桂皮の効能・効果とは?シナモンとの違いや漢方での役割まで解説
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桂皮の効能・効果とは?シナモンとの違いや漢方での役割まで解説

多くの漢方薬に含まれている「桂皮(ケイヒ)」。食材としてはシナモン、ニッキの名でおなじみの生薬です。どういった症状のときに用いられることが多いのか、効能・効果や特徴を詳しく解説します。

〔目次〕
桂皮とは
桂皮の効能・効果
桂皮が使われる漢方薬
桂皮に関するよくある質問

桂皮とは

桂皮とは

桂皮はどんな植物?

桂皮(ケイヒ)は、クスノキ科シナニッケイの樹皮または周皮の一部を除き乾燥させたもの。古くから世界各地で用いられてきた生薬で、芳しい香りと甘辛い味を持っていることで知られています。

スパイスとして親しまれている「シナモン」は食材としての名称です。セイロンニッケイを使ったものが「シナモン」とされ、シナニッケイを使ったものは「カシア」と区別されることもあります。なお、「ニッキ」はニッケイ(日本のケイ)の根を用いたものです。

桂皮の歴史

桂皮の仲間は、世界各地で古くから香辛料や薬として用いられてきました。古代エジプトや古代ギリシャ、旧約聖書などの古文書にもその名が記されています。

漢方の本場中国では紀元前2,700年頃から薬として使われており、東西交易の商品にもされていました。中国の古い書物では「牡桂」「桂枝」「桂心」として記述されています。

日本へは、正倉院の薬帳に「桂心」としてその名が見られ、奈良時代に遣唐使によって唐文化の一つとしてもたらされたと考えられています。当時から施薬院という治療施設において、薬として用いられていたようです。

桂皮の用途

医薬品のほか、食材では香辛料としても活用されています。発汗、解熱、鎮痛作用などがあることから、漢方では葛根湯(かっこんとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、安中散(あんちゅうさん)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)など多くの処方に用いられています。

桂皮の効能・効果

桂皮の効能・効果

桂皮には、血行促進や発汗・解熱作用、鎮痛作用、健胃作用などがあります。以下で詳しく解説します。

血行促進

桂皮には、体の冷えを取り除き、血の巡りをよくする効能があります。そのため冷え性(冷え症)や、冷えからくる肩こり・関節痛・腹痛・下痢・月経痛などにも効果が期待できます。

さらに桂皮に含まれる有効成分「シリンガレシノール」には、毛細血管の細胞を密着させる受容体「Tie2」を活性化させる作用があります。この働きにより毛細血管の炎症を防ぐことで、動脈硬化や糖尿病合併症など生活習慣病の進行を遅らせる効果も期待されています。

発汗・解熱作用

桂皮は発汗解熱作用があり、風邪の予防や初期症状に効きめがあるため、風邪の漢方薬として知られる葛根湯(かっこんとう)や桂枝湯(けいしとう)にも使われています。主成分である精油成分は加熱すると揮発してしまうので、煎じるより薬酒の方が抽出効率が良い場合があります。

鎮痛効果

体を温めて血行を促すことで、冷えからくる肩こり・関節痛・腹痛・月経痛などの痛みにも効果が期待できます。この他抗炎症作用や抗腫瘍作用も認められています。

健胃作用

食欲不振や、胃腸のもたれ、胃の痛みなどを改善してくれる芳香性健胃薬としての作用もあることから、多くの胃腸薬にも配合されています。

桂皮が使われる漢方薬

漢方薬

桂皮は以下を始めとするさまざまな漢方薬に使われています。

葛根湯:体を温め、発汗を促してかぜのひき始めの症状を改善します。
桂枝茯苓丸:血行不良による月経痛、月経不順などの改善に用いられる漢方薬です。
安中散:もともと胃が弱く、胃痛や胃もたれを伴う神経性胃炎などに用いられます。
桂枝湯:かぜの初期に服用することで、かぜのひき始めの症状を改善します。
十全大補湯:「気(き)」「血(けつ)」を補い体力をつける漢方薬。病後・病中の体力低下や疲労倦怠の改善にも用いられます。

桂皮に関するよくある質問

桂皮に関するよくある質問

シナモンとニッキとの違いは?

「シナモン」は食材としての桂皮の名称です。洋菓子類やパン、ドリンクなどの香りづけに使われるほか、煮込み料理にも使われます。

「ニッキ」も同様で、食材としての桂皮の名称ですが、こちらは元々ニッケイ(日本のケイ)の根を用いたもの。飴、八つ橋など和菓子によく使われます。

シナモンの詳しい効果・効能や簡単ドリンクレシピは以下の記事で解説しています。

桂皮の副作用は?

桂皮を食材として活用する場合、大量に摂取すると肝機能を低下させる場合があります。香りづけ程度の量を目安に、ほどほどの使用を心がけましょう。漢方薬との飲み合わせについては医師、または薬剤師に相談してください。

一日の摂取量は?

桂皮の摂取量は、一日当たり0.5〜1gといわれています。料理や飲み物に使う場合は、使用量が多くなりすぎないように注意しましょう。

記事監修

養命酒製造 健康情報局

養命酒製造 健康情報局

薬用養命酒愛飲家向け健康情報誌『養命酒だより』や会員向けメールマガジン『元気通信』を発行。
医師や専門家の監修のもと、健康に関する情報発信を行っている。

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