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月刊 元気通信

養命酒

特集記事 2022年3月号

春のなんとなく不調を解消!
今日から始められる、ストレッチ&呼吸法

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季節や生活の節目となる春は、はっきりとした原因が思い当たらないのに心身に不調を感じる「なんとなく不調」が起こりがちです。
その「春のなんとなく不調」原因の一つが、一年のうちで最も大きくなる寒暖差からくる「寒暖差疲労」です。体温の維持の役割は自律神経が担っていますが、寒暖差が大きくなりすぎると自律神経の働きすぎによりエネルギーを消費してしまい、疲労が溜まるなど体(フィジカル)に不調をきたします。
さらに、新生活が始まり職場や学校など生活環境が変化することで、それに対応するために自律神経が消耗してしまい、メンタル不調に陥ることも。今回は、自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生に登場いただき、春ならではのフィジカルとメンタルの不調にアプローチする手軽な解消法をご紹介!心と体をすっきり整えて快調なスタートを切りましょう!

教えてくれた先生

順天堂大学医学部教授小林 弘幸 先生

1960年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了。アイルランド国立病院外科留学を経て順天堂大学医学部教授に就任。順天堂大学医学部附属順天堂医院に日本初の便秘外来を開設。自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』『自律神経を整える「長生き呼吸法」』『結局、自律神経がすべて解決してくれる』『腸活にいいこと超大全』など著書多数。

やっと春到来♪と言いたいところだけど、昼間から眠気が。。。しっかり寝たはずなのにおかしいな。体もなんだかだるいし。これって「春眠暁を覚えず」ってことなのかな?

いえいえ。春は原因不明の「なんとなく不調」が起きやすい季節なのです。それは大きな寒暖差によって体に負荷がかかったり、新しい環境に順応するためのストレスなどが重なったりするから。フィジカルとメンタル両面の不安要素が重なって、1年のうちでももっとも自律神経が乱れやすいのです。

たしかに知らず知らずのうちに心身ともに頑張りすぎているかも。私もなんとなく不調を感じますが、それがフィジカル面からなのかメンタル面が原因なのか、どちらに原因があるのでしょう?

そんななんとなく不調の原因を探るために、不調の元を調べるチェックシートをご用意しました。フィジカル由来の不調を解消する「お風呂ストレッチ」と、メンタルにアプローチする「呼吸筋トレ」の2つのパターンの健康法を伝授。さらにフィジカルとメンタルの両方の不調が重なった「ハイブリッド型不調」を撃退するために、ストレッチと呼吸法を組み合わせた「ブレストレッチ(ブレス〈息〉+ストレッチ)」もお教えします。
なんとなく不調に合わせて気軽にトレーニングを取り入れてみましょう!

\チェック診断テスト/
あなたの「春のなんとなく不調」
原因は「フィジカル」と「メンタル」どっち!?

次の項目のうち、自分に当てはまるものをチェックしてください。

診断結果

奇数の項目にチェックが多かった人は……「寒暖差疲労」からくる「春のフィジカル不調」タイプ →「お風呂ストレッチ」

偶数の項目にチェックが多かった人は……「新生活ストレス」からくる「春のメンタル不調」タイプ →「呼吸筋トレ」

奇数項目、偶数項目ともに2つ以上チェックが入った人は……フィジカルとメンタルの不調が重なった「春のハイブリッド不調」タイプ →「ブレストレッチ」

湯温と水圧が「春のフィジカル不調」に効く
血行を促す「お風呂ストレッチ」

春は日によって気温が乱高下するほか、1日のうちでも昼と夜で気温差が約15℃の日があるなど気温差が激しいのが特徴です。人は体温を一定にコントロールする「ホメオスタシス(恒常性)」が備わっていますが、寒暖差が大きい日が続くと体温の維持の役割を担う自律神経が必要以上に活動し、疲弊してしまいます。そうして体に不調をきたすのが「寒暖差疲労」です。

この自律神経が乱れた「寒暖差疲労」に有効なのが、お風呂に入りながら行う「お風呂ストレッチ」。温かい湯船に入りながらストレッチを行うことで血流を促す効果がアップ。さらに心地よい湯船で行うので、副交感神経の働きを高める効果もあります。また、水中で無理のない範囲でできるので、女性や高齢の方など筋力がない方でも気軽に実践できます。

「お風呂ストレッチ」のポイント

ストレッチを行う前に肩までお湯に浸かり(全身浴)、体全体を温めます。約1分間リラックスしたら湯量を減らして半身浴に調整します。湯温は副交感神経が活発になる40℃前後がベスト。「お風呂ストレッチ」を行う際はできるだけ骨盤を立て、体の軸を真っすぐにすることで、運動の効果がさらに高まります。

その1:歌舞伎回しストレッチ

手をクロスさせた状態で、歌舞伎の「見得」をきるときの動きのように首をゆっくりと回します。首回りを通る太い血管にアプローチする動きで、血流を促します。

①両足を軽く開いて座り、両腕を胸の前の位置に伸ばす。腕が下がらないように手首を交差させる。

②首を時計回りにできるだけゆっくり回す。同様に反時計周りにも首を回す。
左右10回ずつ行う。

その2:「後ろ手ひねり」ストレッチ

背中に回した自分の片腕をもう一方の手で引っ張るような動きです。体の軸を真っすぐに保つことでひねりの効果が倍増。自律神経と関係が深い腸にもアプローチすることができ、「腸活」にもつながります。

①両足を軽く開いて座り、両腕を後ろに回して右手で左手首をつかむ。右手で左手を引っ張り、上半身を左にゆっくりとひねる。

②上半身を元に戻し、左右の手を入れ替える。同様に上半身を右にゆっくりとひねる。
左右10回ずつ行う。

その3:足こぎストレッチ

「第2の心臓」とも呼ばれる足を曲げ伸ばしすることで、血流を促進。足にある血流のポンプ機能を刺激して、足先はもちろん全身に血液を行き渡らせます。

①両足をそろえて座り、左右の足の親指を軽く重ねる。(足をハの字にすると膝に負担がかかるので、できるだけ足先は真っ直ぐに)

②両足を交互にゆっくりと曲げたり伸ばしたりする。両足の先がそろう度に、親指を軽く重ねることを意識する。 左右それぞれ5回ずつ行う。

「呼吸筋トレ」で呼吸の質を上げれば
「春のメンタル不調」も退散

春は新しい人間関係や場所などに適応するため、自律神経が一年で最も活発に活動する時期。新しい環境に順応しようと興奮を司る交感神経が頑張り過ぎたために、副交感神経とのバランスが崩れ、メンタルに不調をきたすことが多くみられます。

そんなときに取り入れたいのが深い呼吸を行うことで副交感神経の働きを高める「呼吸筋トレ」です。目を閉じて深呼吸をする「呼吸筋トレ」は瞑想効果もあり、副交感神経の働きを高めることで、自律神経全体のバランスが整います。また、横隔膜など呼吸筋の柔軟性が回復し普段から自然と深い呼吸ができるようになります。

「呼吸筋トレ」のポイント

「呼吸筋トレ」時の呼吸の仕方は、1:2の割合が目安。
まずはリラックスした状態で3〜4秒かけて息を吸ったあと、その倍の時間の6〜8秒かけてゆっくり息を吐き出します。
いずれの「呼吸筋トレ」も目を閉じて行い、空気の出入りや呼吸筋の動きに意識を集中させましょう。

その1:エア風船呼吸法

風船を膨らませるときのように、呼吸を一点に集中させます。呼吸法初心者でもしっかり呼吸を意識することができるので、最初の呼吸筋トレとしておすすめ。横隔膜や内肋間筋を鍛える働きがあります。

①椅子に座り背筋を伸ばす。
②手を口の前でしっかりと組み、親指と人差し指で息を吹き込めるくらいの穴を作る。
③目を閉じ、穴からゆっくりと大きく息を吸い込む。
④今度は穴の中心を意識しながらゆっくり時間をかけて息を吹き込む。
③と④を10回行う。

その2:自動ドア呼吸法

両腕を大きく開いたり閉じたりすることで肺の動きに密接な関係がある肩甲骨を緩ませる効果があります。肩甲骨周辺の筋肉を伸ばすことで、肋間筋が広がり胸郭の動きがスムーズになります。

①目を閉じ脚を肩幅に開きまっすぐに立つ(座ったままでも可能)。
②背筋を伸ばしながら鼻から息を吸い込み、手のひらを外側に向けた状態で両腕を開く。そのとき肘は90度の角度で。
③口からゆっくりと息を吐きながら、手の甲から肘までが合わさるように体の前で合わせる。
②と③を10回行う。

その3:頭タッピング

「タッピング」とは手の指で頭や手首をトントンと軽く叩いてツボを刺激するリラックス法です。頭には副交感神経の働きを高めるツボがたくさんあります。ツボをピンポイントで叩かなくてもリラックス効果は得られるので気軽に取り入れてみましょう。

①目を閉じゆっくりと深呼吸をしながら、両手の10本の指を使って頭全体を30秒ほどトントンと叩く。
②頭の前から側頭部まで移動させながら30秒間行う。

心身が疲れた「春のハイブリッド不調」は
合わせ技の「ブレストレッチ」で解消

「寒暖差疲労」からくるフィジカルの不調と、「新生活ストレス」由来のメンタル不調が重なったときに試したいのが、呼吸法とストレッチを組み合わせた「ブレストレッチ(ブレス〈息〉+ストレッチ)」。
湯船の中、血流がよい状態でストレッチを行いつつ、「呼吸筋トレ」の瞑想効果でリラックス度もアップ。水圧の中で深呼吸をすることで、部屋で行うよりも呼吸筋に対する負荷が増すなどいいことずくめです。

その1:振り子トレーニング

呼吸をしながら筋肉を伸ばすことで肩甲骨と胸部が広がり、胸郭全体のストレッチになります。また、上半身を大きく揺らすことで腸にも刺激を与えます。

①目を閉じ両足を伸ばした状態で両手を頭上に伸ばし、手首を固定するように交差させる。
②鼻から息を吸いながら腕をさらに上へと伸ばす。
③手首を交差させたまま、口からゆっくりと息を吐きながら体を右へ倒す。
④鼻から息を吸いながら①の姿勢に戻し、今度は体を左に倒す。 左右5回行う。

その2:平泳ぎトレーニング

平泳ぎの要領で体を動かし、肩甲骨をほぐします。同時に胸郭まわりの筋肉も柔軟になります。

①目を閉じ、両足を伸ばした状態で、肩の高さで手のひらを下に向けて腕を曲げ、鼻から息を吸い込む。
②両手をまっすぐ前に伸ばし、口からゆっくりと息を吐きながら平泳ぎをするようなイメージで手をぐるりと回す。
①と②を20回行う。

その3:肋骨折りたたみトレーニング

肺の前面にある肋骨は、呼吸量を左右する重要な部分。肋骨をつかみながら呼吸を行い胸郭に刺激を与えることで、肋骨まわりの筋肉がほぐれます。

①目を閉じ、胸の下の肋骨付近を両手で軽くつかむ。少し状態を反らしながら鼻から息を吸う。
②肋骨付近を両手でつかんだまま、やや前屈みになってゆっくりと口から息を吐く。
①と②を10回行う。

何かと忙しい春は、精神的にも気が急いてしまいがち。それがさらなるストレスと自律神経の乱れを招いてしまいます。
今回ご紹介した「お風呂ストレッチ」や「呼吸筋トレ」、そして「ブレストレッチ」は、“ながら”や“すき間時間”でできるものばかりなので、忙しい時期にもぴったり。
リズミカルに体を動かしたり、深く呼吸を行ったりすることで、体の巡りをよくすることはもちろん、リラックス効果も期待できます。今日から早速取り入れて、「春のなんとなく不調」を解消しましょう。

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