ダイエット中に甘いものは絶対NGと思いがちですが、食べるタイミングや食べ方を工夫して太りにくいものを選べば絶対NGではありません。むしろ制限しすぎると、ストレスから甘いもの欲求を誘発してしまうことがあるので注意が必要です。ダイエット中でも、上手に甘いものへの欲求と付き合うコツをご紹介します。
ダイエット中の落とし穴! 甘いものが欲しくなる原因
ダイエット中なのに甘いものが食べたくなるのは、意志が弱いというわけではなく、心身の機能が影響していることも考えられます。
理由1:炭水化物の制限により糖質が足りなくなったから
ダイエット中に一番気にかかるのは糖質不足です。炭水化物を抜いたり摂取量を減らしたりすると、体や脳のエネルギー源となる糖質が足りなくなります。そのため体が自然と糖質を求め、甘いものが食べたくなってしまうことが考えられます。砂糖などの甘味が強い糖質は速やかに吸収、利用できるため、本能的に欲するのかもしれません。
理由2:甘いものにはストレスを和らげる効果があるから
脳内で働く神経物質「エンドルフィン」や「ドーパミン」には、心身をリラックスさせる効果があります。甘いものを食べると分泌されることもあるため、我慢が続いてストレスがかかると、体が甘いものを欲してしまうと考えられます。
上手に食べてNOストレス! ダイエット中に甘いものを食べるコツ
食べたくなったらまずは心を落ち着かせる
甘いものが食べたくなったら、まずは3回深呼吸する、美味しく香りのよいお茶を飲んで一休みするなどして、いったん心を落ち着かせ、本当に自分が甘いものを欲しているのか確認してみてください。立ち止まることで、惰性で甘いものを口にするのを防げます。
間食をするなら太りにくい14~15時頃に
体内時計の調整を担い、脂質の蓄積に関わるたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」は22~2時に増え、14~15時頃に減ることが分かっています。つまり、おやつを食べるならBMAL1の少ない14~15時頃がベター。BMAL1が増える就寝前は、甘い物に限らず食べ物を口にするのは控えましょう。
早食いは食べ過ぎのもと! ゆっくり味わい満足したらストップ
一度甘いものを口にしたら、残さず一気に食べてしまう人も多いでしょう。東洋医学では、早食いの人、甘いものや脂っこいものを食べ過ぎている人、ストレスを感じている人は、胃に熱がこもった「胃熱(いねつ)」の状態に陥りやすいとされています。
「胃熱」では、食べてもすぐにお腹が空いたり、甘いものなどが無性に食べたくなったりして、早食いや食べ過ぎの悪循環に。ゆっくりと味わい、満足した時点で食べるのを止めることは、この「胃熱」の状態になるのを防ぎ、悪循環を断ち切るのに有効です。
おやつは糖質・脂質が少なく食物繊維が含まれているものを
糖質と脂質は体にとって必要な栄養素です。とり過ぎると肥満や生活習慣病の原因になりますが、不足も問題です。糖質や脂質はその質を考え、食事からバランスよくとりたいものです。砂糖のような単純糖質や乳脂肪分、マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸の少ないものを選びましょう。
また、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の急激な上昇を抑える食物繊維もダイエットには有効です。甘いものを購入する際には栄養成分表示や原材料表示をチェックすることを習慣にしてみてください。
なお、甘いものを食べたくなる大きな要因に栄養不足が挙げられます。以下の記事では、甘いものが我慢できないときはどうしたらいいか、今すぐできる対処法を詳しく紹介しています。
ダイエット中におすすめの甘いもの&おすすめしないもの
ダイエット中でも比較的おすすめできる甘いものと、できるだけ避けたほうがいいものを紹介します。ただし、おすすめのものでも食べ過ぎればエネルギー摂取過剰で体重増加になりますので、ご注意ください。
◎おすすめ1:焼き芋、干し芋や果物
食物繊維が豊富な焼き芋や干し芋、ビタミンが摂取できる果物などがおすすめです。ドライフルーツもよいのですが、乾燥してかさが減っているため、食べ過ぎてしまう可能性があります。また、レーズンなどはオイルコーティングされているものも多いので食べ過ぎないよう注意しましょう。
◎おすすめ2:ハイカカオチョコレート
チョコレートが食べたいときは、糖質の吸収を穏やかにするカカオポリフェノールが多く含まれる、カカオ成分70%以上のハイカカオチョコレートを選ぶとよいでしょう。
◎おすすめ3:黒糖、小豆の寒天寄せ
甘いものが欲しいと強く感じたときは、いっそのことミネラルを含み味も濃厚な黒糖のかけらを口に含んでゆっくり舐めてみるのはいかがでしょう。また、市販の小豆缶を利用して寒天寄せを作っておくと食物繊維もとれる甘味になりますね。
◎おすすめ4:蜂蜜レモン
スライスレモンを蜂蜜に漬けておいて少しずつ食べたり、お湯で割って飲んだりするのはいかがでしょう。薬膳ではストレスで興奮した気持ちをレモンの酸味が抑えてくれると考えます。鬱々、イライラするときは気の流れをスムーズにしてくれるミントの葉を添えてみましょう。
×避けたいもの1:洋菓子、菓子パン類
糖質も脂質もとり過ぎてしまうケーキなどの洋菓子や菓子パンはダイエット中は控えましょう。
×避けたいもの2:清涼飲料水
糖質が多い清涼飲料水は血糖調整を難しくすることがありますので控えましょう。清涼飲料水の中には「カロリー0」を謳う商品もありますが、わずかにカロリーが含まれることもあります。たとえば100mlあたり5Kcal未満であれば0kcalと表記することができます。100mlあたり4kcalであったとすると500mlのペットボトルでは20kcalとなり、砂糖5g分に相当します。
さらに人工甘味料の甘さに慣れることで、より甘いものが欲しくなったりする可能性も指摘されています。甘い飲み物が欲しいときは、お茶やコーヒーをご自身で準備し、甘さを調整するようにしましょう。
食べたいものを我慢し続けるとストレスになります。「〇〇のお店の▲▲が食べたい」といったように食べたいものがある場合は「ゆっくり味わう」「満足したら途中で止める」ことを意識して、無理をせず、時には楽しみましょう。
女性の場合は生理前や生理中のホルモンバランスの変化で甘いものが欲しくなることも。以下の記事で詳しく解説しているので、気になる人はチェックしてみてください。
この方にお話を伺いました
管理栄養士 病態栄養専門管理栄養士 国際中医師 国際中医薬膳管理師 健康運動指導士 食品保健指導士 田中 由美 (たなか ゆみ)
女子栄養大学栄養学部栄養学科実践栄養学専攻卒業後、病院での栄養相談・給食管理、サプリメント販売会社の立ち上げなどに携わる。米国のドクターやハーバリストに分子栄養学、ハーブについて学んだ後、2010年に国際中医師取得。西医栄養学と中医営養学の両面から心地よく過ごしていくための食のサポートを考えている。