スタジオのヨガとは一味違う!「お寺ヨガ」の起源と魅力
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スタジオのヨガとは一味違う!「お寺ヨガ」の起源と魅力

心を落ち着かせ集中力を高めるといった理由で、写経や坐禅などと並び人気が高まっている「お寺ヨガ」。実は、ヨガは仏教の修行にも取り入れられていた歴史があるそうです。(※諸説あり)

お寺ヨガなら、ジムやフィットネスクラブとは一味違うヨガを体験できそうですね。

今回は浄土宗の尼僧であるガッソ有香さんにヨガと仏教の関係を教えていただきました。

お釈迦様も実践! 心を静め瞑想にふける「お寺ヨガ」とは

ヨガと仏像

ジムやフィットネスクラブで人気のヨガ。何となく若い女性がやるもの、ボーズが難しそう、体が柔らかくないとできないなどのイメージをもち、自分とは遠いものだと思っていませんか?

そんなイメージを払拭するのが、ガッソさんが行うお寺ヨガ。お寺ヨガは、ヨガと強い繋がりがある仏教寺院で心を落ち着かせて呼吸を意識し、自らの体と向き合うことを目的とします。

お寺ヨガは喧騒から離れたお寺の落ち着いた雰囲気のなかで行われるので、ジムやフィットネスクラブとは一味違うヨガを体験できるでしょう。

原始ヨガは仏教の修行の一つだった

ガッソさんがお寺ヨガの際に説明するのが、ヨガと仏教の深い関係。実はヨガの歴史はとても古く、起源は4000年以上も前だといわれています。仏教の発祥は2500年前頃なので、ヨガは仏教よりもはるか前から存在していたことになります。

そんなヨガを修行に取り入れたのが仏教でした。なんとお釈迦様も修行としてヨガを行っていたそうです。その頃のヨガ(以下原始ヨガと記載)は「瞑想」や「心の統一」を意味していました。

お釈迦様の言葉が書かれている『ダンマパダ』という経典にも、「実にヨガ(=心が統一)されたならば、豊かな知恵が生じる。心が統一されないならば、豊かな知恵が滅びる」とあります。

仏教と原始ヨガの関係

ヨガと仏教の歴史

お釈迦様が実践していた瞑想法に「アーナ・パーナ・サティ」があります。アーナ=吸う息、パーナ=吐く息、サティ=念。つまり、呼吸を意識し雑念をクリアにして今この瞬間に心を置くというものです。

一方、原始ヨガの経典『ヨガ・スートラ』では、呼吸法をヨガ(=心の働きを静かにケアして収めること)の状態を目指すためのステップの一つとしています。

これらのことから原始ヨガと仏教が互いに影響し合い、呼吸を意識し心をケアすることを重視していたことが分かります。

「ハタヨガ」の起源

現在のマットの上でさまざまなポーズをとるヨガは「ハタヨガ」と呼ばれるスタイルです。これは原始ヨガを一般の人にも取り入れやすくするために誕生したスタイルで、体が整えば自ずと心も整うという考えのもと、インド密教の時代から広く普及しました。

「原始ヨガも今のヨガも最終的に目指すところは同じ。心の働きを静かにケアして収めること。アプローチ方法はさまざまと考えています」とガッソさんはいいます。

仏像の座り方に注目!

仏像の座り方

ヨガのポーズを「○○・アーサナ」と呼びます。今ではポーズを意味する「アーサナ」ですが、当時の仏教に影響を受けた原始ヨガの経典『ヨガ・スートラ』では、アーサナは座法のこと、つまり瞑想を目指すための座り方を指しました。

お寺などで仏像の座り方をよく見ると、それぞれが結珈扶坐(けっかふざ)、半珈扶坐(はんかふざ)など、違ったアーサナ(座法)を行っていることが分かり新しい発見があります。

おすすめのヨガポーズ

鷲のポーズ(ガルダ・アーサナ)とワニのポーズの2つを紹介します。

2つのポーズのうち、ワニのポーズは秋に行うととくに効果的です。秋は肺と大腸が弱りやすい季節。肺と大腸へとつながる経絡(ツボとツボを結ぶ道)がある腕の内側を刺激しましょう。

〔鷲のポーズ(ガルダ・アーサナ)のやり方〕
鷹のポーズ
椅子に浅く腰掛け、右脚を左脚の上に重ね、右足を左ふくらはぎに絡ませる。右腕と左腕を交差させ、両手のひらを合わせる。反対も行う。
〔ワニのポーズのやり方〕
片腕を後ろに伸ばす様子
椅子に浅く腰掛け、片腕を後ろに伸ばす。反対側も行う。
両腕を閉じた様子
呼吸に合わせて両腕を同時に閉じたり開いたりするのもよい。

ヨガのポーズと似ている? 迦楼羅天(カルラテン)

カルラテンのイラスト

先ほどご紹介した「ガルダ・アーサナ」。ガルダは、インド神話に出てくる神鳥のこと。このガルダを前身とするのが仏教の守護神「迦楼羅天」です。こんなところにもヨガと仏教の関係が垣間見られます。

「お寺ヨガ」を自分の体を知るきっかけに

お寺ヨガの始まりと終わりには、参加している皆さんとお念仏を唱えるというガッソさん。

「雑念を払い、呼吸に意識を向けて自らの体と向き合ってヨガを行ったあとは、落ち着いた状態で大きく心地よくお念仏ができます。私のヨガは、浄土宗の修行法であるお念仏の助行だと考えています。今、ヨガはさまざまな宗派のお寺で行われているので、それぞれの場所で助行として機能しているのだと思います。」

ヨガを行うことで、日常では気づけなかったことに気づくことができるとも。

「大切なのは、無理にインストラクターと同じように体を動かすことではなく、動かせない自分に気づくこと。そして、だったらこうしよう、と考えることだと思います。膝が痛いから腰かけてヨガをしよう、というのも新しい気づきです。

深く呼吸をするだけでも心地いいので、ぜひ試してみてください。」

この方にお話を伺いました

山形県薯願寺副住職/ヨガインストラクター ガッソ有香 (ガッソユウカ)

ガッソ有香

1983年山形生まれ。大正大学人間学部仏教学科卒業。全国各地で「お寺ヨガ」、 仏教伝道協会(東京)で「仏教ヨガ講座」を開催するなど、ヨガを通して多くの方に仏教に触れていただくための活動をしている。

※記事内の情報は全て、『養命酒だより2019秋号(養命酒製造株式会社)』より参照しています

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