お出かけ時の暑さ対策に力を発揮してくれるハーブは、清涼感が断トツに高いミントの仲間たち! 古くから夏場のクールダウンや虫除け、乗り物酔いや食べ過ぎ・飲み過ぎなどを助けてくれたミントの力&活用方法をご紹介します。
世界には100品種以上のミントがあるといわれますが、今回使用するのは、薬局でも入手できる日本のミント「和種ハッカ(薄荷)」と西洋で活用されてきた「ペパーミント」です。
ミントの種類と、それぞれの効能・活用法について
ハッカ油で作る天然の虫除けスプレー
薬局で売られているハッカ油の「用途」を見ると、「虫除け」と書いてあるものもあります。私たちはスーッと爽快に感じるミントの香り成分「メントール」は、虫にとっては苦手な香りのようです。
ただし、ペパーミント、ハッカ精油は刺激が強いため、このスプレーを使用できるのは3歳以上の子どもから。3歳以上でも精油の分量はレシピの半分以下を目安にしてください。
3歳未満の子どもには、洋服の上から、または抱っこ紐やベビーカーなどにスプレーするのみにしておきましょう。
また、猫を飼われている場合は、ハッカ油、ペパーミントに限らず精油の使用は避けた方がよいでしょう。精油は濃度が高いので、鳥や犬など他の動物を飼われている場合も使用には注意が必要です。
「レモングラス」や「ゼラニウム」も虫除けによい精油として知られています。
お手持ちでしたら、レシピの精油をレモングラスやゼラニウムに代えて虫除けスプレーを作るのもおすすめです!
- 〔用意する物〕
- ハッカ油またはペパーミント精油5~6滴
- グリセリン(またはハチミツ)小さじ1/4
※グリセリンは保湿成分として入れます。なければハチミツで代用もできます。 - 精製水25ml
- ビーカー(またはガラス容器)
※ガラスビーカーは一部100円均一のお店でも入手が可能です。 - スプレー容器30ml
〔How to〕
- ビーカー(ガラス容器)にグリセリンを入れ、精油を垂らしてよく混ぜ合わせる。
- 1. に精製水を注ぎ、さらに混ぜ合わせ、スプレー容器に移す。
※虫除けスプレーを作る際の注意事項については、文末コラム「スプレー制作の注意事項」をご覧ください。
汗のべたつき、気だるさにミントのボディ・ミスト
ミントは、肌に触れるとひんやりとした爽快感があり、上記の虫除けスプレーはボディ・ミストとしても使えます。
汗のニオイを抑える働きや細菌の繁殖を抑える作用もあるので、ミントのボディ・ミストをシュッとスプレーすると、汗ばんだ肌を一瞬で冷却しながら、肌を清潔に保ってくれます。
爽やかなメントールの香りは中枢神経を刺激して脳を活性化するので、暑さによる気だるさも吹き飛んで心身共にシャキッとしてくるでしょう。
帽子の蒸れが気になる時に、このミストを帽子内に一吹きするのもおすすめです。
車内のクールダウンや眠気防止にミントのルーム・フレッシュナー
夏の車移動で気になるのが、車内にこもるニオイや駐車中に充満してしまう熱気...。そんな場面もミントの清涼感あふれる香りがお助け! 人工的な香りが苦手な人や子どもにも安心して活用できますよ。
ハッカには「メザメグサ(目覚め草)」という別名がついているように、ミントの香りは中枢神経を刺激して脳を活性化するので、ドライブ時の眠気防止にも効果的。また、乗り物酔いや時差ボケにも有効とされています。
旅のお供に1本持っておくと、心強い味方になってくれそうです。
- 〔用意する物〕
- ハッカ油、またはペパーミント精油6~7滴(またはフレッシュミントの葉2~3g)
- 無水エタノール10ml
- 精製水20ml
- ビーカー(ガラス容器)
※ガラスビーカーは一部100円均一のお店でも入手が可能です。 - スプレー容器30ml
〔How to〕
精油を使用する場合
- ビーカー(ガラス容器)に無水エタノール、精油を入れる。
- 精製水を加えてよく混ぜ、スプレー容器に移す。
フレッシュミントを使用する場合
- スプレー容器いっぱいに葉を入れ、無水エタノール、精製水を入れてよく振る。
- 一晩立ってからミントを取り出し、使用する。
※ルーム・フレッシュナーを作る際の注意事項については、文末コラム「スプレー制作の注意事項」をご覧ください。
ハッカ油は、消臭のほか、カビや雑菌の繁殖を防ぐ働きがあるとされ、家中の掃除や掃除後の清潔さをキープするのにもおすすめです。
お口の中もいつも爽快! ハッカ油のマウスウォッシュ
薬局で売られているハッカ油は、「食品添加物」でもあります。よく見ると「賞味期限」という表示もあります。ですから、入れ過ぎたり、使い過ぎたりしない範囲でごくごく少量なら口に入れても大丈夫ということになります(※ペパーミント精油は他の精油同様、「雑貨」扱いなので口に入れないようにしてください)。
出先で歯磨きができなかったり、口臭が気になったりした時に、コップ1杯(200ml)の常温の水に1滴だけハッカ油を入れてよくかき混ぜると、即席のマウスウォッシュに!
抗菌作用があるので、これでお口をゆすぐと歯のケアに、うがいをすると風邪のセルフケアにも役立ちます。
暑さによる胃腸の不調にミントティー
暑い日が続くと、どうしても冷たい飲食物を口にしがち...。でも冷たい物ばかり口にしていると胃腸が冷えて、夏バテの原因になります。
ミントには、消化器のはたらきを整える作用があるため、胃もたれや消化不良、食欲不振や吐き気などの不快な症状を鎮めてくれます。
レジャーや帰省でつい食べ過ぎたり、冷たい物を飲み過ぎたり、暑さで食欲がなかったりした時には、ティータイムや食後にミントティーを飲むとよいでしょう。
モロッコでは、緑茶とミントを煮出し砂糖を入れて熱々の甘いミントティーを飲む習慣があります。暑い国なのに、温かいお茶を飲んでいるの!? と意外かもしれませんが、ほどよい甘さと温かいミントティーで暑さから生じる疲労感&胃腸の疲れを癒しているのかもしれません。
フレッシュミントが手元にある場合は、ポットに水とミントを入れて数時間おくと水出しミントティーができます。ポットの中のグリーンが目にも爽やかな演出になりますよ。
★「ハッカとペパーミントの違い」について
同じシソ科ハッカ属の植物ですが、茎や花の形状がやや異なります。ミントのスーッとした香りは、主に「ℓ-メントール」という成分によるものですが、ハッカはこの含有量がとても多いのが特徴。ペパーミントはクールな中にもやや甘い香りで、ハッカはより清涼感が強い香りという印象です。
日本ではペパーミント精油は他の精油と同様に「雑貨」扱いですが、ハッカ精油は薬局でも「ハッカ油」として手に入ります。ハッカ油の価格の目安は20mlで500~600円前後。他の精油と比べてリーズナブルなので、気軽に試してみたいという人にもおすすめです。日本では北海道の北見がハッカの産地として有名です。また、古くから生薬(「薄荷葉(はっかよう)」)としても人々の健康に役立ってきました。
★スプレー制作の注意事項
◎容器について
精油成分が付着すると素材によって容器が溶ける場合もあるため、保管にはガラス製やアルコール対応のスプレー容器を選ぶことをおすすめします。100円ショップなどで購入できます。
◎精油の分量について
人によっては香りが強いと感じるかもしれないので、香りを試してみて強く感じたら入れる分量は少なめから始めるとよいでしょう。
◎子どもの使用について
精油が入ったスプレーを肌に塗布するのは、3歳以上からとされています。ミントは刺激が強いため3歳以上でも精油はレシピの半分以下を目安にしてください。
◎ペットを飼われている場合について
猫を飼われている場合は、ハッカ油、ペパーミントに限らず精油の使用は避けた方がよいでしょう。精油は濃度が高いので、鳥や犬など他の動物を飼われている場合も使用には注意が必要です。
◎保管について
使用する容器は煮沸消毒またはアルコール消毒をします。直射日光や高温多湿での保管を避け、水を使うスプレーは2週間以内に使い切ってください。
◎パッチテストについて
いずれもひじの内側に少量つけ、肌が赤くなったり、かゆくなったりしないかなど、自分にとっての安全性を確認してから使用してください。
この方にお話を伺いました
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ所属 葛和恵奈子 (くずわ・えなこ)

英国IFAアロマセラピスト/AEAJアロマセラピスト/AEAJアロマセラピーインストラクター/メディカルハーブコーディネーター/RTAベビーマッサージセラピスト
編集者として取材で出会ったハーブ&アロマのチカラに魅せられ、メディカルハーブ健康術&生活術を学ぶ。専門学校講師として、またイベントやセミナーでTPOに合わせたハーブ&アロマ活用方法を伝えている。2児男子の母。