春は1年でもっとも寒暖差が大きい季節。暖かい日差しに心躍る一方で、気温の変化に体がついていけず体調を崩してしまうことも。
そこで、春に体調を崩しやすい人の傾向と、体質別のセルフケアをご紹介。体質にあったケアを毎日の生活に取り入れて、気持ちよく春を過ごしましょう。
あなたに起こりやすい不調は? 症状から春の体質をチェック
春に多くみられる不調には、主に4つのタイプがあります。まずはチェック表で、自分に当てはまる症状や状態がないか確認してみましょう。
2つ以上チェックがついたら、下で紹介しているタイプ別セルフケアを始めましょう。
イライラ&ウツウツタイプ

- □ 頭がぼーっとする(のぼせる)
- □ 頭痛やめまいがある
- □ いつもよりイライラしやすい
- □ ため息をよくつく
- □ 落ち込みやすい
- □ 下半身が冷える
これらに2つ以上当てはまる人は、気の巡りが頭のほうに逆流してバランスが乱れるイライラ&ウツウツタイプ。
春の兆しが出てくる2〜3月は自律神経のコントロールをしている「肝」の働きが乱れやすく、気の逆流によってのぼせやめまい、頭痛など、上半身に不快な症状が現れます。
この状態を放っておくと、4〜5月にウツウツとしてきて、五月病のような症状が現れることも。早め早めの対策が重要です。
ヘトヘトタイプ

- □ 目が疲れやすい
- □ 目の周りがピクピクする
- □ 肩や首などに筋肉のこりがある
- □ いつもより疲れやすく、だるい
- □ 顔色が悪い
- □ 55歳以上である
これらに2つ以上当てはまる人は、血行不良で疲れがたまりやすいヘトヘトタイプ。
春は生命の力がみなぎり、やる気や元気をもたらす「陽」の気が高まる季節です。しかし、加齢などにより自律神経の働きが低下すると、春のエネルギーに体がついていけず、血行が悪くなり、目や肩、首などの筋肉に疲れが出やすくなります。
無理をすると風邪や帯状疱疹(たいじょうほうしん)の症状が出ることもあるので注意しましょう。まずは疲れの解消を。
不眠タイプ

- □ 眠りが浅く、就寝中によく夢を見たり目が覚めたりする
- □ 日中に強い眠気がある
- □ のぼせやすい
- □ イライラしやすい
- □ 首や肩、背中がこる
2つ以上当てはまる人は、上半身に熱がたまり、不眠の状態です。
ムズムズタイプ

- □ 咳や喉のかゆみ、鼻水、鼻づまりがある
- □ 皮膚のかゆみや湿疹が出やすい
- □ 頭痛や頭重がある
- □ 便秘がち、便がコロコロと硬い
- □ 食事の時間が不規則
- □ 甘いものをよく食べる
2つ以上当てはまる人は、皮膚や粘膜が荒れている状態です。
タイプ別のおすすめセルフケア
イライラ&ウツウツタイプのセルフケア

イライラ&ウツウツタイプは、気の巡りをよくして精神を安定させることを心がけましょう。
気の巡りをよくするツボを刺激する

- 百会(ひゃくえ)...... 頭のてっぺんのほぼ中央。眉間の中心線と左右の耳を真上で結ぶ線が交差する所
→指の腹や手のひらで優しくマッサージするように押しましょう。 - 太衝(たいしょう)...... 足の親指と人差し指の骨の分かれ目
→手の親指の腹を当て、優しく押し回しましょう。
気の集まる丹田(たんでん)に意識を向ける
立っているときや座っているときに、下腹部を意識しましょう。下のように、丹田(たんでん)を意識して行う呼吸法も有効です。

- 〔丹田を意識した呼吸法〕
- 鼻から息を吸い、お腹をふくらませ、約5秒間息を止める。
- お腹をへこませながら、口からゆっくり10秒かけて息を吐き出す。これを3〜5回繰り返す。
香りを活用する
すっきりとした香りには、気の巡りをよくする働きがあります。ネロリなど柑橘系のアロマや、香りのよい春の香味野菜(クレソン、ふき、三つ葉、あさつきなど)を取り入れるとよいでしょう。
香りは速やかに脳に働きかけ、感情をリセットしてくれるので、即効性も期待できます。

香りにはほかにもさまざまな効果があります。以下の記事も参考に、日常に取り入れてみましょう。
日常にプチわくわく感をプラス
家にこもって休んでばかりいると、休息モードの副交感神経が常に優位な状態となります。すると、体が重く、だるさが出やすくなり、かえって疲れがたまることも。
趣味や散歩など、適度な刺激があると自律神経のオンとオフの切り替えがしやすくなるので、生活の中にちょっとした楽しみをもちましょう。
ヘトヘトタイプのセルフケア

ヘトヘトタイプは、血行をよくして疲れをとるセルフケアを生活に取り入れましょう。
肩こりや目の疲れに有効なツボを刺激する

- 風池(ふうち)...... 首の後ろ、髪の毛の生え際付近のへこみ
→頭の後ろで手を組むようにし、両手の親指を使ってゆっくり押しましょう。 - 肩井(けんせい)...... 肩の上側のちょうど真ん中
→右肩は左手、左肩は右手の指を立て、垂直に引き下ろすように押しましょう。 - 太陽(たいよう)...... 眉尻と目尻の中間から指1本分外側
→押しやすい指で優しく押しましょう。 - 攅竹(さんちく)...... 眉頭の内側の少しへこんでいる部分
→人差し指の腹で、額の中心に向かって優しく押し上げましょう。
酸味のあるものをとる
柑橘類や酢の物、梅干しなど、酸味のあるものをとりましょう。酸味には血の流れをよくする作用があると考えられています。
ただし、胃腸が弱い人はとり過ぎに注意してください。

交互浴をする
交互浴とは、体を温めるのと冷やすのを交互に行う入浴法です。自律神経が鍛えられて血流がよくなり、疲労回復に効果的です。

- 〔交互浴のやり方〕
- 湯船でゆっくり温まる。
- 手や足先に30℃程度のぬるま湯を15秒ほどかける。
- さらに湯船で40秒ほど温まる。
- 2〜3を3〜5回ほど繰り返す。
湯の温度が体に与える効果については、以下の記事も参考にしてください。
予定をいつもの8割にする

元気な人でも季節の変わり目は疲れが出やすいので、予定はいつもの8割程度にしましょう。旅行やイベントの後には休息をとり、エネルギーを補う調整期間をもつのがおすすめです。
不眠タイプのセルフケア

春の陽気から、気の巡りが頭に逆流して上半身に熱がたまり、のぼせやすい時季です。首や肩がこったり、なかなか寝つけず眠りが浅くなったりして、日中の眠気につながることも。まだ寒さが残っている3月上旬頃、春の気候に体が慣れていないときに症状が出やすくなります。
不眠を改善するツボを刺激する
失眠(しつみん):不眠を緩和するツボ

かかとの真ん中。指では物足りなく感じるときは、棒状のもので押しましょう。
神門(しんもん):不安や緊張を抑えるツボ

手首の内側にある小指側のくぼみ。親指をくぼみに入れ、左右に動かすように押しましょう。
百会(ひゃくえ):不安や緊張を抑えるツボ

鼻から頭頂部へ垂直に伸ばした線と左右の耳の上端を結んだ線が交差するところ。指の腹でゆっくり押しましょう。
完骨(かんこつ):首のこりを緩和するツボ

耳の後ろにある飛び出た骨の下にあるくぼみ。両手の親指で頭を持ち上げるように押しましょう。
一気に脱力して上昇した気を下げる

上がった気を下げるには、体の力を抜くことが有効です。いったんギューッと体に力を入れ、肩を上に引き上げてから、息を吐くと同時に一気に脱力させます。体を左右にゆすったときに手がぶらぶらしていれば、力が上手く抜けている証拠です。
夜は照明を落としてのんびり過ごす

夕方以降は部屋の照明を落としてゆったり過ごしましょう。体を動かすならストレッチや軽めのヨガを、本を読むなら心の落ち着くような内容にして、体も頭も休めるのがおすすめです。
苦味のある食材で体の熱を冷ます

たけのこやふきのとうなどの山菜、みょうが、らっきょうなど苦みのある食材は体にたまった余分な熱をとるため、不眠によいとされます。
※ ふきのとうのあくは肝臓に負担をかける可能性があるため、しっかりあく抜きをし、食べ過ぎにも注意しましょう。
ムズムズタイプのセルフケア

春一番が吹くように強い風が起こりやすい春は、風によって体にも悪い影響「風邪(ふうじゃ)」を受けやすい時季です。花粉を始めとしたさまざまな物質が風で運ばれ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状、皮膚や喉のかゆみ、頭痛、便通異常など全身に不調が及ぶこともあります。
ムズムズ症状を改善するツボを刺激する
上星(じょうせい)・迎香(げいこう):鼻水や鼻づまりを改善する

上星は、顔の左右の中心線上で髪の生え際から2cmほど上。指の腹で優しく揉みほぐすように押しましょう。
迎香は、小鼻の両脇、少しくぼんだところ。両手の人差し指で静かに押しましょう。
天柱(てんちゅう):鼻の症状に加え、頭痛を緩和する

首の後ろにある2本の太い筋肉の外側のくぼみ。髪の生え際あたり。両手の親指で頭を持ち上げるように押しましょう。
甘いものや夜食は控える

夜遅い時間の食事や甘いものの食べ過ぎは"風邪"による皮膚や粘膜のムズムズ症状を悪化させるので、春は特に食生活に気をつけましょう。ミント(薄荷)に含まれる香り成分には、目や鼻のムズムズ症状を改善するだけではなく、リフレッシュ効果もあります。
皮膚のムズムズ症状には潤い作用のあるさくらんぼ、咳や痰(たん)などの症状があるときには、喉の不調ケアに作用するいちごもおすすめです。
帰宅後の手洗い・うがい・洗顔で花粉やほこりを落とす

強い風によって舞い上がった花粉やほこりが皮膚に付着することが肌トラブルの原因になっています。帰宅したら、手洗い・うがいに加えて洗顔もセットで行い、皮膚のザワザワ感を取り除きましょう。
新しい生活や人間関係が始まる春は、忙しさからつい体への気遣いを忘れてしまいがち。いつも以上に体調管理に気を配って、元気に過ごしたいですね。
この方にお話を伺いました
東京女子医科大学東洋医学研究所所長・教授 木村 容子 (きむら ようこ)
医学博士。日本内科学会認定医・指導医・理事。著書は『太りやすく、痩せにくくなったら読む本~医師が教えるほんとうのダイエット~』(大和書房)など多数。
















