カモミールは「苦難に耐える」という花言葉があり、可憐な小花にはさまざまな効能・パワーが秘められています。高いリラックス効果から古代エジプトで安眠薬として使われ、「ピーターラビット」のお話にも登場するカモミール。その特徴や使い方を紹介します。
カモミールの特徴
カモミールはヨーロッパ原産のキク科の薬用植物です。古くから薬として使われており、ハーブティーをはじめ、アロマテラピーなどのリラクゼーションに広く利用されています。「Chamomile」(カモミール)の語源は、ギリシャ語で「地上のリンゴ」に由来するといわれ、実際にカモミールの花からは爽やかなリンゴの果実の芳香が漂ってきます。
日本に持ち込まれたのは江戸時代で、オランダ語由来の和名「カミツレ」という名でも知られています。
- 〔ジャーマンカモミール〕
- 学名:マトリカリア・レクティタ(Matricaria recutita)
- 名前の由来:「Chamomile(カモミール)」の語源はギリシャ語で「地上のリンゴ」。なお学名の「Matricaria」は子宮や母を意味するラテン語に由来する。
- 科名:キク科
- 和名:カツミレ
- 開花時期:3~6月
- 原産地:ヨーロッパ
- 花言葉:苦難に耐える、逆境で生まれる力
「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の違い
カモミールは種類があり、代表的なのは「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の2種類ですが、分類上は属が異なります。一般的に知られるカモミールはジャーマンカモミールで、日本でいうカミツレもジャーマンカモミールを指しています。
一・二年草のジャーマンに対し、多年草のローマンカモミールはガーデニングで人気があり、グランドカバーに使われます。
ジャーマンカモミールの効果・効能
鎮静作用・安眠
ジャーマンカモミールは心身をリラックスさせるハーブの代表格。紀元前1500年以上も前から古代エジプトで安眠薬として重用されてきました。高い鎮静作用により、ストレスによる疲れや緊張をほぐす作用があります。就寝前にハーブティーにして飲むのがおすすめ。
ストレスや緊張のほぐれ・リラックス
優れた鎮痙作用(筋肉の緊張を和らげる作用)とリラックス効果を兼ね備えます。緊張型頭痛(首や肩周りがこって血流が悪くなることで起こる頭痛)を解消するのにも役立ちます。
冷え性(冷え症)
ストレスや生活習慣による自律神経の乱れが原因の冷え性(冷え症)や、生理痛・生理前症候群(PMS)などの婦人科系の悩みがあるひとにもおすすめです。
胃腸の調子を整える
胃腸の働きを助けるハーブは多くあります。とりわけジャーマンカモミールは、ストレス性の胃腸トラブルにおすすめ。気持ちを安定させる作用があるほか、胃の粘膜を修復するなど、さまざまな効果があります。ストレスが胃に来るタイプの人はジャーマンカモミールのハーブティーを習慣にするといいでしょう。
ちなみにイギリスの絵本「ピーターラビット」にも、お腹が痛くなったピーターに、お母さんがカモミールティーを飲ませる場面があります。
抗菌・消炎・皮膚代謝亢進
皮膚炎にも作用することから、肌のケアに使われます。かゆみを伴う乾燥肌のケアにも◎。
カモミールの使い方
ハーブの使い方
ジャーマンカモミールのミルクティーでぐっすり
ポットに乾燥したジャーマンカモミールの花とお湯を入れ、カップに注ぎます。お好みで温かいミルクを入れて、でき上がり。眠れない夜にぜひ試してみてください。体がぽかぽかしてきて、いつの間にか心地よい眠けがやって来ます。
ドライハーブをお風呂に入れてリラックス
ドライハーブを木綿の袋かティーパックに入れ、浴槽に入れて入浴します。ハーブの量は、家庭用の浴槽なら20gが目安。ハーブティー用のカモミールも使用できますが、入浴用に販売されているハーブのほうが経済的。もしくは飲み切れなかったハーブティーをお風呂に活用してもよいでしょう。
精油の使い方
アロマホットハニーバス
ストレスを感じるときは、ゆったりアロマハニーバスに浸かってリラックスしましょう。小皿に大さじ2のハチミツとカモミールの精油4滴を加え、スプーンでよく混ぜ合わせたら湯に入れます。
入浴の際にはぜひホットタオルを用意して、両肩にかけてみてください。首や肩甲骨の周りにはたくさんのツボがあり、温めたりほぐしたりすると自律神経が整いやすくなります。
ホットパック
温めたタオルで疲れ目をケアする方法です。洗面器に42~43度程度の湯を張り、カモミールの精油を1~3滴垂らし、よく混ぜてからタオルを浸します。
精油が直接目元に触れないよう、精油が付いた面を内側にたたんでタオルを絞ってください。ホットタオルを目の上に置き、数分経ったら外しましょう。
※ 刺激を感じたらすぐに外し、長時間当てすぎないよう注意しましょう。
ボディオイル
キャリアオイル(ホホバ油、スイートアーモンド油など)10mlに対し、精油2滴を混ぜ合わせたアロマエッセンシャルオイルでボディをケアしましょう。全身に使う場合は30mlが目安です。
カモミールの花束をプレゼントに!
お部屋の飾りや、贈りものとして、ジャーマンカモミールの花束も喜ばれるかもしれません。その見た目のかわいらしさと、ふわっと漂う香りは心を穏やかにしてくれるでしょう。
またカモミールは、育苗ポットやプランターで栽培でき、初心者にもおすすめのハーブです。以下で育て方を紹介しているので、ぜひ育ててみてください。
この方にお話を伺いました
養命酒製造株式会社商品開発センター 丸山 徹也 (まるやま てつや)

1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。薬剤師。