山椒の栄養と6つの健康効果について解説!レシピや保存方法も紹介
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山椒の栄養と6つの健康効果について解説!レシピや保存方法も紹介

ピリッとした刺激と爽やかな香りで人気の和のスパイス、山椒。ミネラルやカロテンが豊富で、その実は古くから生薬として、若葉は木の芽として使われてきました。山椒の健康効果やレシピを知り、美味しく活用しましょう。

〔目次〕
山椒とは?
山椒の栄養成分・機能性成分は?
山椒の健康効果とは?
実や葉、花を美味しくいただく山椒の食べ方
山椒のおすすめレシピ3選
山椒を食べるときの注意点

山椒とは?

山椒とは

山椒はミカン科の落葉低木で、日本では北海道南部から九州までの山や野に自生しています。2~3m の高さまで成長し、春には葉の付け根に小さな花を咲かせ、秋には実がつきます。なお、雌雄異株で、雄株と雌株があり実を収穫するには雌株を植える必要があります。

『魏志倭人伝』には日本に「椒(※ 山椒のこと)」があることが記され、縄文時代や弥生時代の遺跡からも山椒が発見されていて、昔から日本人に親しまれてきた植物です。『古事記』には生姜と共に「椒(はじかみ)」と記載されており、のちに、生姜を「呉の薑(くれのはじかみ)」、サンショウを「加波々之加美(かわはじかみ)、川薑(かわはじかみ)」や「布佐波之加美(ふさはじかみ)」、「奈留波之加美(なるはじかみ)」と呼んで区別するようになりました。室町時代にはうなぎに山椒をかけて食べていたと伝えられています。

現在では、青い未熟果を実山椒、青山椒と呼んで、フレッシュやドライの果皮が利用されると共に、赤く完熟した果実も果皮を赤山椒として利用されます。また、新芽は木の芽と呼ばれ、芽物野菜として軟化栽培されたものが流通しています。その他、幹がすりこ木棒として利用されます。

山椒(Zanthoxylum piperitum(L.)DC.)の近縁種としては、日本には犬山椒(イヌザンショウ)(Zanthoxylum schinifolium Siebold & Zucc.)や烏山椒(カラスザンショウ)(Zanthoxylum ailanthoides Siebold & Zucc.)、冬山椒(フユザンショウ)(Zanthoxylum armatum DC.)、鰭山椒(ヒレザンショウ)(Zanthoxylum beecheyanum K.Koch)などが自生しています。山椒以外の自生種は残念ながら積極的なスパイス利用をされておらず、犬山椒を中心にすりこ木棒に代用されたりしています。

中国には、完熟果を利用する花椒(ホアジャオ)(華北山椒(カホクザンショウ);Zanthoxylum bungeanum Maxim.)や、青い未熟果を利用する藤椒(フジショウ)(犬山椒と同種で香りの異なるケモタイプ)が自生します。また、ネパールには、完熟果を利用するネパール山椒(ティームルペッパー、ティムットペッパー;犬山椒や藤椒と同種のケモタイプ)などがスパイスとして利用されています。これらは、いずれも日本でも中華料理やエスニック料理などで利用されています。

山椒は自宅の庭で育てることもできます。栽培方法については以下のページで紹介しています。

山椒の栄養成分・機能性成分は?

山椒の栄養成分としては、細胞の働きを正常化し余分な塩分を排出するカリウム、骨や歯をつくるのに欠かせないカルシウムやリン、筋肉や神経、血圧、体温にかかわるマグネシウムといったミネラルが豊富に含まれます。機能性成分としては、目や皮膚、粘膜の健康を保つカロテンが含まれるほか、近年は山椒に含まれるポリフェノールのもつ高い抗酸化作用にも注目が集まっています。

山椒の健康効果とは?

山椒の健康効果とは?

古くから漢方薬として使われてきた山椒の実

山椒の実は中国や韓国、そして日本で古くから生薬として使われてきました。効能としては、健胃、駆虫、抗菌、局所麻痺、鎮咳、利尿、むくみなどの改善があり、「大建中湯(だいけんちゅうとう)」「当帰湯(とうきとう)」といった体を温めお腹の調子を整える漢方薬に配合されています。

辛味成分のサンショオールは、内臓の働きを活発にしたり血行や発汗を促したりします。また、リモネンやシトロネラ―ル、酢酸ゲラニル、ジテルペンといった香りの成分には、抗ストレスや緊張緩和、鎮痛、鎮静、抗菌、血行促進、活力向上などの作用があります。

期待できる山椒の6つの健康効果

山椒に含まれるさまざまな成分から、その健康効果として以下の6つが挙げられます。

〔山椒の健康効果〕
胃腸の働きを整える
血行を促し、冷えの改善や内臓機能の活性化、基礎代謝の向上を助ける
むくみを改善する
老化などの原因になる活性酸素を除去する
骨を丈夫にする
打ち身などの痛みを和らげる

実や葉、花を美味しくいただく山椒の食べ方

山椒の食べ方

山椒の実の食べ方:佃煮や粉山椒のほか、煮魚にも

若い実は佃煮などにして食べられ、熟した実の皮は粉山椒として薬味などに使われます。粉山椒は臭みをとるため、うなぎのかば焼きだけでなく煮魚にもおすすめ。年末年始などに縁起のよい和菓子として食べられる「切山椒」は、上新粉などに粉山椒や砂糖などを混ぜ、蒸してからついたものです。

山椒の葉の食べ方:味噌と合わせて「木の芽味噌」

若い葉は「木の芽」として、そのまま料理に添えられます。手のひらでパンと叩くと、芳香が立ち上ります。また、味噌などとすって合わせた木の芽味噌としても食されます。品種によっては、若い葉を和えものや佃煮に使ったり、成熟した葉を夏に収穫して川魚の料理に使ったりします。

山椒の花の食べ方:料理のツマにしても

春に開花したものを摘んで、佃煮にしたり、そのまま料理のツマなどにしたりして食べます。鮮度が大切で保存はききません。

山椒のおすすめレシピ3選

山椒のおすすめレシピ

実を使った「ちりめん山椒」

だし汁に醤油や酒、みりんを加えて煮立て、ちりめんじゃこと茹でた山椒の実を入れて煮詰める。

木の芽を使った「木の芽味噌」

木の芽を摘み取り熱湯をかけてアクを取ったら、すり鉢ですって、白味噌や砂糖などを加えてさらにすり合わせる。茹でて裏ごししたほうれんそうなどを加えると、彩りよく仕上がる。

葉を使った「山椒の佃煮」

山椒の葉を熱湯で茹でて刻み、醤油、みりん、酒などと弱火で煮詰める。

山椒を食べるときの注意点

山椒を食べすぎるとどうなる?

山椒には、体を温めて血行を促し、内臓機能を活発にしたり、胃腸の調子を整えたりする作用があります。だからといってとりすぎると、下痢や嘔吐を引き起こす場合があります。また、胃腸の病気がある場合はその刺激で病状が悪化することも。

もともと大量に食べるものではありませんが、食べ過ぎには注意しましょう。

山椒の実の保存方法は?

摘み取った実は、十分に乾燥させてから冷凍で保存できます。また塩漬けにしたり、みりんや酒、醤油に漬け込んだりして保存しておくと、いろいろな用途に使えて便利です。

この方にお話を伺いました

博士(農学) 元東京農業大学准教授 日本メディカルハーブ協会理事・事務局長 株式会社グリーン・ワイズ 木村 正典 (きむら まさのり)

木村 正典

専門は人間・植物関係学、都市園芸学、野菜、ハーブなど。ハーブの精油分泌組織の顕微鏡観察に長く携わるとともに、豊かな社会づくりのための園芸の役割や、建物緑化、都市緑化、環境回復型栽培、エコロジカルハーバリズム、学校菜園、コミュニティガーデン、市民農園、家庭菜園、ファーマーズマーケットなどの役割と意義について研究。講演活動のほか、学校や集合住宅の屋上などでの菜園指導も行っている。『二十四節気の暮らしを味わう日本の伝統野菜』(GB)、『ハーブの教科書』(草土出版)、『有機栽培もOK! プランター菜園のすべて』(NHK出版)、『木村式ラクラク家庭菜園』(家の光協会)など著書多数。「NHK趣味の園芸 やさいの時間」旬ベジ二十四節気講師。

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