生姜は一度で使い切ることが少なく、できるだけ長持ちさせたい野菜です。しかし、冷蔵庫で保存しても腐ってカビが生えたり、逆に乾燥して干からびたりすることも。そこで、すりおろしで冷凍するなど、生姜のさまざまな保存方法を紹介します。
生姜を冷凍で保存する場合
体を温める食品の代表格ともいえる生姜。ハウス栽培の新生姜が出回るのが夏、路地物の新生姜の旬が秋で、それ以外の時期は、ひね生姜、囲い生姜などとも呼ばれる収穫後に貯蔵されていた生姜が出荷され、年中食されています。寒さや体の冷えへの対策に、料理に使ったり、飲み物などに加えたりするという人も多いのではないでしょうか?
生姜の保存におすすめなのが、冷凍です。冷凍庫に入れれば約1~2カ月は持ちします。丸ごと冷凍することも可能ですが、用途に合わせてカットしたりすりおろしたりしてから冷凍すると便利でしょう。
丸ごと冷凍する方法(保存期間の目安は約1~2カ月)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗ってペーパータオルで水気を取り、ラップで包む。
- 1を保存容器や保存袋に入れて冷凍する。
使うときは解凍せずにそのまま切ったり、すりおろしたりしてください。
カットしてから冷凍する方法(保存期間の目安は約1~2カ月)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗い、薄切り(煮魚や煮物)、千切り(炒め物やスープ)、みじん切り(炒め物やタレ)など用途に合わせてカットする。
- ペーパータオルで水気を取り、使いやすい量に小分けにしてラップで包む。
- 2を保存容器や保存袋に入れて冷凍する。
使うときは凍ったまま加熱調理するとよいでしょう。
すりおろして冷凍する方法(保存期間の目安は約1~2カ月)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗ってすりおろす。
- 薄いシート状に平らに広げて、ラップで包む。または使いやすい量に小分けにしてラップに包んだり、製氷皿に入れたりしてもよい。
- ラップで包んだ生姜は保存容器や保存袋に入れて冷凍する。
シート状にして冷凍した場合は、必要な分だけ折って使います。スープなどの加熱調理には凍ったまま使い、薬味などにする場合は常温か流水で解凍してください。
生姜を冷蔵で保存する場合
生姜の保存は温度と湿度がカギとなります。生姜を保存するのに適した温度は15℃、湿度は90%ですが、冷蔵庫内の温度・湿度はこれより低め。冷蔵保存するのであれば、乾燥しないように注意して野菜室に入れましょう。1、2週間は保存できます。
冷蔵保存で長持ちさせるなら、水に漬けてカビの発生や乾燥を防ぐのがおすすめです。使いかけの生姜もこの方法で保存が可能です。
注意点は、水をこまめに取り替えるということ。その際に生姜にぬめりが出ていたら洗い落とすとよいでしょう。水を替えるのを怠ると不衛生になり、生姜が傷んでしまいます。この場合の保存期間の目安は1カ月程度です。ただし、水分の多い新生姜にこの方法は適しません。早めに使い切るようにしましょう。
また、刻んだ生姜を油に漬けて冷蔵庫で保存する方法もあります。油でコーティングするので風味も損なわれず、漬けダレや炒め物に加えるにも便利です。中途半端に余ったときなどにおすすめです。
生姜を冷蔵保存する方法(保存期間の目安は約1~2週間)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗い、水気をとる。
- ペーパータオルで包みビニール袋や保存袋に入れる。
- 冷蔵庫の野菜室に入れる。
生姜を水に漬けて保存する方法(保存期間の目安は約1カ月)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗い、傷んだところがあれば取り除く。
- 煮沸消毒した瓶などの保存容器に入れる。
- 生姜全体がかぶるくらいまで水を入れてふたを閉め、冷蔵庫の野菜室に入れる。
- 2、3日を目安に水を取り替える。
使うときは断面を切り落としてください。
生姜を油に漬けて保存する方法(保存期間の目安は約1〜2週間)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗い、傷んだところがあれば取り除き、刻む。
- 煮沸消毒した瓶などの保存容器に入れる。
- 生姜全体がかぶるくらいまでごま油やこめ油を入れてふたを閉め、冷蔵庫の野菜室に入れる。
生姜を常温で保存する場合
生姜の保存では、低温も高温も傷みの原因になるので、保存に適した15℃程度の温度(室温)が保てる季節であれば、冷蔵庫よりもむしろ常温の方が保存しやすいといえます。その際は乾燥を防ぐこと、通気性のよい状態で保管することなどがポイント。約2週間保存できます。
このほか焼酎に漬けて保存する方法もあり、この場合は半年ほどの長期保存が可能です。適しているのはアルコール度数35度以上の焼酎ですが、手に入らない場合は度数が多少低くても問題ありません。ただし、お子さんや車などの運転を控えている人は口にしないよう注意が必要です。
ペーパータオルや新聞紙などで包み保存する方法(保存期間の目安は約2週間)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗う。
- ペーパータオルや新聞紙などを水で濡らし、生姜を包む。
- 風通しのよい冷暗所で保存する。ザルなどに入れて通気をよくするのもおすすめ。
- 生姜が乾燥しないように、ペーパータオルや新聞紙が乾いてきたら、水で湿らせたものと取り換える。
生姜を焼酎につけて保存する方法(保存期間の目安は約半年)
- 〔保存方法〕
- 生姜をよく洗い、瓶などの保存容器に入れる。
- 生姜全体がかぶるくらいまで焼酎を入れてふたを閉める。
- 常温で保存する。
作り置きできる生姜レシピ
生姜には血行促進や体を温める作用があります。特に加熱をすることで温め効果はアップ! ぜひ食事に取り入れてみましょう。保存の利く生姜レシピを紹介します。
食べる刻み生姜
- 〔材料〕作りやすい量
- 生姜 ...... 400g
- ごま油 ...... 120cc
- 鶏がらスープの素 ...... 大さじ1
- 塩 ...... 小さじ1
- 〔作り方〕
- 生姜は黒くなっている部分を取り除き、皮ごとみじん切りにする。
- 鍋にごま油を熱し、1を入れてよく炒める。
- 鶏がらスープの素、塩で味をととのえ、軽く煮詰めて水分を飛ばす。
焼いた肉や冷奴、納豆にトッピングしたり、炒めものに使ったりと幅広く活用できます。ご飯に混ぜて「生姜ご飯」にするのもおすすめ。冷蔵保存で2、3週間、冷凍保存なら2カ月程度を目安に使い切るようにしてください。
黒糖生姜ペースト
- 〔材料〕作りやすい量
- 生姜 ...... 400g
- 黒糖 ...... 80g
- 甜菜糖 ...... 150g
- 酢 ...... 大さじ1
- 〔作り方〕
- 生姜を皮ごとすりおろす。
- 鍋に1、黒糖、甜菜糖を入れて弱火でゆっくり加熱し、約20分、材料を混ぜながら煮詰める。
- 酢を加え、さらに混ぜながら加熱する。余分な水分がなく、全体がしっとりとしたペースト状になれば出来上がり。
生姜焼きや甘味をつけたい料理に活用できます。また紅茶に加えて生姜紅茶として楽しむ他、パンに塗って食べても美味しいです。「食べる刻み生姜」と同様、冷蔵保存で2、3週間、冷凍保存なら2カ月程度を目安に使い切るようにしてください。
新鮮で質のよい生姜の選び方3選
生姜を長持ちさせるなら、まず、新鮮で質のよい生姜を手に入れることが大切です。生姜選びのポイントをご紹介します。
ツヤがあって硬く身が引き締まっている
皮にツヤとハリがあり、傷や色ムラのないものを選びましょう。手に持った感覚が硬くしっかりとしているのは、身が引き締まって水分も保たれている証拠です。
ふっくらと大きい
小さな生姜は繊維質が多い場合があるので、できるだけふっくらとした大きなものを選びましょう。
断面がみずみずしい
カットされた断面が乾燥しておらず、みずみずしいのは新鮮さの証。併せて変色していないか確かめてください。
新生姜の場合は色をチェック
新生姜も選び方のポイントは変わりませんが、全体がつややかで白く、茎の付け根が鮮やかな赤色のものを選ぶといいでしょう。
この方にお話を伺いました
料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト 関口 絢子 (せきぐち あやこ)

川村学園短期大学食物学科卒業。米国AHCN大学 学士課程修了。ホリスティック栄養学を学ぶ。ル・コルドン・ブルー東京校フランス料理中級コース終了。米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー、抗加齢指導士(日本抗加齢医学会認定)などの資格も持つ。エビデンスに裏付けされた、美と健康に関するお悩み解消レシピが人気。「食を通じて世の中を元気に健康にしたい」をモットーに、すぐに実践したくなるお役立ち情報を発信している。