不調はあるのに調べても原因がわからない場合、「自律神経失調症」と診断されることがしばしばあります。自律神経は全身の器官をコントロールしており、バランスが崩れると、動悸、発汗、めまい、ほてり、頭痛、胃痛、腹痛、下痢、吐き気、ふるえ、筋肉痛、喉のつまり感、息切れ、食欲不振、全身倦怠感など、さまざまな症状が起こります。心身の状態に違いがみられるので、体調から対処法を探っていきましょう。
精神のバランスの乱れが、自律神経にも影響を与えているようです。ちょっとしたことにも敏感に反応してしまい、気分や体調が不安定になります。全身のエネルギーの流れが滞っているので、めぐりをよくするケアで改善を。
体内のめぐりをよくする体操を行いましょう。手を横に伸ばして、ゆっくり息を吸いながら頭の上にあげ、ゆっくり息を吐きながら下ろします。これを5~10回くらいくり返すと、体のエネルギーが流れて気分がスッキリ。また香りのよい飲み物は、不安定な気分を整えてくれます。ティータイムには、お茶や紅茶にシソやミントを刻んで香りを加えたものを楽しみましょう。イヤなことを無理に行うと症状が悪化するので、心の声に従って、気がのらないことは避けて過ごすのもポイント。
ストレスの影響で体力気力が失われており、自律神経が正常に働かなくっているタイプです。エネルギーが不足すると、体の機能が低下し、季節の変わり目や不安定な天候、ライフスタイルの変化などに対応しきれなくなって症状につながります。
エネルギーの不足を補って高めてくれるのが、さやえんどうや大豆などの豆類や、玄米、麦などの雑穀。白米に混ぜて炊くだけの雑穀ミックスや、市販の煮豆や水煮の大豆、豆乳などを使って手軽に取り入れて。また、みそや納豆・豆乳ヨーグルトなどの発酵食品、キノコ類も気を補ってくれます。体を動かすことも症状改善に。激しい動きは不向きですが、ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの軽い運動で体をめぐらせましょう。ゆっくり鼻から吸い、口をすぼめながら息をゆっくり吐き出す呼吸法も効果的です。
頭を酷使したり、心労が重なると、血液から受け取る栄養が不足して、自律神経が本来の働きをまっとうできなくなります。更年期の場合も、ホルモンや血流の変化により、自律神経に影響を与えます。栄養豊富な血液を全身にめぐらせることが、改善につながります。
栄養豊富な血液を増やす「血海」のツボを刺激しましょう。膝のお皿の内側の縁を、指3本分ほどあがったところ。親指でグリグリ押しながら痛みを感じるところを探し、そのままもむように刺激して。また赤い食べ物は増血効果が。赤身の肉や、かつお・マグロなど赤身の魚、トマト、にんじん、なつめ、プルーンなども◎。卵(特に黄身)もよい血液を作ってくれます。また、根をつめると状態が悪くなるので仕事や勉強はほどほどにし、難しい判断もできれば先送りにして。頭皮をよくマッサージすると脳の血流がよくなり、不安な気持ちがやわらぎます。
自律神経失調症は、病気を引き起こす手前の「未病」の状態。未病の段階から症状を改善することで、より健康な状態へと近づくことができます。自律神経失調症の人は、悩みやストレスが多く、過剰に神経を使うことでバランスが乱れていると考えられます。悩みやストレスは、自律神経だけでなく内臓の働きや血流に影響を与え、他の病気を併発する可能性が大きくなります。 自律神経失調症は未病のサイン。自分の体を見つめ直す機会と考え、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
東洋医学からみて、自律神経失調症に最も関わりの強いのは、体のエネルギーである「気」の乱れ。
気が滞ると気分が不安定になったり、痛みなどの症状が出やすくなったりします。また気が不足すると、体の健康を保てなくなり、外からの刺激ですぐにバランスを崩すことも。さらに「血(ケツ)」の不足も原因に。睡眠不足や、過剰な頭脳労働、心配事は、血を消耗します。すると体に必要なものが届けられなくなり、さまざまな症状が起きやすくなります。
東洋医学では、「自律神経失調症=未病」のとき、自ら健康になろうとする力「自然治癒力」を高めることを重視しています。
なかでも「生薬」は、体に不要なものを取り除いたり、体質の不足を補ったりと、それぞれの生薬が多くの薬効成分を含んでいるため、複数組み合わせることで効能の幅が広がります。
気になるあなたの未病レベルは?