眠れない」悩みでも、その症状はいろいろです。ベッドに入ってもなかなか寝付けない、長時間寝ても眠りが浅くて疲れがとれない、夜中に何度も目をさます、夢見が悪くてよく寝た気がしない…、などなど。運動不足で体が疲れていないと寝つきが悪くなりますが、疲れすぎていて体力がないと眠れなかったりもします。症状は体の状態によって違ってくるので、適切なケアで対応しましょう。
ストレスや悩みによる心のバランスの乱れは、不眠と大きく関係します。怒りでイライラしたり、落ち込んでクヨクヨして寝つけない、という経験は多くの人があるでしょう。眠りは、体がリラックスモードになることで訪れますが、神経がいつまでも緊張していることで眠れなくなります。
頭のツボ押しで、乱れた心を整えましょう。効果的なのが、頭頂にあるツボ「百会(ひゃくえ)」です。両耳を頭の上でつないだラインと、鼻筋のラインが交わる頭のてっぺんを、両手の人さし指、中指、薬指の3本の指をそろえて、ゆっくり息を吐きながら10回ほど押します。エネルギーのめぐりがよくなり、乱れた精神が安定します。また心を落ち着けるには、牛乳や豆乳を温めて飲だり、リラックス効果のあるお茶を。ミント・ラベンダー・シソ・菊花・カモミールなどのお茶がおすすめです。
体力が低下していると、眠っても十分にエネルギーが補給されず、たくさん寝た気がしません。長時間、寝ているのに疲れが取れなかったりボンヤリするのは、基本的なエネルギーが足りていないためと考えられます。日中もよく眠くなってしまいます。
生命エネルギーが湧き出るとされるツボ「湧泉」を刺激しましょう。足の裏、人差し指の下で、足の指を曲げたとき一番ヘコむところにあります。親指でよくもむように押して。入浴中やお風呂上がりに行うと、体のめぐりがよくなって効果的です。また、このタイプの人は、朝、体がだるいため朝食を抜きがちですが、より体力を低下させる悪循環に。食欲がなくても食べやすく、エネルギーを効率的に補ってくれる食材を朝食に取り入れて。雑穀のシリアル、豆乳、豆腐の味噌汁などが◎。夕食にはキノコ類や発酵食品をメニューに加えると、体力を補う効果が期待できます。
仕事や勉強による頭の使い過ぎや加齢により、血液が十分に足りていないことが、睡眠の質を低下させているタイプです。また睡眠不足や夜更かしが続くと、血液の栄養を過剰に使うため、寝足りないのに深い眠りが得られなくなります。睡眠力を高める養生を行いましょう。
血液に栄養を与えて、安眠作用にも働くのが「卵の黄身」。白身と混ぜないで食べるのがよいので、ゆで卵がオススメ。血を補う食材を足した「ゆで卵の黒酢しょうゆ漬け」は作り置きにも◎。黒酢・しょうゆ・酒、各大さじ4と、中華材料の五香粉小さじ1/3を鍋に入れて一煮立ち。これに、殻をむいて縦に浅く切り込みを入れたゆで卵を漬け、一晩おけばOK。また、漢方で古来より寝つきがよくなるとされる、なつめもおすすめの食材。乾燥なつめを赤ワインなどで漬けてやわらかくすると食べやすくなります。血液不足の人は体が冷えがちなので、温かく過ごすことも心がけて。
眠れないのは、病気を引き起こす手前の「未病」の状態。未病の段階から症状を改善することで、より健康な状態へと近づくことができます。 眠れない原因となる、ストレスや悩み、体のエネルギー不足や栄養不足は、体の防御力を低下させて、病気を招きやすくなります。 眠れないのは、未病のサイン。自分の体を見つめ直す機会と考え、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
東洋医学では、体のエネルギーである「気」の乱れや「血」の不足で、眠りが妨げられるとしています。
体のエネルギーである「気」が滞ると、神経が高ぶって興奮して、寝つけなくなります。上部にエネルギーが集中するため、首や肩のこりもひどくなりがちです。また「気」が不足している場合は、いくら寝ても体が満たされません。そのためたくさん寝ても疲れがとれないことに。また「血」が不足した体は、体が不安定になって深い眠りを得られません。
東洋医学では、「眠れない=未病」のとき、自ら健康になろうとする力「自然治癒力」を高めることを重視しています。
なかでも「生薬」は、体を温めたり、体質の不足を補ったりと、それぞれの生薬が多くの薬効成分を含んでいるため、複数組み合わせることで効能の幅が広がり、体質を整えます。
気になるあなたの未病レベルは?