独特の爽やかな香りと辛み、しゃきしゃきとした食感が特徴のみょうが。冷や奴やそうめんの薬味、味噌汁の具、酢の物、天ぷらなど、さまざまな料理に使える野菜ですが、どんな機能性や効能があるのでしょう? みょうがに多く含まれる成分とその効能・効果、食べ方と注意点、そして上手な選び方&保存法もご紹介します。
みょうがの栄養・機能性成分&効果・効能
みょうがには以下の栄養素や機能性成分が含まれます。これらにより夏バテや便秘の予防・改善などに役立つと考えられます。
下記以外にも、ビタミンB1、ビタミンC、カルシウム、葉酸、鉄、マグネシウムなど多くの栄養成分を含むみょうが。みょうがの花蕾(からい)や地下茎(ちかけい)は生薬の「蘘荷(じょうか)」として、消化促進や神経痛、しもやけ、生理不順などに使われます。
機能性成分1:α-ピネン
みょうがの独特の香りを出しているのがα-ピネンと呼ばれる成分です。リラックス効果や発汗、血行促進、食欲増進、眠気を覚ますなどの働きがあります。
機能性成分2 : カンフェン
カンフェンも香り成分の1つ。抗菌・抗炎症作用があります。
機能性成分3 : ミョウガジアール
みょうがはしょうがの仲間です。食べてもほとんど辛味は感じられませんが、ミョウガジアールという辛味成分が含まれており、抗菌や解毒などの働きがあります。
機能性成分4:アントシアニン
みょうがが赤いのは、赤い色素の成分・アントシアニンが含まれているからです。アントシアニンはポリフェノールの一種で、生活習慣病や老化の予防に役立つ抗酸化作用があることが知られています。
栄養素1 : カリウム
カリウムは五大栄養素の1つ「ミネラル」の一種。体内の余分な塩分を排出し、むくみや血圧の上昇を抑える効果が期待できます。
栄養素2:食物繊維
食物繊維は腸内環境を整える効果があり、便秘の解消をサポートしてくれます。また、血糖値の乱高下を抑える効果も期待できます。
みょうがの食べ方とは?
一般的にみょうがとして食べられているのは、地下茎から直接出てくる花蕾です。花蕾とは、花が咲く前の蕾のことで、苞葉(ほうよう)が何枚も重なって膨らんでいます。自分で育てた場合、苞葉と苞葉の間に土が入り込んでいることが多いので、半分に割って土を洗い流して使います。生のままでも加熱しても食べられますが、より美味しく食べるために以下の点に注意しましょう。
生で食べる
生で食べる場合は、刻んで薬味にしたり、薄切りにしてなすやきゅうりなどと和えて酢の物にしたりします。
水に流れやすいビタミンCやカリウムを余さず摂取するため、水にさらさずに食べましょう。サラダや混ぜご飯にしても美味しくいただけます。
加熱して食べる
味噌汁の具だけでなく、天ぷらや炒め物もおすすめです。栄養成分の1つであるアルファピネンは、油に溶ける性質があります。
また、甘酢漬けにする場合も、サッと湯通しするとキレイなピンク色になり、味もよく染みます。
みょうがの食べすぎには注意!
みょうがにはあくがあるので、生のまま大量に食べると口内に不快な刺激を感じる場合があります。
また、みょうがに限りませんが、機能性の高い食品を食べ過ぎると、肝臓や腎臓に負担をかける可能性があります。
こうしたことから食べ過ぎには注意が必要ですが、適度な量がどのくらいかは個人差が大きいもの。体調と照らし合わせながら調整しましょう。
みょうがを食べると物忘れがひどくなる?
「みょうがを食べると物忘れがひどくなる」と聞いたことはありませんか?
実はこれ、釈迦には物忘れがひどい弟子がおり、自分の名前も忘れることから、名を書いたのぼりを背負って悟りを開いたとされ、のちにそのお墓にたくさん生えた草を、名を荷っていたことからみょうが(茗荷)と名付けたという逸話によるもの。
みょうがを食べたからといって、物忘れがひどくなることはありません。
美味しいみょうがの選び方
美味しいみょうがの条件は以下の3つ。スーパーなどで購入する場合は、これらをチェックして選びましょう。
- 〔美味しいみょうがの選び方〕
- みずみずしくてふっくらと丸みがある
- 身が固く締まっている
- つやつやとして傷がない
みょうがの保存方法
みょうがは冷蔵または冷凍で美味しく保存できます。それぞれのコツをご紹介します。
冷蔵庫で保存する場合
冷蔵庫での保存では乾燥が大敵。風味が落ちてしまいます。
みょうがをよく洗い、湿らせたキッチンペーパーに包んでビニール袋などに入れておくと、乾燥を防ぐことができます。
冷凍庫で保存する場合
冷凍保存も可能です。
みょうがを洗って水気をふき取り、ラップで包んで密閉できる容器や袋に入れて保存します。刻んで冷凍してもよいでしょう。
みょうがは薬味として添えるだけではもったいないくらい機能性の高い野菜です。生でも加熱しても美味しくいただけるので、いろいろな料理に活用してみてはいかがでしょう。
また、みょうがは栽培しやすいので、家庭菜園の初心者にもおすすめです。栽培の手順やコツは以下で詳しく解説しています。
この方にお話を伺いました
博士(農学) 元東京農業大学准教授 日本メディカルハーブ協会理事・事務局長 株式会社グリーン・ワイズ 木村 正典 (きむら まさのり)
専門は人間・植物関係学、都市園芸学、野菜、ハーブなど。ハーブの精油分泌組織の顕微鏡観察に長く携わるとともに、豊かな社会づくりのための建物緑化、都市緑化、有機栽培、学校菜園、コミュニティガーデン、市民農園、家庭菜園、ファーマーズマーケットなどの役割と意義について研究。講演活動の他、学校や集合住宅の屋上などでの菜園指導も行っている。『二十四節気の暮らしを味わう日本の伝統野菜』(GB)、『ハーブの教科書』(草土出版)、『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)、『木村式ラクラク家庭菜園』(家の光協会)など著書多数。「NHK趣味の園芸 やさいの時間」旬ベジ二十四節気講師。