更年期障害は、閉経の前後の期間に起こる、さまざまな不調のこと。女性ホルモンの急激な低下による、体のバランスの乱れにより起こります。しかし、更年期は誰しも迎えますが、不快な症状は人により大きく違います。体の状態をよく観察して、症状に合った対処法を行いましょう。なお更年期の症状は、女性に多い甲状腺の病気とも症状が共通しています。まずは婦人科で診断してもらうことがおすすめです。
体のバランスの乱れにより、体内の熱に偏りが生じて症状につながっているようです。のぼせ、ほてり、多汗などの症状が起こるのは、上半身だけに熱が集中しているため。また熱により水分が不足すると、体が乾燥します。こうしたバランスの乱れでも、心も不安定に。血液や体のエネルギーを補う食生活や、めぐりをよくするケアが効果的です。
黒ごま・黒豆・ひじき・のりなどの黒い食べ物や、にんじん・クコの実・なつめ・ベリー類などの赤い食べ物、魚・帆立て貝・あさりなどの魚介類は、血液を増やしてめぐりをよくしたり、体をうるおわせて、のぼせやほてりを防ぐ作用が。逆に唐辛子などの辛いものは、ほてりを悪化させるので控えましょう。また足の裏を押したりもんだりすると、全身のめぐりがよくなり熱のバランスが整うので、風呂上りなどに毎日行って。
血流の滞りが症状となって現われています。血流の悪いところは冷えたり、痛みが出ることに。肩こりや頭痛もその症状のひとつ。血流は加齢と共に悪くなるので、更年期世代では流れの悪い人が多くなります。食べ物や日常生活で体のめぐりをよくすると症状が楽に。
血のめぐりをよくするには、お風呂タイムを有効活用して。湯船にゆっくり浸かって体をよく温めると血流がよくなります。湯上りには、かなりぬるめのシャワーを、ひざから下と顔に勢いよく当てて。温度差が刺激となり、血行が改善します。運動不足はめぐりを悪くするので、ストレッチやヨガを毎日の習慣にしましょう。また、体のめぐりをよくする食材をメニューに取り入れて。野菜ではトマト・ナス、魚は、サバ・いわし・サンマなどの青魚や、まぐろ・かつお・サーモンなど身の赤い魚も血流をよくしてくれます。
エネルギーの流れが乱れているタイプです。エネルギーが十分にあるときは心身の状態が安定しますが、不足したり、あるべきところに回らないと、心が不安定になってイライラしたり、疲れやすくなったりといった症状に。また代謝が下がるため、太りやすくもなります。
効果的なのが「指の間マッサージ」。指の間はエネルギーの流れをよくするツボが集中する場所です。指を組んでギュッと力を入れ、指の間を刺激しましょう。指を組む場所を、指のつけ根から指先まで少しずつずらしながらくり返して。人と話をしているときや、電車の中のスキマ時間に行いましょう。またやる気がなく気持ちが沈みがちなときに元気を与えてくれるのが、豆と雑穀のパワー。主食を雑穀の豆ご飯にすると、毎日無理なく食べられて、エネルギーを高めてくれます。
更年期障害は、病気を引き起こす手前の「未病」の状態。未病の段階から症状を改善することで、より健康な状態へと近づくことができます。更年期は病気ではありませんが、更年期障害として症状が出るのは、体のめぐりが悪かったり、エネルギーの流れが乱れているため。放っておくと、更年期が過ぎても不調が残ったり、他の病気が現れたりすることに。 更年期障害は、未病のサイン。自分の体を見つめ直す機会と考え、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
更年期障害のような婦人科系の症状は「血の道症」ともいわれ、血流との関係が深いとされています。
「血」の滞りや不足は、体に痛みを生じさせたり、バランスを崩して多様な症状を引き起こします。また、心身のエネルギーである「気」の停滞も更年期障害の原因に。「気」の流れが悪くなると、心にエネルギーが満たされずウツウツとしがちです。逆にイライラすることも。こうした気・血のバランスを整えることで症状が改善します。
東洋医学では、「更年期障害=未病」のとき、自ら健康になろうとする力「自然治癒力」を高めることを重視しています。
東洋医学で用いられる「生薬」は、体を温めたり、代謝を良くしたりと、それぞれの生薬が多くの薬効成分を含んでいるため、複数組み合わせることで効能の幅が広がります。
気になるあなたの未病レベルは?