく知られています。生理中の胃の不快感や食欲不振、全身のだるさ、足の重さを和らげるのに役立つとされています。生理中に胃腸の調子が崩れやすい方には、おすすめのツボです。

ひざを立てて座り、ひざのお皿のすぐ下・外側のくぼみに人差し指を置きます。そこから指4本分(約6cm)ほど下がった、すねの骨の外側あたりにあります。押すとジーンと響くような感覚があるのが目印です。
押すときは、椅子に座った姿勢で親指を使い、痛気持ちいいと感じる程度に少し強めに押します。ぐりぐりと円を描くようにやさしく刺激してもよいでしょう。
三陰交(さんいんこう)
「三陰交」は、生理痛に効くツボのなかでも特に大切といわれるポイントです。3つの経絡(肝・脾・腎)が交わる場所にあり、「女性の万能ツボ」と呼ばれることもあります。生理痛・生理不順・PMS(月経前症候群)・強い冷え・むくみなど、女性特有のさまざまな不調のケアに役立つとされています。

足の内くるぶしの一番高いところに小指を当て、そこから指4本分(約6cm)上がった位置にあります。すねの骨のキワ(少し後ろ側)を探すと見つかりやすく、押すとズーンと響くような場所が目印です。
座った状態で、反対の手の親指を使って押します。骨のキワに指をかけるようにして、息を吐きながらゆっくり5秒押し、ゆっくり5秒かけて離しましょう。
冷えがつらいときは、ツボ押しに加えて、この部分をカイロやドライヤーの温風で温めるのもおすすめです。レッグウォーマーや厚手の靴下で足首を冷やさないようにしたり、足湯をしたりするのも効果的です。
照海(しょうかい)
「照海」は、「三陰交」と一緒に覚えておきたい、冷えに役立つツボです。体を内側からじんわり温める働きが期待でき、生理痛や足先の冷え、むくみ、生理中の不眠・イライラなどのケアにも使われます。

場所は、足の内くるぶしのちょうど真下。骨のすぐ下にできる小さなくぼみが「照海」です。
押すときは、座った姿勢で親指の腹をツボにあて、ゆっくり5秒押して、ゆっくり5秒かけて離します。じわっと奥に響くような感覚が目安です。お灸にも適したツボなので、冷えが強い方は温めケアと合わせて使うのもおすすめです。
生理痛を和らげる手のツボ
手のツボは、生理痛だけでなく、生理中に併発しがちな頭痛やイライラにも対応できる「万能ツボ」です。手軽に押せるので、外出先で急に痛くなったときや、仕事中・授業中でも思い立ったときにすぐにケアできます。
合谷(ごうこく)
「合谷」は「万能のツボ」としてよく知られており、さまざまな不調に使えるツボです。生理痛や頭痛、歯痛といった幅広い痛みを和らげる、自律神経を整える作用も期待できるため、生理中のイライラやストレス、肩こりにも役立ちます。

場所は、手の甲側の親指と人差し指の骨が交わる少し手前にある、くぼんだ部分です。
押すときは、反対の手の親指を「合谷」に当て、人差し指を手のひら側に添えます。親指で人差し指の骨のキワに向かって、少し押し上げるようなイメージで刺激すると効果的です。痛気持ちいいと感じる程度の強さで、息を吐きながら5秒ほど押して離す、という動きを数回繰り返しましょう。左右どちらの手も刺激してみてください。
背中や腰のツボ
腰や背中にあるツボは、生理痛と関わりの深い「腰のだるさ」や、症状の原因につながりやすい「冷え」にしっかりアプローチできます。ただ、自分では押しにくい場所も多いので、ツボ押しだけにこだわらず、カイロや温めグッズを使ってじんわり温めるケアもおすすめです。
腎愈(じんゆ)
東洋医学でいう「腎」は、生命力やホルモンバランス、冷えと関わる大切な場所です。「腎愈(じんゆ)」を刺激すると、生理痛や腰のだるさ・痛み、慢性的な冷え性(冷え症)、むくみなどの改善が期待できます。

目安となるのは、ウエストのいちばんくびれたライン(おへその真裏あたり)。その高さの背骨から、左右に指2本分(約3cm)ずつ外側にあるポイントが「腎愈」です。左右対称にあります。
両手を腰に添え、親指で左右の「腎愈」を同時に押していきます。息を吐きながら、体の中心に向かってゆっくり5秒ほど押し、ゆるめるのを繰り返しましょう。握りこぶしをつくり、指の関節(げんこつ)で腰周りをさすったり、軽くトントンと叩いたりするケアもおすすめです。
この周辺は、使い捨てカイロを貼るのにもぴったりの位置です。温めるだけでも十分効果が期待できるので、冷えが気になるときはぜひ試してみてください。
八髎穴(はちりょうけつ)
「八髎穴(はちりょうけつ)」は、一つのツボではなく、仙骨(せんこつ)の上に並ぶ8つのツボ(上髎・次髎・中髎・下髎の左右ペア)の総称です。重たい下腹部の痛みや生理不順、腰からお尻にかけての痛み、冷えにアプローチできるポイントとして知られています。

お尻の割れ目の少し上にある、平らな逆三角形の骨が仙骨です。この仙骨の上に8つのくぼみがあり、本来の「八髎穴」になりますが、正確に一つひとつを探すのは難しいため、仙骨全体を刺激する方法がおすすめです。
自分の手では押しづらい場所なので、グッズを使うと効果的です。仰向けに寝て、仙骨にテニスボールやゴルフボールを1〜2個置き、膝を立てて体重を預けながら左右にゆっくり揺れます。仙骨全体をほどよく刺激するイメージで、痛気持ちいい強さで行いましょう。
また、「腎愈」と同じく、カイロやシャワーで温めるだけでも生理痛が和らぐことが期待できます。冷えが気になるときは、温めケアもぜひ取り入れてみてください。
生理痛を和らげるツボ押しのポイントや注意点
ここでは、より効果的にツボを刺激するためのコツと、安全に続けるための注意点をご紹介します。
ツボ押しのポイント
リラックスして行う
筋肉がこわばっていると、ツボに刺激が届きにくくなってしまいます。お風呂上がりで体が温まっているときや、寝る前のリラックスタイムがおすすめです。リラックスすると副交感神経が優位になり、血行促進につながります。
「痛気持ちいい」強さがベスト
「痛いほど効く」というのは誤解です。強く押しすぎると筋肉がかえって緊張したり、あざや「もみ返し」の原因になったりするため避けましょう。痛気持ちいいと感じる程度の圧がベストです。
「ゆっくり押して、ゆっくり離す」
呼吸に合わせてツボを押すことも大切です。基本のリズムは、フーッと息を吐きながら5秒ほどかけてゆっくり押して、息を吸いながら5秒ほどかけてゆっくり離す。この流れを数回繰り返してみましょう。
ツボ周辺を「温める」と相乗効果
全身の血流の改善により、生理痛の緩和が期待できるため、ツボ押しとあわせて体を温めることも意識してみましょう。お腹や腰(腎愈・八髎穴)にカイロを貼る、足首(三陰交)をレッグウォーマーで温める、頭痛やイライラがあるときは蒸しタオルで目元を温めるなど、手軽にできる温めケアもおすすめです。
ツボ押しの注意点
注意点1:体調が悪いとき・発熱時は行わない
ツボ押しは、軽い運動のように意外と体力を使うことがあります。体調が優れないときや発熱しているときに無理をすると、かえってつらくなることも。そんなときは無理せず、まずはゆっくり休むことを優先しましょう。満腹で苦しいときや、深酒をして体調が良くないときも避けることをおすすめします。
注意点2:ケガをしている場所・皮膚に異常がある場所は押さない
ツボの位置に傷や湿疹、打撲がある場合は、無理にその上から押さないようにしましょう。刺激すると炎症が強くなることがあるので、まずはその部分を休ませてあげてください。
注意点3:妊娠中・妊娠の可能性がある場合
特に「三陰交」や「合谷」は、昔から子宮の動きを促すとされているツボなので、妊娠中や妊娠の可能性がある方は強く刺激しないようにしてください。妊娠中にツボ押しを試したい場合は、念のため医師や鍼灸師に相談してから行うと安心です。
つらい生理痛の原因とは?
生理痛は、子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」というホルモンが関係しています。このホルモンが子宮を収縮させることで、下腹部の痛みや腰の重だるさが出やすくなるのです。また、冷えやストレス、血行の悪さなども、生理痛を強くする原因になることがあります。
生理痛の仕組みをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ツボ押し以外の生理痛を和らげる方法
ツボ押しのほかにも、生理痛を和らげる方法はいくつかあります。自分に合った方法を組み合わせて、つらい生理痛を乗り切りましょう。
症状を緩和させる食べ物・飲み物
体を温める生姜やにんにく、鉄分を補うレバーやほうれん草、カリウムが豊富なキウイやバナナは、生理痛の緩和に役立ちます。一方、カフェインを多く含むコーヒーや体を冷やす冷たい飲み物は控えめにしましょう。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
アロマオイルでお腹や腰をマッサージ
ラベンダーやクラリセージなどのアロマオイルを使ったマッサージは、血行を促進し、リラックス効果も得られます。お腹や腰を優しくマッサージすることで、生理痛の緩和が期待できます。
以下の記事では、アロマバスやトリートメントなどを使ったリラックス方法を紹介しています。
薬は早めに飲む
痛みがひどい場合は、我慢せずに鎮痛剤を飲むことも大切です。痛みを我慢しすぎると、神経が興奮状態になり、薬が効きにくくなることもあるでしょう。痛みを感じ始めたら早めに服用することで、より効果的に痛みを抑えられます。
ただし、鎮痛剤を飲んでも痛みが続く場合や、毎回鎮痛剤が必要な生理痛がある場合、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、子宮や卵巣の病気の可能性もあります。無理をせず産婦人科で相談しましょう。
この方にお話を伺いました
山王ウィメンズ&キッズクリニック大森 院長 髙橋 怜奈 (たかはし れな)
山王ウィメンズ&キッズクリニック大森、院長。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、スポーツドクター、医学博士。XやTikTok、YouTubeでも医療情報の発信を積極的に行っている。
















