私たちの体には数百のツボが点在しており、その多くは体に網のように張り巡らされた「経絡(けいらく)」上に位置します。
東洋医学では、経絡とは気と血が流れる道筋のことをいい、経絡の流れが滞ると、こりや冷えなど不調に繋がるとされています。
経絡の流れが滞りやすい場所にあるツボを刺激して、肩こりや冷え、むくみなどの不調を解消しましょう。
※上記6つの経絡上以外で、巡り促進に効果的なツボは以降の文章内で紹介しています。
- 目次
- ツボの押し方とは? 伸ばすだけでも効果があるツボストレッチ
- 経絡上にあるツボのお手軽ストレッチ3選
- 1日中むくみ知らず! 朝・夜におすすめの血行促進ツボストレッチ
- 忙しい人はこれだけ! お風呂で"ながらツボストレッチ"2選
- 冷え症に効果的! ツボに置くだけセルフお灸
ツボの押し方とは? 伸ばすだけでも効果があるツボストレッチ
「ツボを刺激するためには、1点をギューッと押さないといけない」と思っていませんか?実はそれは間違い。自宅でセルフケアとして行うなら、ツボが並んでいる経絡をグイーッと伸ばすだけでも十分です。
また、ツボとその周りの筋肉を一度に動かすと、相乗効果で血液やリンパ液の巡りがよくなります。血行やリンパの流れを促進することで、効果が実感しやすくなるという利点もあります。
経絡上のツボを刺激するお手軽ストレッチ3選
◯心包経(腕~手)を伸ばす
左手で右手の指を下向きに反らせるように引く。反対側も同様に。
◯大腸経(頭~腕)を伸ばす
後ろで手を組み、肩甲骨を引き寄せるようにして胸を開きながら頭をゆっくり後ろに倒す。
伸ばすことで経絡上にある複数のツボを一度に刺激できる。
◯胃経(頭~脚)を伸ばす
足の甲側を床に押しつけるようにしてすね全体を伸ばす。片足ずつ行う。
1日中むくみ知らず! 朝・夜におすすめの血行促進ツボストレッチ
朝はリンパの通り道「首」のツボストレッチ
朝は顔周りのツボストレッチを行ってリンパの流れをよくしましょう。老廃物を排出させることができ、目がパッチリ、血色アップなどの効果が期待できます。
○欠盆(けつぼん)
鎖骨の上のくぼみの真ん中にあり、顔や首のリンパが流れ込むところ。押しながら伸ばすと顔の余分な水分が流れて、血色もよくなります。
1.指を欠盆に当て、鎖骨のくぼみに沿って円を描くように揉みます。
2.鎖骨の下に手を置き、欠盆が伸びるように首の前の筋肉を伸ばすとさらに効果的です。やり過ぎると首を痛めるので、ほどほどにしましょう。
※顔から首を通り欠盆までを優しくマッサージするだけでも有効です。
夜はむくみがちな「脚」のツボストレッチ
日中同じ姿勢を続けていると水分の流れが滞り、脚がむくみやすくなります。足首やふくらはぎをよく伸ばしてツボを刺激することで、体の余分な水分を排出しましょう。
○陰谷(いんこく)
膝を曲げた時にできる横じわの少し下(足の内側)。
○陰隆泉(いんりゅうせん)
内くるぶしからすねの骨の内側を真上にたどり、指が止まるところ。
この2つのツボに指を当てて軽く押しながら、ゆっくり皮膚ごと動かすようにして回しましょう。
顔や全身のむくみに効果的なツボもあります。
忙しい人はこれだけ! お風呂で"ながらツボストレッチ"2選
脳や目を酷使し、座りっぱなしや立ちっぱなしの生活が多い方は、入浴中に頭と足のツボを刺激し体の緊張をほぐして巡りを整えましょう。
特に頭には百会をはじめ多くのツボがあります。シャンプーの際に頭全体を優しくマッサージするようにツボを刺激するのがおすすめです。
○百会(ひゃくえ)
左右の耳の先端を結んで交わるところ。自律神経の働きを整える作用があります。
○湧泉(ゆうせん)
足裏の中央よりやや上にあるくぼんだところ。頭の血行をよくしたり、体のだるさや疲れをとったりする作用があります。
冷え症に効果的! ツボに置くだけセルフお灸
冷え症やむくみに特に効果的なお灸。薬局やドラッグストアには、一人で手軽にできるお灸があります。
時間はいつでもよいので、ツボストレッチをするタイミングや寝る前などに取り入れてみてはいかがでしょうか。三陰交、足三里のツボをお灸で刺激するとリラックス効果に加え、血行促進などの効果も期待できます。
※入浴直後の柔らかい肌には刺激が強い場合があるので注意。
○三陰交(さんいんこう)
足の内側、くるぶしの中心から指4本分上、骨と筋肉の間。婦人科系の病症全般に有効。血流を促す作用もあります。
※妊娠中の方は医師にご相談ください。
○足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側にあるくぼみから指4本分下。すねの骨の外側の縁。胃腸の調子を整えたりむくみを改善したりする作用があります。
手軽にできるツボストレッチで、巡りのよい体づくりを始めましょう。また、イライラしやすい、気がめいってしまいがちという人は、気持ちを落ち着かせてくれるこちらのツボも試してみて下さい。
この方にお話を伺いました
目白鍼灸院院長 柳本真弓 (やなもと まゆみ)

大学卒業後ひょんなことから興味を抱き、―念発起して鍼灸の世界へ飛び込む。東京衛生学園卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧国家資格取得。リンパドレナージセラピスト。著書に『Dr.クロワッサン 心が弱ったときのツボ ストレッチ。』(マガジンハウス)、『「手」をもむ、触る、押すだけで、た ちまち健康になる!』(マガジンハウス)、『指3本で確実に捉える不調に 効くツボJ(NHK出版)などがある。