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生薬ものしり事典119

盛夏から秋まで長く花を楽しめる「サルスベリ」

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猿も滑り落ちると言われるほど滑らかな木肌を持つ

8月、暑さにうなだれる植物を尻目に、力強く咲き続けるのがサルスベリです。枝先に皺の多い円形の花が咲く姿は、夏の夜の花火にも似て華やかさを感じます。
サルスベリは中国原産のミソハギ科の落葉高木で、観賞用として人気があります。高さ約7mに成長し、幹は淡紅紫色で平滑、皮が薄くはげやすく、樹皮がどんどんはげていって白くなります。盛夏から秋にかけて枝先に円錐花序をだし、紅色か白色の花が集まって咲きます。原産の中国では古くから庭木として人気があり、宮中でも尊重されてきました。

貝原益軒の『花譜』(1698年)の記録が最初とされているので、日本への渡来は江戸時代直前か初期の頃だと考えられます。寺院や神社にサルスベリの古木が多いのは、中国に留学した禅僧が持ち帰ったからという説もあります。サルスベリの種類は他に九州以南に多いシマサルスベリ、屋久島特産の屋久島サルスベリがあります。最近は品種改良も進み、鉢植え用の矮性種、耐寒性種も生まれています。また、木肌がサルスベリに似ているので、ナツツバキ、リョウブもサルスベリと呼ばれています。

詩歌に詠まれるようになったのは、渡来時期と重なり江戸時代以降です。

『新訂牧野新日本植物図鑑』で「猿滑りは木の肌がつるつるして猿も滑り落ちると言うことから名付けられた。ヒャクジツコウは漢名の百日紅に基づく。すなわち花期が長く百日に亘る意味で、漢名は紫薇、百日紅である。」と示されています。

薬用には剥離した樹皮に止血、解毒の効果が伝えられています。また材は緻密なため、船材や建築材に使われます。

花言葉は、「雄弁」です。

出典:牧 幸男『植物楽趣』

今月の生薬クイズ
【Q.】 花期が長いことから付けられたサルスベリの漢名は?
正解は?
【A.】 百日紅

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