冬の養生には、体を冷やさないことが一番大切です。食事は、体を冷やす性質の冷たい物を避け、体を温め、巡りをよくする物を積極的にとりましょう。冬によく食べるキムチ鍋のような熱すぎるもの、辛すぎるものは、汗をかいて体の熱を奪ってしまうのでとり過ぎには注意しましょう。
シナモンや干した生姜などは体を温め、ねぎ類、ブリ、酒粕、カカオなどは巡りをよくします。緑黄色野菜がたっぷり入った酒粕汁は体を温めて血の巡りをよくする、冬におすすめの料理です。
- 〔目次〕
- 温性食材で温める!くるみと生姜の炊き込みご飯
- ぽかぽか温まる!鮭の酒粕鍋
- 常備菜にもきのことサバ缶の炒め煮
- 一手間で、果物も冬の養生デザートにキウイの生姜蜂蜜がけ
- 炊飯器で簡単!中華風五目おこわ
- おせちの一品にも! ラム肉の西京味噌漬け ねぎ添え
温性食材で温める!
くるみと生姜の炊き込みご飯
くるみも生姜も体を温める温性の養生食材です。高い抗酸化力を持つくるみはスーパーフードとしても注目されています。
- 〔材料〕2人分(1人分364kcal/塩分0.9g)
- 米..............................1合
- くるみ(半割)............6粒
- じゃこ............大さじ2(8g)
- 生姜.....................大1片
- 酒........................大さじ1
- 水...........................適量
- しょうゆ............大さじ1/2
〔作り方〕
- 米は研いでざるに上げる。くるみは粗く刻む(A)。じゃこは酒大さじ1/2を振りかけて4~5分置いて臭みをとり、水気を切る。生姜は千切りにする。
- 炊飯器に米を入れて好みの水加減にし、大さじ1杯分の水を取り除く。残りの酒、醤油を加えてよく混ぜ合わせ、じゃこと生姜をまんべんなく全体にのせて炊く。
- 炊き上がったら5分ほど蒸らし、Aを加えて混ぜ合わせる。
○アドバイス
・冷えを感じる方は、お米の半量をもち米に替えると、体を温める作用がより強くなります。
・くるみはトースターで軽く焼く、またフライパンで軽く炒ると香ばしく仕上がります。
ぽかぽか温まる!
鮭の酒粕鍋
胃腸を温める作用がある鮭と血液の流れをよくする酒粕を合わせた、胃にやさしく、体を温めるメニュー。ブロッコリーを加えて免疫力も高めましょう。
- 〔材料〕2人分(1人分364kcal/塩分0.9g)
- 人参..........................................1/3本
- じゃがいも.................................1個
- 生鮭(流水で洗い水気を拭く)......2切れ
- 酒、塩.......................................各少々
- ブロッコリー..............................1/3株
- だし汁.......................................300ml
- 生姜薄切り.................................4~5枚
- しめじ(石づきを切る)...............1/2パック
- 豆乳(牛乳でも代用可)...............200ml
- 焼き豆腐(4つ切り)..................1/2丁
- 酒粕..........................................30g
- みそ..........................................大さじ1
- 長ねぎ(5mm幅の輪切り).........1/3本
〔作り方〕
- 人参、じゃがいもは8mm幅の輪切りにしてから半分に切る。
- 鮭は3~4等分に切り、酒と塩少々をふる。
- ブロッコリーは一口大に切り、湯で1~2分ゆでておく。
- 鍋にだし汁と1.生姜を加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして7~8分煮る。
- 4.に、ほぐしたしめじと2.の鮭を加え、さらに豆乳、焼き豆腐と3.を加えて5分煮る。煮汁で溶いた酒粕を加えて混ぜる。
- みそを溶き入れ、長ねぎを加えてひと煮立ちしたら火を止める。
常備菜にも
きのことサバ缶の炒め煮
きくらげや生姜、みりんは巡りをよくする食材。生活習慣病の予防に役立つEPA・DHAやカルシウムが豊富なサバ缶を使用したお手軽常備菜です。
- 〔材料〕10皿分(1人分45kcal/塩分0.8g)
- えのき茸...................................................一束(100g)
- 乾燥黒きくらげ(水に1時間つけて戻す)...............8g
- 干し椎茸
(ぬるま湯で戻し、戻し汁100mlはとっておく).........4枚 - サバ水煮缶.............................................1缶(約200g)
- 酒..........................................1/4カップ(大さじ3強)
- 生姜(4~5cmの千切り)....................................30g
- しょうゆ................................................大さじ2+1/2
- みりん.........................................................大さじ2
〔作り方〕
- えのき茸は根本を切り落として1~2cmの長さに、きくらげは硬い部分を切り落として千切りに、椎茸は軸を取り半分に切ってから横に薄切りにする。
- 鍋に椎茸の戻し汁とサバ缶の汁、酒を入れて火にかけ、沸騰後えのき茸、きくらげを加えて一煮する。
- 2.に生姜、椎茸を加えて3分ほど煮る。サバを加えてほぐし、しょうゆを加えて混ぜながら中火で煮る。
- 3.の水分がなくなったらみりんを加えて全体に混ぜ、汁気が少なくなったら火を止め、冷ます。
○アドバイス
・冷蔵庫で4~5日、冷凍で2~3週間保存可能です。
一手間で、果物も冬の養生デザートに
キウイの生姜蜂蜜がけ
生姜は温性の食材で、10分以上加熱すると体を中から温める作用が増します。キウイはビタミンCが豊富で、免疫力を高めてくれる食材です。キウイのように体を冷やす寒性の果物も、熱性の生姜蜂蜜ソースをかけて食べ合わせのバランスをとれば、体を冷やしません。
- 〔材料〕2人分(1人分44kcal/塩分0g)
- キウイ.............................................1個
- 生姜(みじん切り)...............大1片(20g)
- グラニュー糖(砂糖でも可).........大さじ1
- 水................................................100ml
- 蜂蜜.............................................100ml
〔作り方〕
- 鍋に生姜、グラニュー糖、水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火で10分煮て水分を飛ばす。その間、焦げそうになったらお湯(分量外)を適量加えて調整する。
- 1.を清潔なガラス瓶に入れ、蜂蜜を加えてよく混ぜ合わせる。そのまま1時間ほど置いてから使用する。
- キウイは皮をむき、食べやすい大きさに切る。器に盛り、2.をかけて10分ほど置いてからいただく。
○アドバイス
・生姜蜂蜜ソースは、冷蔵庫で3週間ほど保存可能。
・紅茶、トースト、りんごなどにかけてもおいしくいただけます。
炊飯器で簡単!
中華風五目おこわ
「陽気」を補うもち米やエビ、ねぎに「腎気」を養う栗を加えた、具沢山な炊きおこわです。
- 〔材料〕6食分(1食分484kcal 塩分1.6g)
- エビ..........................6~8尾
- 酒..............................大さじ3
- オリーブ油...............適量
- 小ねぎ.......................1束
- 干ししいたけ............3枚
- 干しエビ...................大さじ2強
- 豚もも肉...................200g
- もち米.......................3カップ
- 甘栗..........................80g
- 絹さや.......................適量
- ■A
- 酒..............................大さじ1
- しょうゆ...................大さじ2
- 砂糖..........................小さじ2
- ■B
- 酒..............................大さじ2
- しょうゆ...................大さじ1
〔作り方〕
- 小ねぎは小口切りにする。干ししいたけはお湯1/2カップで戻し、1㎝角に切る。干しエビは酒大さじ1を振り、熱湯大さじ2に浸す。豚もも肉は1~1.5㎝角に切り、酒大さじ1、塩、こしょうを少々振る。甘栗の半量を粗く刻む(もう半分は飾り用にとっておく)。
- エビは背わたを取り、塩(分量外)でもんで洗う。小鍋に入れて酒を振り、蓋をして加熱する。沸騰したら30秒ほどで火を止める。
- フライパンにオリーブ油と小ねぎを入れて中火にかけ、汁気を切った干ししいたけと干しエビを加えて炒める(戻し汁も使うのでとっておく)。豚肉の汁気を切って加え、色が変わったらAを加えて混ぜ、ひと煮立ちしたら火を止め具を取り出す。
- 干ししいたけと干しエビの戻し汁、2.でエビを茹でた残り汁、3.の残り汁に水(分量外)とBを足して540mlにする。
- 炊飯器にもち米と3.で取り出した具、4.を入れてよく混ぜてから炊く。
- 炊き上がったら刻んだ甘栗を入れて10分蒸らし、器に盛って飾り用の甘栗とエビ、ゆでた絹さやを飾る。
○アドバイス
・もち米は炊く直前に優しく洗いましょう。腎気を養う黒大豆やうずらの卵、チャーシューなどを加えても◎
・たくさん作って冷凍しておけば、忙しい時に2分ほどレンチンしてすぐいただけます。
おせちの一品にも!
ラム肉の西京味噌漬け ねぎ添え
ラム肉は体を温める作用が強い冬のおすすめ食材。
西京味噌に漬けることで柔らかく、ラム特有のクセも気にならなくなります。
- 〔材料〕4人分(1人分144kcal 塩分0.9g)
- ラム肉(赤身・厚切り).......................250~300g
- 西京味噌(白味噌)...............................200g
- 酒............................................................50ml
- 長ねぎ(2㎝のぶつ切り).....................1本分
- ■A
- 塩、こしょう..........................................適量
- 酒............................................................大さじ1強
〔作り方〕
- ラム肉の両面にAを振る。西京味噌に酒を加えてのばす。
- ポリ袋に1.を入れてもみ、冷蔵庫で半日~1晩置く。
- 長ねぎを2㎝程にぶつ切りする。
- ラム肉の味噌をぬぐい、180度に温めたオーブンでねぎと共に8分焼き、上下を返して3分焼く。
○アドバイス
・フライパンの場合はオリーブ油を引き、蓋をして強めの中火で焼き、焦げ目がついたら火を止め余熱で火を通してください。
・味噌漬けにしてストックしておけばいつでも使えて便利。厚めにカットした豚肉や鶏肉、サケやブリなどでも美味しくいただけます。
冷えは万病のもと。くるみや生姜、ラム肉などを使った薬膳レシピで、エネルギーを蓄えましょう。
この方にお話を伺いました
料理研究家、管理栄養士、国際中医薬膳管理師 植木 もも子 (うえき ももこ)
中医学や雑穀などを取り入れた、美味しいだけでなく、体によい料理が評判。『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『気になる不調と悩みを改善 薬膳のつくりおき』(家の光協会)他著書多数。