教えてくれた先生
東京有明医療大学教授・医学博士川嶋 朗(かわしま あきら)先生
北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院に留学。東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを経て、14年より現職。一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門でも診察を行う。著書に『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社)、『冷えとりの教科書』(マイナビ)などがある。
12月ともなるとだんだん寒さがつのってきて、体がカチコチになってしまうよね。
寒くないように着ぶくれするくらい厚着するのに、やっぱり冷えてしまう。。。(涙)
その体の冷え、「4つの首」を温めることで解消されるかもしれませんよ。
「4つの首」!? 「3つの首」を温めた方がいいとは聞いたことがありますが、首がもう一つあるんですか?
「3つの首」にプラスして温めた方がいいのは「“くび”れ(お腹)」ですね。お腹を温めることで腸内細菌が活発になり、結果として体の代謝につながるのです。お腹を温めるには湯たんぽや40℃前後の低温のカイロ、腹巻などがおすすめですね。
ほかにも「4つの首」を温めるのに効率的な方法はありますか?
はい。温活の新常識をクイズにしてきたので、気になったものを気軽に取り入れてもらえたら、この冬がちょっと過ごしやすくなると思いますよ。
新しい温活法が楽しみだね。早速クイズにチャレンジしてみよう!
温活のポイントは自分の「気持ちいい」を見つけること
昔から「首」「手首」「足首」の「3つの首」を温めると良いと言われるのは、血流の多い血管(動脈)が皮膚の近くを走っているから。血流が多い部分を温めることで効率よく全身の血液を温めることができ、指先やつま先などの冷えやすい末端も、温かい血液の流れによって温まってきます。また副交感神経の中枢がある仙骨(お尻の少し上付近)と、腸や子宮などが詰まったお腹を含む腰回りを温めることでも、全身に温かい血液が流れます。
温活にはルールやマニュアルはなく、時間帯など関係なく気が向いたときに好きなだけ行えば大丈夫。大切なのは、自分にとって「気持ちいい」と思えるものを選ぶこと。「気持ちいい」と長く続けられますし、さらには心地いい感覚が副交感神経を優位にしてリラックスでき、それも冷え対策につながります。
人は寝付くとき、深部体温を手足に流していきます。首にタオルやネックウォーマーを巻いて寝ると、末梢の血管まで血液が流れやすくなり、寝付きが良くなります。
冷え対策には筋肉のこわばりをほぐして、血液の流れを促すことも大切です。首まわりの運動でおすすめなのが、タオルを使ったタオルマッサージ。縦に細く折ったタオルを首の後ろにまわし、髪の毛の生え際付近に当てます。そしてタオルがずれないくらいの力加減で左右に動かし、肩を揺らしてこわばりをほぐします。意識するのはタオルで首をこするのではなく、肩を揺らすこと。筋肉を揺らすことで溜まった血液が心臓に戻っていき、心臓から出る温かい血液の量も増えていきます。肩こりに悩む方にもおすすめです。
体のさまざまな不調にいいとされ、長年受け継がれてきたお灸。そのお灸を誰でも手軽にできるのがドライヤー温灸です。手首(内関)や首の後ろ(大椎)、へその下(気海)、足首の内側(三陰交)などの冷え対策のツボに10cm以上離して、1〜2分間当てましょう。風呂上がりや朝に髪をセットするときなど、洗面所を利用するついでに温活もしてみましょう。
※ドライヤーを近付けすぎたり、長時間使用したりするとやけどの恐れがあります。必ずドライヤーは自分で当て、「熱い」と感じたらすぐにドライヤーを離しましょう。また、肌の乾燥や肌荒れが気になる方は下着や服の上からでも大丈夫です。
寝る前に体を温める体操としておすすめしたいのが、お腹マッサージ。最初に腰のあたりに手を当て両手でお腹を揉みほぐします。次にへそを中心に時計回りに円を描くようにして指先で押したりさすったりするだけ。時計回りが良いのは、大腸はへその右側から“の”の字を書くように位置しているため。腸の動きに従って揉みほぐすことで便を出口へと運ぶぜん動運動を促すこともできて一石二鳥です。
1990年代、女子高生たちの間で大ブームを巻き起こしたルーズソックスが、近年、再びブームの兆しをみせているといいます。冷え対策アイテムは締め付けすぎないこと、体との間に空気の層をつくることの2点が大切。その視点でいけば、ダボダボのシルエットで足首を守るルーズソックスはこの上ない温活アイテムといえます。懐かしくも新しい温活グッズを探してみるのもいいかもしれません。
就寝時に靴下を履くべきか履かない方がよいかはよく議論になるところですが、結論からいうとどちらでもいいです。靴下を履くと寝汗をかいてそれが冷えにつながるという説もありますが、本当に冷えがひどい人は靴下を履いていても汗すらかけません。靴下を履かないと眠れないほど足先が冷えるのであれば、その場合は履いた方がいいでしょう。冷えがひどい人は靴下の重ね履きもよいですが、履くなら締め付けすぎないものにしましょう。逆に靴下を履かなくても快適に眠れる人は、履かないで大丈夫です。
どれもすぐに取り入れられる対策だったから、早速今日からチャレンジできそう。
自分の「気持ちいい」を見つけることが、温活につながっているなんて分かりやすくていいね。
手軽な取り組みで「4つの首」を温めることが分かったから、毎日ちょこちょこと実践してみよう!