クコの実(ゴジベリー)の効果・効能とは?栄養や食べ方を紹介
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クコの実(ゴジベリー)の効果・効能とは?栄養や食べ方を紹介

杏仁豆腐の上にちょこんと載っている赤い果実、クコの実。美容や健康に良い栄養成分が豊富に含まれていて、中国では古くから「不老長寿の薬」として、欧米でも「ゴジベリー」の名でスーパーフードとして親しまれています。

そんなクコの実がもつ力とはどのようなものなのか。クコの実の栄養成分とその効果・効能、おすすめの食べ方についてご紹介します。

〔目次〕
クコの実(ゴジベリー)とは?
クコの実の効果・効能
クコの実の栄養
クコの実の効果的な食べ方・飲み方
クコの実こぼれ話

クコの実(ゴジベリー)とは?

クコの実(ゴジベリー)

クコはナス科クコ属に属する植物で、高さ1~2m ほどの落葉低木です。中国が原産といわれ、日本でも全国の河川敷や林縁、海岸付近の日当たりのよい土手や原野などに自生しています。

夏頃になると淡紫色の花を咲かせ、9月〜11月に長さ1.5cm ほどの楕円形の赤い実をつけます。クコの実は生でも食べることはできますが、独特の苦みがあり、一般的に流通しているものは乾燥させてドライフルーツにしたもの。ほのかに甘みがあり干しブドウのような食感です。生薬「枸杞子(くこし)」は、乾燥させたクコの実で、中国では古くから「不老長寿の薬」として利用されてきました。世界三大美女のひとり楊貴妃も毎日食べていたといわれています。

日本国内では「クコの実」、クコの実は中国語の発音では「gou qi(ゴー・チー)」といい、欧米では「ゴジベリー」という名で知られています。本草綱目によると、「カラタチ(枸橘)のようなとげがあり、コリヤナギ(杞)のように枝がしなやかであったことから「枸杞(クコ)と名付けられたとされています。

クコの実の効果・効能

クコの実の効果・効能

クコの実が持つ効果・効能は多岐にわたります。その中でも代表的なものについてご紹介しましょう。

生活習慣病の予防・改善

生薬「枸杞子」には抗脂肪肝※ 作用や血圧降下作用もあるとされているため、肝硬変や高血圧などの生活習慣病の予防効果も期待できます。

※ 脂肪肝 ... 食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に蓄積する病気

滋養強壮

クコの葉や根も薬効が注目されており、クコの根皮を乾燥したものは「地骨皮(ジコッピ)」と呼ばれ、滋養作用のある解熱薬として利用されています。クコの葉を乾燥したものは「枸杞葉(クコヨウ)」と呼ばれ、民間薬では茶剤として用いられています。

疲労回復

クコの実にはビタミンB1が含まれています。人の体はビタミンB1が不足すると、乳酸などの疲労物質がたまって疲労感や倦怠感、食欲不振などが現れます。

ビタミンB1には乳酸の蓄積を抑制して疲れを防いだり、疲労回復を早めたりする効果があります。

免疫力向上

クコの実にはビタミンCも豊富に含まれています。ビタミンCは体内に侵入したウイルスや細菌と戦う白血球やリンパ球の働きを助けることから、ビタミンCを摂取することで免疫機能が強化され、病気への抵抗力が高まるとされています。

美肌&アンチエイジング効果

美肌&アンチエイジング効果

私たちの体は酸素を利用してエネルギーを作り出しますが、その際、体内には活性酸素が生じます。この活性酸素がシワ、しみといった老化の原因となります。

クコの実にはこの活性酸素から体を守る抗酸化作用の働きをもつクコ多糖類(LBP)や、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンE、カロテノイドなどが含まれています。そのため抗酸化作用が強く、老化・病気の予防やエイジングケアに効果があるとされています。

また、クコに豊富に含まれるビタミンCには、シミ・そばかすを予防し、ハリのある若々しい肌を保つ効果があり、皮膚・髪・爪などの発育に関わるビタミンB2も多く含まれています。

視力改善

クコの実に含まれるゼアキサンチンという成分は、紫外線などで目が酸化することを防いだり、目の網膜を保護したりする働きがあり、加齢に伴う目の病気を防ぐ効果や視力低下、眼精疲労の予防などの効果が期待できます。

クコの実の栄養

以下はクコの実の成分表です。これらの中でも特に特徴的な栄養成分についてご紹介します。

〔クコの実に含まれる主な栄養素〕
ナトリウム ...... 510mg
カリウム ...... 1,400mg
カルシウム ...... 47mg
リン ...... 180mg
マグネシウム ...... 77mg
鉄 ...... 4.0mg
亜鉛 ...... 1.2mg
銅 ...... 0.69mg
βカロテン ...... 800μg
ビタミンB1 ...... 0.28mg
ビタミンB2 ...... 0.40mg
ナイアシン ...... 4.6mg
ビタミンC ...... 9mg

(出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)

豊富なミネラル

ミネラルは無機質とも呼ばれる5大栄養素の1つ。

体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で、骨や歯、皮膚などのもとになったり、体の機能や組織を調節・強化したりして心身のバランスを正常に保つなど役割を担っています。

ミネラルは体内で合成できないため食物としてとる必要があり、多くのミネラルをバランスよく摂取することが重要です。クコの実にはミネラルがバランスよく含まれ、中でもカリウム・鉄・銅・亜鉛・マグネシウムは、ドライフルーツの中でもトップクラスの含有量といわれています。

ビタミンB1

ビタミンB1はチアミンとも呼ばれる水溶性ビタミンで、糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンです。疲労回復や健康な皮膚・粘膜の維持に加え、脳や神経などに円滑な情報伝達をするためにも必要な栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB1が糖質の代謝に関わるのに対して、ビタミンB2は脂質の代謝を助けます。皮膚や粘膜、髪、爪などの発育に役立ち、発育促進に必要なビタミンとされています。

ナイアシン

ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称で、ビタミンB3とも呼ばれる栄養素です。糖質やタンパク質、脂質のエネルギー代謝をスムーズにし、皮膚や粘膜を正常に保つ作用や、血流をよくする作用があります。

ビタミンC

細胞の結合組織にあるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンです。コラーゲンには肌に張りをもたせたりするだけでなく、血管や粘膜、骨、軟骨などを丈夫にする可能性もあるといわれています。

ビタミンCは強い抗酸化作用をもっているので、老化防止に加え動脈硬化や心筋梗塞などの予防効果も期待できます。また、ビタミンCを摂取することで免疫機能が強化されたり、ストレスへの抵抗力を高めるなど、現代人に嬉しい効果が多くあります。

βカロテン

βカロテンは植物がもっているオレンジ色の色素成分で、摂取するとビタミンAに変換されて働きます。皮膚や粘膜の健康を維持して、抵抗力をアップさせる働きがあると考えられています。強い抗酸化作用もあり、アンチエイジングや成人病予防も期待できます。

クコ多糖類(LBP)

成分表にはありませんが、クコの実を代表する成分の1つです。クコ多糖類は抗酸化作用をもち、健康や美容にプラスになるさまざまな効果が期待できます。

また、細胞の免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑制する効果もあるといわれています。

ゼアキサンチン

これも成分表にありませんが、クコの実には豊富に含まれる栄養成分です。ゼアキサンチンはカロテノイドの1つで、目の黄斑部に存在し、光の刺激から保護してくれる成分です。強い抗酸化作用を持つことでも知られており、活性酸素を取り除いて体へのダメージを少なくしてくれます。

ベタイン

アミノ酸の一種で、植物や水産物などに含まれる天然物質です。血糖値の急激な上昇を抑えたり、脂肪肝や動脈硬化・糖尿病を予防したりする働きがあります。

ポリフェノール

ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分です。ビタミンCやビタミンEと同様に強い抗酸化作用があり、美肌やアンチエイジング効果、さらには動脈硬化や糖尿病、肥満や予防する働きなども報告されています。

クコの実の効果的な食べ方・飲み方

そのままつまんでも、ヨーグルトやお鍋に入れても楽しめるクコの実。アイディア次第でその楽しみ方はさまざまです。

クコの実を使ったデザート

デザートでは、杏仁豆腐にのっていることが多いクコの実ですが、寒天と共にいただくのもおすすめです。

パンケーキの生地に、ドライフルーツと同じような扱いで混ぜて焼くという人も。ドライフルーツと混ぜたものをガラス瓶に入れておき、つまんだり、いざというときの非常食にしたりしても◎。

ナッツやかぼちゃの種などとブレンドして、山登りなどに携帯食として持って行くのもよいですね。

クコの実の薬膳鍋

薬膳鍋

ほんのりとした甘酸っぱさがあるクコの実は、まずは鶏の水炊きなどに入れてみるのがおすすめ。

味に慣れたら五香粉や八角、老酒、花淑油などを入れた本格的な薬膳火鍋にチャレンジしてみましょう。冬は松の実やナツメも一緒に入れると、体の滋養にも。

クコの実を使ったサムゲタン

疲労回復に有効な鶏肉を、巡りをよくする生姜やにんにくと一緒に煮込んだ滋養スープ「サムゲタン」。韓国では夏バテ予防の定番食でもあり、土用鰻のように食べられている一品です。

下記記事では、鶏の手羽先や餅を使った「お手軽サムゲタン」のレシピをご紹介しています。あわせてご覧ください。

クコの実を使った混ぜご飯

クコの実を混ぜご飯の具に使うと、ビタミンやミネラルを手軽にとれるうえ、彩りもきれいで食事の楽しさもアップ。クコの実は味にクセがないので、さまざまな具材と合わせられるのも魅力です。

下記記事では、クコの実を入れた「緑茶とじゃこの丸麦入り混ぜご飯」のレシピをご紹介しています。ぜひお試しください。

クコ酒

クコ酒

真っ赤なクコの実を使って色鮮やかなお酒をつくってみませんか。乾燥したクコの実と氷砂糖、ホワイトリカーを容器に入れて2カ月ほど待ちましょう。

おすすめは、日本酒でつくるクコ酒。ほんのり赤色に染まり、まろやかな果実味があります。

クコの実こぼれ話

台湾で観光スポットとしても人気の問屋街、迪化街(ディーホアジエ)に行くと、ずらりと生薬やドライフルーツが並んでいます。クコの実は、そのなかで人気のお土産のひとつ。

栽培すると、11月にはつやつやとした赤い実が収穫できるので、乾燥保存すれば一年中食べられるようになりますね。

夏目漱石の小説『草枕』の一節にも、「枸杞(くこ)の生け垣」が登場しているように、昔から人々に親しまれてきたクコの実。さまざまな健康効果も期待できるうえ、赤い小さな実が料理にも美しく映えるので、ぜひ活用してみてください。

記事監修

養命酒製造 健康情報局

養命酒製造 健康情報局

薬用養命酒愛飲家向け健康情報誌『養命酒だより』や会員向けメールマガジン『元気通信』を発行。
医師や専門家の監修のもと、健康に関する情報発信を行っている。

※記事内の情報は、より参照しています。

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