甘いものが食べたいときは栄養不足?食欲の原因や対処法をチェック
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甘いものが食べたいときは栄養不足?食欲の原因や対処法をチェック

甘いものは美味しく、幸せな気持ちを運んでくれます。健康維持やダイエットのために控えていても、無性に食べたくなることも......。無理に我慢を続けることも、我慢しきれずに食べてしまって罪悪感を抱くことも、どちらも心身の負担になるものです。そこで、我慢し過ぎず上手に欲求と付き合う方法や、甘いものが食べたくなるメカニズムをご紹介します。

〔目次〕
空腹具合に関係なく食欲が変化する理由
甘いものが食べたいときの心と体の状態
甘いものを我慢できないときの対処法4選

空腹具合に関係なく食欲が変化する理由

甘いもの 食べたい時 足りない栄養素

食欲とは食べ物を口にしたいという欲望のこと。食事をとってから時間が経てば、自然と食欲が湧いてくるものですが、心身の状態によっては、お腹が空いていなくても何かを食べたくなったり、反対に空腹なのに食べたいという気持ちが起こらなかったりすることがあります。食欲が増すと、つい甘いものに手が伸びてしまいがちです。まずは食欲を左右する原因を整理してみましょう。

「食欲が増す」原因は?

負荷のかかる会議の終了後や苦手なことをやり遂げた後など、ストレスから解放されたときに食欲が増すことがあります。またホルモンバランスも影響し、たとえば睡眠不足になると食欲を高めるホルモンの分泌が促されるとされています。女性の場合、生理前や生理中に起こる女性ホルモンのバランスの変化なども、食欲増進につながると考えられています。

「食欲不振」の原因は?

運動不足でエネルギーの代謝が上手くいっていないとき、消化器や口腔に不調があるときなどは食べたいという気持ちがあまり起こらなくなります。また、不安や強いストレスを感じていたり、心身がひどく疲れていたりするときも食欲不振を招きます。

甘いものが食べたいときの心と体の状態

甘いものが食べたいときの心と体の状態

食欲と同じように、甘いものへの欲求も心身の状態に左右されます。主な原因を4つ紹介します。

原因①三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)のいずれかが不足している

栄養に偏りがあると、体が不足分を補おうとして食欲に影響が出ることがあります。中でも甘いもの欲求の鍵を握るのは、糖質を多く含むごはんなどの炭水化物です。ダイエット目的などで炭水化物を抜いたり摂取量を減らしたりすると、体や脳にとって即効性のあるエネルギー源の糖質が不足。体が自然と糖質を求めて甘いものが食べたくなってしまいます。

原因②ストレス解消のため「ドーパミン」の分泌を促す甘いものが必要になる

ストレスは自律神経の働きに影響を及ぼし、食欲を増進も減退もさせます。不安やイライラ、痛み、つらさを和らげて心身をリラックスさせる「エンドルフィン」や「ドーパミン」といった神経物質は、甘いものがきっかけとなって分泌されることもあるため、ストレスがかかると甘いものを欲してしまうと考えられます。

原因③生理によるホルモンバランスの変化

女性は生理周期によって女性ホルモンのバランスが変化します。生理が始まる直前や生理中はホルモンバランスが大きく変わることでイライラや不安といった症状が表れやすくなり、ストレスをきっかけに甘いものを食べたくなる場合があります。

詳しいメカニズムや生理中の甘いもの欲求のコントロール方法はこちらで紹介しています。

原因④血糖値の乱高下により甘いもの欲求が高まる

糖質の多いものを食べると血糖値が急激に上昇。すると血糖値の上昇を抑える働きのあるホルモン「インスリン」の分泌が増え、血糖値が急降下します。このような血糖値の乱高下はイライラやストレスを招き、さらに甘いものが食べたくなってしまうという悪循環に陥ることがあります。

甘いものを我慢できないときの対処法4選

甘いものを我慢できないときの対処法

甘いものの我慢し過ぎはストレスになりますが、食べ過ぎも肥満や生活習慣病を招きます。ついつい手が伸びてしまうときは、以下のような対処法を意識してみましょう。

対処法①主食を抜かず、栄養バランスのよい食事をとる

炭水化物の摂取を控えると体が糖質を求めて甘いものが食べたくなるので、ごはんなどの主食は適量をきちんと食べることが大切です。

また、必須アミノ酸の「トリプトファン」は抗ストレスホルモンの「セロトニン」の原料となります。ストレスによる甘いものの過食が気になる場合は「トリプトファン」を多く含む乳製品や大豆食品、卵、赤身の魚などを積極的に食事にとり入れましょう。「セロトニン」の生成には、朝食でタンパク質をとることも有効なので、パンとコーヒーだけで済ませるのではなく、卵やヨーグルトなどを加えるのがおすすめです。

「トリプトファン」から「セロトニン」を生成するのに役立つビタミンB₆も意識してとるとよいでしょう。ビタミンB₆は赤身の魚や脂身の少ない肉などに多く含まれます。

糖質、タンパク質に脂質を加えた三大栄養素は、互いに力を合わせて人間の体をつくり維持していくものです。いずれも欠かさずバランスよくとることを心がけてください。レトルト食品やインスタント食品にも三大栄養素をバランスよく摂取できるものがありますので、忙しいときに活用するのも一案です。

対処法②本当に「甘いものが食べたいのか」を落ち着いて考える

甘いものが食べたくなったら、深呼吸をしたり美味しく香りのよいお茶を飲んで一休みしたりして、いったん心を落ち着かせ、本当に自分が甘いものを欲しているのかを確認してみてください。立ち止まることで、惰性で甘いものを口にするのを防げます。

このとき、「お腹が空いている」となる場合は、食事が足りない、あるいは食事で不足している栄養素があるということの表れです。食事を振り返って何が不足しているのかを探り、補うようにしましょう。

対処法③甘いものを食べるときはゆっくり味わって脳を満足させる

単に甘いものを求めているのであれば、果物や少し甘さを加えたヨーグルトなどの乳製品で甘味への欲求を満たすとよいでしょう。

ただし、「〇〇のお店の▲▲が食べたい」ぐらい、食べたいものが具体的に思い浮かぶ場合は、それを我慢することがストレスになってしまいます。そのようなときは、思い切って食べてしまうことをおすすめします。その際には、ゆっくりと味わって舌と脳を満足させましょう。一度に全部食べ切れなければ、回数を分けて甘いものを楽しんでください。

東洋医学では、食べる量が多い人や早食い人は胃に熱がこもった「胃熱(いねつ)」の状態に陥りやすく、食べてもすぐにお腹が空いたり、甘いものなどが無性に食べたくなったりすると考えます。ゆっくりと味わい、満足したら食べ終わることには、この「胃熱」の状態になるのを防ぐ効果もあります。

対処法④ストレスをため込まない

甘いものの食べ過ぎを防ぐためにも、ストレスはため込まないことが肝要です。ストレスの解消方法は人それぞれですが、ストレッチなどで体を動かす、十分な睡眠をとる、普段は行わないようなことに取り組んでみるなどするとよいでしょう。

イライラしたり気分が落ち込みやすかったりした場合、東洋医学では、肝気(かんき)の巡りが滞り、自律神経の乱れが生じていると考えます。また、胃熱の原因にもなるので睡眠や食事の時間など生活リズムを整え、気の巡りをよくしましょう。深呼吸や歌を歌うことも、副交感神経を優位にしてリラックスでき、さらに全身の血行が促されるのでおすすめです。

このほか香りのよいお茶は肝気の巡りを助けます。ミントティーやジャスミンティーなどお気に入りのハーブティーを探してみましょう。

この方にお話を伺いました

管理栄養士 病態栄養専門管理栄養士 国際中医師 国際中医薬膳管理師 健康運動指導士 食品保健指導士 田中 由美 (たなか ゆみ)

田中 由美

女子栄養大学栄養学部栄養学科実践栄養学専攻卒業後、病院での栄養相談・給食管理、サプリメント販売会社の立ち上げなどに携わる。米国のドクターやハーバリストに分子栄養学、ハーブについて学んだ後、2010年に国際中医師取得。西医栄養学と中医営養学の両面から心地よく過ごしていくための食のサポートを考えている。

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