初夏に美しい花を咲かせる芍薬。その効果・効能は鎮痛、血行改善、血圧降下など多岐にわたり、「芍薬甘草湯」「加味逍遥散」を始めとする主に婦人科系の漢方薬に配合されています。生薬としての特徴を詳しく紹介します。
芍薬とは

芍薬(シャクヤク)は初夏(5~6月)に咲くボタン科の多年草です。美しい女性をたとえて、「立てば芍薬、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合の花」といわれます。縦にすらりと伸びた茎の先に美しい花を咲かせる芍薬は立ち姿、横に伸びた枝に花が咲く牡丹は座り姿、しなやかな茎の先にうつむき加減に花を咲かせる百合は歩く姿に見えることになぞらえます。
芍薬は漢方生薬の一つであり、日本へは平安時代頃に薬草として伝えられたとされています。江戸時代には園芸用としての人気にも火がつき、500種を超える品種がつくられたといわれています。
生薬としての芍薬は根を乾燥させたものを用います。血を滋養し、婦人科系の働きを整える働きがあり、益気・補血薬(婦人向けの強壮薬)として、月経不順・生理痛・冷え性(冷え症)・不妊症・帯下などに適用される漢方薬に配合されています。
芍薬の効能・効果

芍薬の効能には、鎮痛鎮静、筋弛緩、抗けいれん、血管拡張、抗炎症などがあります。以下で詳しく解説します。
鎮痛鎮静
芍薬に含まれるペオニフロリンなどの有効成分には鎮痛鎮静など幅広い作用が報告されています。そのためさまざまな治療への応用が研究されています。
筋弛緩
ペオニフロリンなどの働きにより、緊張した筋肉を緩める作用があります。このことから、筋肉がけいれんして痛むときや急な腰痛の改善に使われる「芍薬甘草湯」の主成分になっています。
子宮平滑筋の収縮抑制
ペオニフロリンなどの有効成分には子宮筋の収縮を抑制する作用があります。芍薬が主成分である「芍薬甘草湯」は、子宮の平滑筋の緊張を緩和することから生理痛などに用いられています。
血管拡張
ペオニフロリンなどの有効成分に血管拡張作用があります。薬酒として服用すると、緊張を緩めて血の巡りをよくする効果が高まります。
抗炎症
芍薬に含まれるペオニフロリンには抗炎症作用があることが知られています。
芍薬が使われる漢方薬と効能

芍薬が使われている主な漢方薬を紹介します。
※ 漢方薬には市販のものと医療機関で処方されるものがありますが、市販の漢方薬を服用する際は薬剤師に相談し、多剤服用や長期服用は特に注意してください。不安がある場合は医療機関で処方してもらうことをおすすめします。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
芍薬と甘草(カンゾウ)の2種類からなるシンプルな構成の漢方薬です。「気」「血」を補い、肩こり・腰痛など筋肉のけいれんによる痛みを鎮めます。就寝中のこむらがえりにも有効です。胃腸の筋肉のけいれんを抑える作用もあるため、腹痛の際も用いられます。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすい人に処方されます。「気」「血」を補い、冷え性や虚弱を改善します。また、「気」「血」の流れをよくすることで、更年期障害や月経不順も改善します。イライラや不眠症など精神的な症状にも効果が期待できます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血液の滞りを改善する漢方薬で、血行をよくして熱のバランスを整え、上半身ののぼせや手足の冷えを改善します。また、更年期障害や、生理痛、月経不順などの月経異常、しみや皮膚炎を改善する効果も期待できます。皮膚を養う血と水の流れを改善することで皮膚炎などにも効果を示すとされています。
芍薬に関するよくある質問
芍薬を含む漢方の副作用は?
芍薬を含む漢方である、芍薬甘草湯の副作用は、発熱や息切れ、めまいなどがあります。また、加味逍遥散と桂枝茯苓丸は発疹、かゆみ、食欲不振などの副作用が報告されています。
いずれも用法容量を守って服用しましょう。また、副作用とみられる症状があらわれた場合には、直ちに服用を中止し、医師に相談するようにしましょう。
一日の摂取量は?
芍薬が配合されている漢方薬、薬酒によって異なります。定められた用法・用量を守りましょう。














