素晴らしい花の香りで「麝香豌豆(じゃこうえんどう)」とも呼ばれる
数多い春の花のなかでもスイートピーは、花期が長く花の形も独特で、かつ甘い香りを放つことから多くの人に親しまれています。
スイートピーは一年生のつる状草本で、茎は直立して巻きひげに支えられながら上に伸び、約2mまで成長します。全株に白い粗毛が生え、葉はまばらに互生し、その基部から20cmほどの花軸を真上に出して、上部に蝶型をした3cmほどの花を2〜3個つけます。
花の色は白、淡紅、青、赤、紫など多くの種類があり、花後は粗毛に覆われた豆果を結びます。一見、エンドウに似ていますが、スイートピーの種子にはアミノプロピオニトリルという有毒成分が含まれているため、誤って口にしないように注意が必要です。
スイートピーは原産がシチリア島で、イタリア人の僧フランシス・クパーニが1695年に刊行した植物書に詳細を記述したことが世に広く知られるきっかけとなりました。花の特異な形と香りから多くの人に好まれるようになり、品種改良が進み1900年頃には約300種も生まれています。
日本には文久年間(1861〜1864年)に渡来したとみられ、花の香りが素晴らしかったことから、麝香豌豆(じゃこうえんどう)などと呼ばれていました。植物の渡来が江戸末期だったため、歌題の対象になったのは明治以降となっています。
植物名の由来はイギリスの名前がそのまま日本名となっていて、sweet(花の香りが良いこと)pea(豆)からきています。別名ではジャコウエンドウ、ジャコウレンリソウと呼ばれます。
花言葉は「喜び」「やさしい思い出」「離別」です。
出典:牧 幸男『植物楽趣』
今月の生薬クイズ
【Q.】 スイートピーの植物名の由来は?
正解は?
➕
【A.】 イギリス名のsweet(花の香りが良いこと)pea(豆)が由来