過剰となった中性脂肪を放置すると、動脈硬化のリスクが高まります。中性脂肪の数値を下げるには日々の食生活でどんな点に注意し、何を食べるとよいのか、おすすめレシピと併せて詳しく解説します。
- 〔目次〕
- 中性脂肪とは? 高い場合のリスクは?
- 中性脂肪を下げるおすすめの食べ物・飲み物
- 中性脂肪を下げる食べ物を使った簡単レシピ
- 中性脂肪を下げるための食習慣
- 中性脂肪を上げやすい食べ物・飲み物
- 中性脂肪に関するよくある質問
中性脂肪とは? 高い場合のリスクは?
中性脂肪とは、グリセロールという物質と3つの脂肪酸が結合した、トリグリセリド(TG)とも呼ばれる体の脂肪の1種です。供給源は主に次の2つです。
- 〔中性脂肪の供給源〕
- 食べたものに含まれる脂肪が小腸で消化吸収され、中性脂肪になる
- 肝臓で、脂肪酸とグリセロールから新たに中性脂肪がつくられる
中性脂肪の基準値

中性脂肪が過剰かどうかは、健康診断で行われる血液検査で確認できます。中性脂肪の値は食事に影響されるため、採血は約10時間の絶食後に行われます。
- 基準値:30~149 mg/dL(血液1dLに中性脂肪が30~149mg含まれている状態)
150 mg/dLを超えると、脂質異常症の1種である「高中性脂肪血症」とされます。これは、メタボリックシンドロームの診断基準の1つにもなっています。なお、中性脂肪値が上昇する食後(非空腹時)の基準値は175 mg/dLと設定されていますが、食事の内容次第ではこの数値を簡単に超えてしまいます。
中性脂肪値が低過ぎる人も注意が必要
中性脂肪値が基準値を超えていなければ安心というわけではありません。近年、特に20~30代の女性に、中性脂肪値が基準値に達しない29 mg/dL以下の人が増えています。その場合、食生活に問題がありやせ過ぎている、バセドウ病などの甲状腺亢進症(こうじょうせんこうしんしょう)があるなど、体に何らかのトラブルがある可能性が高いので注意が必要です。
中性脂肪がもつ体に欠かせない役割
健康に良くないイメージもある中性脂肪ですが、体に欠かせない役割があります。
- 〔中性脂肪の役割〕
- 糖質の不足を補い、エネルギー源となる
- 脂溶性ビタミン(油に溶けやすいビタミンA、D、E、K)を吸収しやすくする
- 皮下脂肪になって体温を維持する
- 内臓脂肪になって内臓を保護する
糖質のエネルギーが1g当たり4kcalなのに対し、中性脂肪は9kcalと効率よくエネルギーを備蓄できるものですが、消費し切れず蓄積されると、肥満やさまざまな疾患のリスクも高まります。中性脂肪が存在する意義を知った上で、健康維持に活かしていくことが大切です。
中性脂肪が高いことによる健康リスク

血液中の中性脂肪値が高い状態であっても、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。だからといって、この状態を放置するとさまざまな疾患のリスクが高まります。
動脈硬化からの心筋梗塞や脳卒中
血液中の中性脂肪が過剰になると、動脈硬化のリスクが高まって心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾患につながりやすくなります。
- 〔中性脂肪過多による動脈硬化のメカニズム〕
- 血液がドロドロになり、血管への圧力が高まったり、血行が低下したりする
- 血管壁にたまって動脈硬化や血栓の原因になる物質「レムナント」が生じる
- 余分なコレステロールを回収するHDL(善玉)コレステロールがつくられにくくなるのに加え、分解も促進される。そのため、HDLコレステロールが減少し、血管壁にコレステロールがたまりやすくなる
- 中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールは、連動して増加しやすいもの。さらに、中性脂肪の増加は脂質代謝に影響し、動脈硬化を促進させる小型のLDLコレステロールを増やすことにもつながる
- インスリンの働きが低下し、血糖値が高くなりやすくなる
内臓脂肪の蓄積、内臓脂肪型肥満
通常、中性脂肪は皮下脂肪として蓄えられますが、過剰になると、中性脂肪がつくられる小腸の周辺に内臓脂肪としてたまります。内臓脂肪として蓄積されると、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質(アディポサイトカインまたはアディポカイン)の分泌異常が起こり、高血糖や高血圧症、脂質異常症を引き起こす悪玉のアディポサイトカインの分泌が増加してしまいます。
内臓脂肪はたまりやすく、短期間で内臓脂肪型肥満になってしまう恐れがあります。「肥満」とは余分なエネルギーが体内に脂肪として過剰に蓄積されている、いわゆる「太っている状態」のことで病気ではありません。しかし、肥満に伴って糖尿病や高血圧、脂質異常症などの健康障害が起きている、あるいは健康障害を起こしやすい内臓脂肪型肥満である場合は、肥満症と診断されて医学的な治療が必要となります。
また、メタボリックシンドロームは、この内臓脂肪型肥満に加えて、(1)高血圧、(2)高血糖、(3)脂質異常(HDLコレステロール値が低いか中性脂肪値が高い)のうちいずれか2つ以上に当てはまる状態を指すものです。
なお、内臓脂肪は中性脂肪の検査値を高めるため、太っていなくても、内臓脂肪が多いと中性脂肪の値が上がりやすくなります。
本来の場所ではないところに脂肪が蓄積される異所性脂肪
皮下脂肪や内臓脂肪に蓄積しきれなかった中性脂肪は、肝臓や膵臓、筋肉、心臓など、本来は脂肪が蓄積されない場所につく場合があり、これを異所性脂肪といいます。
異所性脂肪は、記憶障害などといった脳のトラブルへの関与も指摘されています。
- 〔臓器別の異所性脂肪のリスク〕
- 肝臓に蓄積されると ...... 中性脂肪の製造場所であり貯蔵庫でもある肝臓に、脂肪が多く蓄積した状態が脂肪肝(代謝異常関連脂肪性肝疾患:MASLD)であり、そこから肝炎、肝硬変、肝がんへと進行することがあります。
- 膵臓に蓄積されると ...... 中性脂肪値が1,000 mg/dLを超えると、中性脂肪によって膵臓内の毛細血管が詰まったり、中性脂肪が分解される際に生じる遊離脂肪酸が膵臓の組織を傷付けたりして、急性膵炎のリスクが高まります。急性膵炎は激しい痛みを伴います。
- 筋肉(骨格筋)に蓄積されると ...... インスリンの働きが悪くなり、糖尿病の発症につながります。
- 心臓に蓄積されると ...... 冠動脈などに影響し、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や心不全などの原因となります。
中性脂肪を下げるおすすめの食べ物・飲み物

魚類:サバやイワシなど
青背魚に含まれるDHA・EPAは、中性脂肪の合成を抑え分解を促進します。加熱によるDHA・EPAの減少を避けるために生で食べたり、頭や骨、皮なども含め丸ごと食べたりすることを推奨します。
日本人は魚の消費量が落ちているので、意識的にとるようにしましょう。鮮度のよい生魚の入手が難しい場合、水煮などの缶詰でもDHA・EPAは問題なく摂取できます。
野菜類:ブロッコリーやキャベツ、玉ねぎ、アボカドなど
食物繊維が豊富な、ブロッコリーやキャベツ、大根、ごぼうなどの野菜は、血糖値の急上昇を抑え、中性脂肪の合成を抑制します。また、ねぎや玉ねぎ、にんにくなどに含まれる硫化アリルには、血液をサラサラにする働きがあります。
さらに、玉ねぎに含まれるケルセチンには抗酸化作用・抗炎症作用があり、中性脂肪の蓄積を抑え、中性脂肪値の上昇を抑制する効果が報告されています。
アボカドは脂質が多く高カロリーですが、脂質のほとんどは、中性脂肪や血中のLDLコレステロールの増加を抑える、オレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸。抗酸化や血流改善に役立つビタミンEも豊富です。ただし、脂質が多いことに変わりはないので、食べるなら1日に1/2個程度にしましょう。
海藻類:ワカメやひじきなど

海藻類は、脂質がなく低カロリーで、食後の血糖値の上昇が穏やかな低GI食品。さらに、食後の中性脂肪値の上昇を穏やかにしたり、総コレステロール値を低下させたりするアルギン酸やフコダインなどの水溶性食物繊維が豊富です。
海藻特有のぬめりのもととなるアルギン酸ナトリウムには、血圧や食後血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールや中性脂肪を体外排出させたりといった働きがあり、ワカメに含まれるフコキサンチンには内臓脂肪を減らす効果も認められています。
乾物として多く流通しており、保存しやすいのも魅力。味噌汁や酢の物などの具材として、食事に積極的に取り入れていきましょう。
きのこ類:しいたけやえのきなど
きのこ類は低GI食品であり、低脂質で、水溶性・不溶性食物繊維がどちらも含まれます。年間を通じ比較的価格が安定しているので、日々の食事にも取り入れやすいでしょう。
しいたけに多く含まれるエリタデニンは、LDLコレステロールの吸収を抑えてHDLコレステロールを増やし、高血圧の予防が期待されると共に、脂質代謝を正常にすることから中性脂肪値の改善にも有効と考えられています。
また、まいたけなどに含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンは、コレステロール値を抑制するのに加え、血糖値の急上昇を防ぐことで中性脂肪を減らす効果があります。えのきだけなどに含まれるキノコキトサンも、脂肪の吸収を抑えて排出を促したり、脂肪を燃焼させたりする働きをもつことから、中性脂肪値を抑えるのに役立ちます。
大豆製品・豆類:豆腐や納豆など

大豆は、そのまま料理に使えるだけでなく、豆腐や油揚げ、納豆、豆乳、味噌、おからなど、さまざまな加工品もあり、日常的に幅広く活用できる食材です。これらの大豆製品は、低GI食品・低脂質なのに加え、良質な植物性タンパク質である大豆タンパクが豊富。脂質を抑えながら筋肉量を維持したり増やしたりするのに有効です。大豆タンパクには脂質代謝を改善する働きもあり、中性脂肪やコレステロールの値を下げるのに役立ちます。
乳化剤などに使われる大豆レシチンは、大豆から抽出されるリン脂質の1種で、脂質代謝や肝臓の機能を高め、コレステロールが血管壁にたまるのを防ぎます。大豆にはその他にも、大豆サポニンやイソフラボン、リノール酸など、コレステロール値を下げ、動脈硬化予防などに役立つ栄養素が多く含まれています。
また、大豆の加工品である納豆に含まれるタンパク質分解酵素の納豆キナーゼには、血栓を溶かし血液をサラサラにする働きがあります。血流を改善することで代謝を促すため、間接的に中性脂肪の燃焼や蓄積予防にも有効です。
油類:アマニ油やオリーブオイルなど

油は中性脂肪を増やす原因のようにも思われますが、重要なのは、どのような油をとるかです。
油は脂質の主成分である脂肪酸の種類で分けることができます。このうち、積極的な摂取が推奨されるのが、常温で液体であることが特徴の不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸には、オメガ3、オメガ6、オメガ9の3種類があります。
オメガ3脂肪酸
主なものに、血管拡張作用があるα-リノレン酸と、中性脂肪値の低下などの効果があるEPA・DHAの3種類があります。体内でつくられず食べ物からとる必要がある必須脂肪酸で、α-リノレン酸はアマニ油やえごま油に、EPA・DHAは青背魚に含まれます。
なお、オメガ3脂肪酸は熱に弱い性質があり生食が基本。アマニ油やえごま油をサラダのドレッシングに使ったり納豆に足したりして摂取しましょう。
オメガ9脂肪酸
LDLコレステロール値や心疾患のリスクの低下などに役立つオレイン酸に代表され、オリーブオイルやナッツ類、アボカドなどに豊富に含まれます。体内で合成できますが、食事での摂取も推奨されます。酸化しにくく加熱調理に適しているので、炒め物などにはオリーブオイルを使うとよいでしょう。
オメガ6脂肪酸
代表的なものがリノール酸で、血中コレステロール値を下げる働きがあります。紅花油やごま油などに含まれますが、サラダ油として多く使われることが多く、とり過ぎになりがちです。
飲料類:緑茶やコーヒーなど

緑茶に含まれる茶カテキンには、脂肪の吸収を抑える働きがあるほか、脂肪をエネルギーとして消費する褐色脂肪組織の活性化や、肝臓での脂質代謝を活発にすることで、脂肪の分解・消費も促します。
また、コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸には、脂肪の分解を促したり糖質の吸収を抑えたりする働きがあります。
緑茶もコーヒーも、加糖せずに飲めるので糖質のとり過ぎの予防にもなります。
機能性をうたった食品は補助的に使おう!
近年、トウモロコシなどのデンプンからつくられる水溶性食物繊維の一種で食後の血糖値や中性脂肪値の上昇を穏やかにする働きがある難消化性デキストリン、中性脂肪の蓄積を抑えるケルセチンを含む食べ物や飲み物が、トクホや機能性表示食品として販売されています。
また、糖質0やカロリー0を打ち出した食品、脂肪が気になる人向けのサプリメントも数多く販売されています。
このようなものだけを摂取していれば中性脂肪が減るわけではありません。バランスのよい食事などを心がけた上で、補助的に活用するようにしましょう。
中性脂肪を下げる食べ物を使った簡単レシピ
「楽しむ・学ぶ」でこれまでご紹介してきたレシピの中にも、中性脂肪を減らすのに役立つものがいくつもあります。その中から、おすすめの2つのレシピをご紹介します。エネルギー不足にならないように、主食や青背魚の料理などと共にぜひお楽しみください。
干し椎茸のだしマリネ

低GIで食物繊維が豊富なきのこをたっぷり使った、常備菜にもぴったりの一品です。しいたけ特有の成分エリタデニンが、中性脂肪の蓄積を抑え、コレステロール値の改善を助けます。出汁の旨味と酢の酸味で、さっぱりと美味しく栄養を摂取しましょう。
詳しいレシピは以下で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
れんこんの豆乳スープ

良質な大豆を効率よくとれる豆乳ベースのスープです。大豆に含まれる成分が脂質代謝を促し、血管壁にコレステロールがたまるのを防いでくれます。メイン料理にプラスするだけで、手軽に中性脂肪対策と動脈硬化予防が期待できるメニューです。
以下で詳しいレシピを確認してください。
中性脂肪を下げるための食習慣

中性脂肪を減らすのに役立つ、暮らしの改善法をご紹介します。続けていくことが大切なので、まずは無理のない範囲で取り組めるところから始めてみましょう。
摂取カロリーの見直し
カロリーとはエネルギーの単位であり、自分の適正摂取カロリーを知ることが大切です。
- 〔適正摂取カロリーの計算法〕
- 身長(m)×身長(m)×22=適正体重(kg)
- 適正体重(kg)×1日に体重1㎏に必要なエネルギー(※)=適正摂取カロリー
※
デスクワークが多いなどの軽労働者 ...... 25~30kcal
外回りや立ち仕事などが多い中労働者 ...... 30~35kcal
農林漁業や建設業などの重労働者 ...... 35kcal
- 〔例〕
- 身長160cmで軽労働者の場合
- 適正体重:1.6(m)×1.6(m)×22=約56.3(kg)
- 適正摂取カロリー:56.3×25~30=約1408~1689kcal
エネルギーが過剰にならないように、食品を選ぶときはカロリー表示をチェックしてカロリーが低いものを選ぶなど、摂取カロリーを意識するとよいでしょう。
糖質摂取量の見直し
ご飯だけ、パンだけ、麺類だけといった食事や、主食をたくさん食べてお腹を満たすような食事は、栄養バランスが糖質に偏り、中性脂肪を増やしてしまいます。しかし、糖質を極端に抜いてしまうと、疲れやすくなったり便秘になったりすることも。糖質も体に必要な栄養素なので、不足すると健康を損ねてしまう恐れがあるのです。
糖質の摂取量を適度に減らすことは大切ですが、精製された米や小麦粉を玄米や全粒粉に替えて摂取するのも有効です。玄米や全粒粉は食物繊維をより多く含み、食後の血糖値を上げにくい低GI値食品です。
甘い物を食べるときは、より糖質も脂質も少ない和菓子がおすすめです。しかし、和菓子にも砂糖を大量に使っているものもあるので、いもや小豆、栗など血糖値が上がりにくく腹もちのよい素材の甘さを活かした、砂糖の使用量が少ないものを選ぶとよいでしょう。
果物は、果糖が多いので食べ過ぎに注意が必要です。細かくカットしたりジュースにしたりすると、摂取量がわかりにくくなるので、できるだけ原型をとどめた形で食べるようにしてください。また、砂糖や果糖を含む飲み物の摂取はできるだけ控え、無糖のお茶やコーヒーなどに切り替えましょう。
脂質摂取量の見直し

脂質はほかの栄養素に比べてエネルギー量が多いので、とり過ぎには注意が必要です。ただし、脂質が少な過ぎると、エネルギー不足になったり、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなったりすることもあります。
脂質の摂取量は1日の総摂取カロリーの20~30%を目安にし、フライや天ぷらなど衣のついた揚げ物、バターや生クリームをたくさん使った料理、肉の脂が多い料理、ファーストフード、スナック菓子、ナッツ類などは控えめにするとよいでしょう。
アルコール摂取量の見直し
アルコールは中性脂肪の合成を促したり、分解を阻害したりする作用があります。ただ悪いことばかりではなく、適量のアルコールには、ストレスを和らげたり、血行を促したりする働きも。1日の飲酒量の目安は、日本酒なら1合、ビールなら大びん1本ほど。それ以上にならないように意識しながら、週に1、2日の休肝日も設けて楽しみましょう。
食事の取り方の見直し
食べる量を調整する
食事は、お腹いっぱい食べるのではなく腹八分目を心がけるとよいでしょう。外食の際は、食べ放題・飲み放題のお店をできるだけ選ばないようにしてください。
調理法や盛りつけに工夫を
バランスのよい食事を心がけ、ゆでる、蒸すなど油を使わない調理法も取り入れてみましょう。どうしても食べ過ぎてしまうなら、食器を小さなものに変えてみるのも一案です。
食べる順や食べ方を変えてみる
食物繊維が豊富なおかずを先に食べると、糖質の消化吸収が緩やかになり、中性脂肪の生成を抑えられます。食物繊維には、脂肪の吸収を抑える働きもあります。また、よく噛んでゆっくり食べると、消化が助けられると共に早食いによる食べ過ぎも防げます。
食べる時間帯に気をつける
欠食すると、体が危機感を覚えて脂肪を蓄積しやすくなります。1日3食を、毎日できるだけ同じ時間帯に食べるとよいでしょう。また、夜は消費エネルギーが少ないため、遅い時間の食事は中性脂肪の蓄積につながります。夕食は21時まで、あるいは就寝の2時間前までに済ませるのがおすすめです。難しい場合は、食事を夕方と帰宅後に分けてとるようにしましょう。
中性脂肪を上げやすい食べ物・飲み物

中性脂肪の数値を押し上げやすい、注意が必要な食べ物や飲み物について解説します。これらを好んでとりすぎている場合は、摂取量や頻度を見直すきっかけにしてみましょう。
糖質が多い食品
糖質は体のエネルギー源として欠かせませんが、主食となる炭水化物、お菓子、甘い飲み物などで糖質をとり過ぎると、エネルギーとして消費しきれず、余った分が中性脂肪になります。
砂糖は吸収が早く、血糖値を急上昇させるため、過剰なインスリン分泌へとつながって中性脂肪の合成を促します。さらに、砂糖のとり過ぎは概日リズム(24時間周期で生体機能をつかさどる体のリズム)に合わせて行われる肝臓の脂質代謝を乱し、その影響で脂質合成が促進されるという研究報告もあります。
果物に多く含まれる果糖は、中性脂肪の合成を促す物質に変換されます。血糖値を上げにくい性質があるものの、その代わりに満腹感がなかなか得られず、食べ過ぎの原因にも。
また、ジュースや清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」は、果物と比べて繊維質が少なく中性脂肪を増やしやすいので注意しましょう。
脂質が多い食品
脂質も過剰に摂取すると、エネルギーとして消費されなかった分が中性脂肪になります。ただし、中性脂肪を増やすという点では、脂質よりむしろ糖質のほうが大きく影響します。
脂質を構成する脂肪酸は中性脂肪の構成要素となるものですが、サバやイワシなどの青背魚に含まれるEPAとDHAといったオメガ3脂肪酸は、肝臓での脂肪生成を抑えたり、脂肪分解を促進したりして中性脂肪値を低下させる働きがあります。
これらは体内で合成されない必須脂肪酸のため、食事からとる必要がありますが、体によいといっても脂質であるため、とり過ぎには注意しましょう。
お酒
アルコールが肝臓に入ると、中性脂肪の原料である脂肪酸をつくる働きが高まり、逆に脂肪酸を燃焼する働きは低下するため、中性脂肪が増えやすくなります。また、アルコールが分解されるときに生じるアセトアルデヒドは、肝硬変やがんのリスクを高めるだけでなく、中性脂肪の代謝も抑制します。
ビールや日本酒、甘いカクテルなどには糖質が多く含まれることや、お酒のおつまみの多くは脂質過多であることも、中性脂肪値に影響します。
注意すべきは「白い食べ物」
一概にはいえませんが、中性脂肪を増やさないために注意すべきなのは「白い食べ物」です。精製された米や小麦、砂糖、肉の脂、ショートニング(油脂)などは、どれも白い物です。
例えば、白米や小麦を食物繊維が豊富な玄米や全粒粉に変える、白砂糖は未精製でミネラルなどを含む黒糖に変えるといった工夫をしてみるとよいでしょう。
中性脂肪に関するよくある質問

中性脂肪を減らす効果的な方法は?
食生活の見直しも必要ですが、それと併せて、体を動かしたり生活のリズムを整えたりするなど、生活習慣も改善しましょう。無理なダイエットをするのではなく、こまめに体を動かすことや軽い運動を日常に組み込み、継続していくことが大切です。
また、睡眠の質の低下は生活や食欲を乱す原因となり、中性脂肪の増加にもつながります。健康の基本として、睡眠の質向上も目指しましょう。生活習慣の見直しについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
中性脂肪が高くなる一番の原因は?
中性脂肪値を高めてしまう原因はさまざまありますが、一番の原因といえるのが食べ過ぎや飲み過ぎ、偏った食事による肥満です。糖質、脂質のとり過ぎに注意すると共に、食物繊維や質の良い油などをとり、栄養バランスが整った食生活を意識しましょう。また、大食い・早食いを抑えるように食べ方を工夫するのもおすすめです。
この方にお話を伺いました
公益財団法人結核予防会 総合健診推進センター所長 / 日本肥満症予防協会理事長 / 医学博士 / 日本内科学会認定医・指導医 / 日本肥満学会専門医・指導医・名誉会員 など 宮崎 滋 (みやざき しげる)
1971年東京医科歯科大学医学部卒業。糖尿病、肥満症、メタボリックシンドロームの治療に従事し、東京医科歯科大学医学部臨床教授、東京逓信病院外来統括部長・内科部長・副院長などを経て、2015年より現職。『健康診断で中性脂肪値が高めの人が読む本』(幻冬舎)、『肥満症教室』(新興医学出版社)など編著書多数。















