風邪をひいたときにお世話になる代表的な漢方処方「葛根湯」。今回は、その中心的な配合生薬の原料である葛を使った「葛生姜茶」など、風邪におすすめのレシピを紹介します。
養生中はこまめに水分を補給し、食事は栄養があり消化のよい物をとりましょう。体を温めたり、症状を和らげたりして、免疫力が上がるようにするのがおすすめです。
※症状が改善しない場合や、激しい咳や喉の痛みなどの症状が続く場合は、別の疾患や合併症が疑われるので医療機関を受診してください。
葛根(カッコン)とは
葛根はマメ科の「葛(クズ)」の周皮を除いた根のことで、発汗、解熱、鎮痙剤として使われる生薬です。葛から作られる葛湯も、病人の滋養強壮として古くから用いられてきました。
葛の主要な成分としては、ダイジン、ダイゼインおよびプエラリンなどのイソフラボンがあり、これらはダイズの成分として耳にしたことがある方もいるかもしれません。
葛はその旺盛な繁殖力から時には有害植物と見なされてしまうこともありますが、とても身近で有用な植物でもあるのです。
風邪のひき始めに、葛生姜茶レシピ
葛根湯は風邪薬として昔からなじみの深い漢方薬の一つですが、原料の葛を使い手軽に「葛生姜茶」を作ることもできます。
- 〔材料〕ティーポット1つ分
- 葛粉
- 生姜
- 甘草(リコリス)
- ナツメ
- シナモン
- 紅茶
..................それぞれティースプーン1杯程度
※材料はすべてホール(ほぼ原型のまま乾燥させた状態のもの)がおすすめ。ハーブ専門店や大型スーパーマーケットなどで購入できます。
※紅茶はティーバッグでも可。
- 〔作り方〕
- 鍋に400~500mlのお湯を沸かす。
- 1.に材料を入れて、葛粉が溶けるまで煮立たせ、ティーポットに注ぎ入れる。
◯アドバイス
・分量は好みに合わせて調節して◎。寒気には生姜、喉の痛みには甘草を多めにするのがおすすめです。
・風邪予防には1日3回を目安に飲むと良いでしょう。
体を温めてくれるみかんと生姜の葛湯レシピ
みかんには気の巡りをよくして体を温める作用があります。葛が乾燥した体に潤いを与えてくれるので、風邪のひき始めにもおすすめの一杯です。また、みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンは、ヒアルロン酸を増やし、皮膚の潤いを保ちます。
- 〔材料〕カップ2杯分
- 葛粉..............................大さじ2
- 水..................................150ml
- みかんの絞り汁...........200ml(3~4個分)
- 生姜(すりおろし)...小さじ1/2
- はちみつ......................大さじ1
- 〔作り方〕
- 鍋に葛粉と水、みかんの絞り汁半量を加えてよく混ぜる。葛粉が溶けたら弱火にかけ、かき混ぜながら煮る。
- 1にとろみがつき、半透明になったら生姜を加えて混ぜ、沸騰したら火を止める。
- はちみつ、残りのみかんの絞り汁を加えてよく混ぜる。器に入れ、おろし生姜(分量外)を飾る。
○アドバイス
みかんは薄皮ごとミキサーにかけた物を使用してもよいでしょう。薄皮の食物繊維がとれます。また、みかんの皮は捨てずに料理や入浴剤、薬酒にも利用できます。
喉の痛みや痰に、大根はちみつレシピ
大根の辛味成分には炎症や咳を鎮めたり、痰を切る作用があります。また、はちみつには強い殺菌効果や喉の粘膜を保護する働きに加え、ビタミンやミネラルなどの栄養も豊富。
- 〔材料〕
- 大根...........適量
- はちみつ...適量
- 〔作り方〕
- ひと口サイズの角切りにした大根をはちみつに2~3日漬ければ出来上がり。
◯アドバイス
飴のようになめながら食べるとよいでしょう。すぐにいただきたい時はすりおろした大根にはちみつを混ぜてもOK。
また、風邪の症状緩和や予防には、ハーブとアロマの力を借りるのも良いでしょう。
「葛生姜茶」と「大根はちみつ」のレシピ監修
いりたに内科クリニック院長 入谷 栄一 (いりたに えいいち)
呼吸器専門医、アレルギー内科専門医、がん治療認定医、総合内科専門医。東京女子医科大学第一内科、日扇会第一病院などを経て、現職。長年の在宅診療の経験より、内科系にとどまらないオールマイティーな診療を実践する他、雑誌やテレビなどメディアでも活躍。NPO法人メディカルハーブ協会理事も務める。
「みかんと生姜の葛湯」のレシピ監修
料理研究家、管理栄養士、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)
中医学や雑穀などを取り入れた、 美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『気になる不調と悩みを改善 薬膳のつくりおき』(家の光協会)他著書多数。