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大木にチューリップ型の花を咲かせる「ユリノキ」

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大木にチューリップ型の花を咲かせる「ユリノキ」

ユニークな葉の形で多彩な別名を持つ

初夏、ユリノキは枝先に帯緑黄色で花径6cmほどの花を1個つけます。花はがく片が3個、花弁が6個の長楕円形でその形はまさにチューリップ。しかし花弁が薄緑色のため、若葉の色と似ていて、しかも高所に咲いているため見つけるのには注意力が必要となります。でも、一度見つけてしまえば、いろいろな場所に生育していることが分かるでしょう。

ユリノキはモクレン科の落葉高木で、観賞用や街路樹として植えられています。幹は直立分枝して大木に成長し、高さ30m以上になるものも。大木に育つため、器具や建築、合板、楽器など幅広く利用されていることも特徴です。葉は長い柄があり、互生で先端は切形、あるいはやや凹形。淡緑色をしており、質は薄くて硬く、無毛でかすかな香気を漂わせています。

秋になると葉は黄色へと一変します。また、熟した実はカサカサに乾燥し、翼の付いた種子を落とします。一般にモクレン科の花は蜜を持たないのが普通ですが、ユリノキ属は例外的に蜜を多く出すので、鳥も訪れます。最近は葉にさまざまなタイプの斑が入るものや、枝が横に広がらない品種も生まれています。

日本にユリノキが紹介されたのは明治になってからで、最も古いユリノキは北海道大学植物園に生育しています。明治元年(1868)に、初代園長の宮部金吾氏が留学先のハーバード大学の樹木園から持ち帰った種子から育てたもので、直径1m以上、高さ30mを超える巨木へと成長しています。また、長野県上伊那郡の信州大学農学部正面通りのユリノキの並木は、樹高が20mを超えた大木が約50本も立ち並び非常に壮観です。秋は美しい黄金色のトンネルへと変わります。

ユリノキは植物学的には、白亜紀の化石に見つかっているほど古く、原始的な被子植物に分類されます。原種は北アメリカのユリノキと、ひとまわり小さな中国原産のシナノユリノキに分かれます。このように歴史は古いものの、明治期の渡来と比較的新しいことに加え、高所に咲くために気が付く人が少ないからなのか、歌題の対象になることはほとんどありません。

日本名は、属名と英語名のTulip-treeに基づいています。別名にはハンテンボク(葉の形が半纏の形に似ている)、ヤッコダコノキとグンバイボク(葉の形から)、ローソクノキ(花弁や雄しべが落ちたあとの尖った形の集合果の姿)、サドルノキ(葉の形が馬の鞍に似ているので)などバラエティ豊か。学名はLiriodendron tulipiferaで、属名はleiron(ユリ)とdendron(樹木)の合成語で、花の形がユリに似ているため、種小名はチューリップ形の花が咲くという意味になります。

花言葉は「見事な美しさ・幸福・田園の幸福・早く私を幸福にして」です。

出典:牧 幸男『植物楽趣』

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