最近、自分の足の裏を見ましたか? 実は足の裏は心身からのSOSが表れやすい部位であり、紀元前エジプトの壁画にも描かれているほど足の裏のケアは古くから親しまれてきた健康法です。「いつもより足裏が赤い」「角質が硬くなって靴に当たる」「嫌なにおいがする」など気になることがあったら、何らかのトラブルが起きているのかも。全身の反射区に詳しく、総合医療ナースとして活躍する市野さおりさんを漫画家のかるめさんが取材。記事を参考にぜひ一度、自分の足の裏にじっくりと向き合ってみてください。
- 〔目次〕
- 足裏診断をやってみよう!
- 足の裏の反射区は全身の縮小地図
- 診断①足の裏の色で今の状態をチェック
- 診断②角質の場所から不調がわかる
- 診断③触ってにおって判断する心身の健康
- 診断④反射区から心の声を聞いてみよう
- かるめ取材の感想
足裏診断をやってみよう!
足の裏の反射区は全身の縮小地図
足の裏には「反射区」があります。これは、全身の臓器や器官の状態が投影された地図のようなものであり、その反射区を刺激することによって対応する臓器や器官に働きかけ、活性化することができます。
反射区は顔や手にもありますが、足の裏はそれらに比べて手入れが行き届かないことから、最も体の状態が反映されていると考えられ、足の裏の色や角質、しわ、温度や湿度、におい、形などから心身の状態を知ることができます。
例えるなら、足の裏は体の鏡のようなもの。総合的にチェックして、体調のケアに役立ててみてください。
診断①足の裏の色で今の状態をチェック
エネルギーレベル、血液やメンタルの状態は足の裏の色に反映されます。理想はピンク色で、足の先とかかとの色が濃く、土踏まずのあたりが少し薄いのがベストです。あなたの足の裏は何色ですか? 鏡に映して確認してみましょう。
全体的に赤色
忙しかったり、イライラや怒りをためていたりすると足の裏は全体的に赤くなります。糖質過多の傾向もあります。局所的に赤くなっている場合は、その反射区に対応する臓器や器官が亢進(こうしん:高ぶっていること)状態にあります。
- 〔足浴やマッサージにおすすめの精油〕
- クールダウンに役立つハッカ油やゼラニウム、ラベンダーなど。
全体的に黄色
消化器系や肉体が疲労しています。無理をしている、気力だけで頑張っているときも黄色くなります。優柔不断で頼られると断れないタイプに多く見られます。
- 〔足浴やマッサージにおすすめの精油〕
- 消化器のケアや腎臓の働きの向上などをサポートするレモンやフェンネル、ジュニパーベリーなど。
全体的に紫色
足の裏が黄色い状態を放置していると紫色になります。血液の循環がスムーズでないため気力が起きず疲れがとれない、動けないなどの状態になってしまいます。リラックスできるハーブの香りで、巡りをよくするといいでしょう。
- 〔足浴やマッサージにおすすめの精油〕
- 血行促進、体を温める働きなどがあるサイプレス、ジンジャー、ブラックペッパーなど。
全体的に白色
気力や考える力が起きない状態です。また、貧血や低血圧の可能性もあるため、血行を促すケアを行うとよいでしょう。反射区が白くなっていたら、対応している臓器や器官がエネルギー不足により働きが低下しています。
- 〔足浴やマッサージにおすすめの精油〕
- 足の裏が白くなっている人はにおいに敏感になっています。刺激がなく親しみやすい香りのオレンジ、体全体のトラブルを改善するクローブ、ローズマリーなど。
診断②角質の場所から不調がわかる
角質は弱っている部分を保護するようにできる、いわば「鎧」です。反射区の角質が厚くなっている場合は対応している臓器や器官が弱っている証拠。角質ケアやマッサージなどで柔らかくほぐすことで症状の緩和にも繋がります。
不調を知らせる角質の反射区9選
- 左足の小指の下
肩こり。 - 親指の腹の下(親指のふくらみの下)
ストレートネック。 - 親指の付け根
肩こり、姿勢の悪さ。 - 親指の外側の付け根
眼精疲労。 - 両足の人差し指から小指のそれぞれの先端
鼻炎など。副鼻腔の粘膜が弱い。 - 両足の親指の下
代謝がアンバランス。 - かかとの内側
子宮や月経トラブル。 - かかと全体
月経トラブルや冷え、便秘、むくみなど。骨盤腔内が弱く巡りが悪い。 - 人差し指の下
反射区に関係なく背中の筋肉不足。ヒールの高い靴を履く人にできやすい。
症状の緩和にも! 角質ケアの3ステップ
プロおすすめの角質ケアグッズ
泡のハンドソープ
足の裏にも脂があるので、ハンドソープを使ってもよいでしょう。泡タイプなら泡立て不要で便利です。
キッチンスポンジ(100円均一などでも購入できる動物型のもの)
角質が厚くない方の日々のケアには、三層構造になっていて角質の状態に合わせた使い方ができるキッチンスポンジも◎。動物型のスポンジなら、細かい突起が爪の裏などをケアするのにちょうどよく、おすすめです。
軽石
昔ながらの軽石もよいのですが、殺菌効果も期待できる銅の粒子が入った物や、肌の弱い人にはシルクプロテイン入り、しっかりと削りたい人には炭入りもおすすめです。
ハンドクリーム
足の裏の保湿は天然オイルがなければ、ハンドクリームで行ってもよいでしょう。
診断③触ってにおって判断する心身の健康
手の甲で足の裏を触ってみて感じる温度や湿度、靴を脱いだ時などに感じるにおいからもわかることがあります。
足の裏を触って温度と湿り気をチェック!
足の裏が温かいor冷たいときは?
手の甲と比べて温かければ、炎症が起きていたり何かが過剰になっていたりする状態です。冷たければ、巡りが滞っています。
足の裏が湿っているor乾燥しているときは?
乾燥は慢性的な疲労や不調の表れです。湿っていれば水分代謝が乱れており、不安や緊張があると考えられます。
足の裏のにおいをチェック!
納豆やチーズのような「たんぱく質系」のにおいがするときは?
夏よりも冬、ブーツを脱いだときなどに足がにおいませんか? フットネイルをきれいなまま維持しようとして洗うのがおろそかになっていたり、忙しくて湯船に浸からずシャワーだけで済ませていたりすると、古い皮膚や爪の間に残った垢が蒸れて納豆やチーズのようなにおいが発生します。
においはブラシを使って指や爪の間まで洗うようにすれば改善できます。
酢のような酸っぱいにおいがするときは?
緊張しがちで、あがってしまうと汗をたくさんかくという人に多く起こります。「自分は臭いんだ......」と気にしてしまいがちですが、汗が出るほど頑張っている証拠。
まずは深呼吸などしてリラックスしましょう。さらに、吸湿性の高い素材のインソールや靴下を使うことでにおいは改善できます。においが改善されれば緊張も和らぎ、汗も減るといった好循環になります。
診断④反射区から心の声を聞いてみよう
足の裏の反射区は、臓器や器官だけでなく心に対応するものもあります。反射区を押してみて、体に自覚症状はないけれど違和感はあるという場合は、自身の心の中をのぞいてみてください。
口には出せない不満や愚痴、人には相談できない悩み事などがたまっていると、心に対応する反射区に何かしらのサインが表れます。「病は気から」といわれるように、心のサインを放置してしまうと、同じ反射区に対応する体の部位の不調にもつながってしまいます。
反対にそのサインを放置せず、違和感のある反射区を揉むなどのケアをすると、心の負担が解放され体の不調も改善していきます。足の裏が柔らかく健康的であれば、心も柔軟ですこやかになるということ。そのためにも日頃から足のケアを行うようにしましょう。
かるめ取材の感想
取材中、市野先生に足裏についてたくさん教えていただいた。私は足指の間が狭く、広げるには「足裏じゃんけん」がおすすめとのこと! 冷えやむくみの解消にも繋がるそう。日々練習して暇さえあれば誰かに対戦を挑みたい。
足裏を見るだけでいろいろなことを当てる、探偵のような市野先生。全て見透かされるようで、先生に足裏を見られるのが少し恥ずかしかった。日々いろいろな人の足を見るのが癖になっているらしい。足裏のスペシャリストならではの癖だ...!
足の裏からこんなにたくさんのことがわかるなんて、今まで知らなかった! ほとんどの人にとって、足裏は見る機会の少ない箇所ではないだろうか。
今後は毎日自分の足裏を見て、体や心の調子を整えるのに役立てたいと思う。
この方にお話を伺いました
看護師 健康コンシェルジュ 市野 さおり (いちの さおり)

英国ITEC認定アロマセラピスト、同リフレクソロジスト/国際茶藝会薬膳茶・中国茶修了。看護師としての経験を活かし、自然代替療法との組み合わせによる健康改善を推進する、統合医療ナースとして臨床から講演まで広く活動。臨床現場では、西洋医療、漢方、アロマセラピー、メディカルハーブ、薬膳など幅広い知識を活かして、個々の患者に対し施療からセルフケア指導まで行う。患者の足や顔、耳の形などから情報を読みとり施療に活用する「反射区分析」に定評がある。著書に『カラダの不調を整えるスパイス白湯』(宝島社)、『不調と美容のからだ地図』(日経BP)、「肩こり・不眠・美顔に効く!1分耳ストレッチ」(青春出版)など。
マンガ担当
漫画家、イラストレーター かるめ

食べることや料理がなにより好きな健康オタク。SNSやブログで日常漫画やオリジナルキャラクターの4コマ漫画を日々投稿している。『今日も飯がうまい!~食べる幸せあるある~』(KADOKAWA)