HOME > 特集記事 > 【2018年12月号】 のどから防ぐ!風邪・インフルエンザ対策

のどから防ぐ!
風邪・インフルエンザ対策

のどから防ぐ!風邪・インフルエンザ対策

年の瀬は、風邪やインフルエンザが最も猛威をふるう時期。感染を防ぐには、ウイルスや細菌の入り口となるのどケアが欠かせません。今月はのどケアに詳しい先生に、風邪やインフルエンザを寄せ付けないのどケアの極意を教えていただきます。

お話を伺った先生
池袋大谷クリニック院長 大谷義夫(おおたに よしお)先生
藤井直樹(たてふじ ともき)先生

東京医科歯科大学 第一内科、呼吸器内科、睡眠制御学講座で21年間、内科疾患・呼吸器疾患・アレルギー疾患・睡眠医療に携わる。『肺炎にならないためののどの鍛え方(扶桑社ムック)』『長生きしたければのどを鍛えなさい(SB新書)』などの著書やテレビ出演も多数。
https://otani-clinic.com/index.html

知っているようで知らない
風邪・インフルエンザの正体

風邪(普通感冒)とインフルエンザはどう違うの?

インフルエンザウイルスは大きく分けてA、B、Cの3種類あります。A型はH1N1、H3N2(香港型)など、A型だけで144種類ありますが、人命にかかわるほど重症化する可能性があるのはA型の2種類と、B型の2種類だけです。C型は風邪症状のみで改善しますので問題ありません。風邪のウイルスは約200種ありますが、通常は軽症のことが多く、人命にかかわるほど重症化しません。

なぜ冬はインフルエンザが大流行するの?

インフルエンザが流行するのは12~3月です。2017年は10人に1人がインフルエンザにかかりました。ピーク時期には学校から家庭、さらに会社へと伝わって、流行が拡大化しがちです。ウイルスが口に入ると、のどの粘膜に張り巡らされた「線毛(せんもう)」が防御しますが、湿度が低い冬は線毛の動きが低下するので感染しやすくなります。
また、インフルエンザウイルスは気温や湿度が低いと活性化するといわれています。これは1961年にハーパー博士が発表した論文に由来しますが、沖縄や東南アジアでは高温・高湿度な時期にインフルエンザが流行することがあり、東京でも夏にインフルエンザになる人がまれにいます。2018年には米国の大学で、湿度が高くなってもインフルエンザウイルスの活性が落ちなかったという論文が発表されました。湿度が高くてもインフルエンザの活性が低下しないことが、沖縄だけでなく、最近では日本各地で夏や秋に散発するインフルエンザによる学級閉鎖が生じる理由にもなりえます。ただし、夏~秋の湿度の高い時期は、冬ほど大流行しません。湿度が高いと、のどの線毛の動きを活発にして、ウイルスなどの異物を排除するのどの免疫が高まるからだと考えられます。

高熱が出ない「隠れインフルエンザ」に気を付けて!

インフルエンザはA型でもB型でも高熱が出ます。しかし、体温が38℃未満の微熱や平熱でも、インフルエンザの場合があり、これは「隠れインフルエンザ」(医学用語ではありません)とメディア発信されています。高齢者がインフルエンザB型にかかっても60%の方が38℃未満、20%の方が37.5℃以下であったと報告されています。若い人でもワクチンを接種していると高熱が出ないことがあるのです。もし高熱ではないのに異様にだるかったり、強い関節痛を感じるときは、インフルエンザの可能性があります。「普通の風邪と違う」と感じたら、医療機関を受診しましょう。ただし、発症後6~12時間未満ですと、インフルエンザの検査で陽性に判定されないことが多いので、数時間してから医療機関に問い合わせましょう。

のどから風邪・インフルエンザウイルスを
シャットアウト!

風邪やインフルエンザのウイルスは飛沫感染が多く、最大の侵入経路は鼻と口です。口に入ったウイルスを最初に防いでくれるのは、「のど」。のどの線毛は、ウイルスなどの異物を捕えると、タンと一緒に体外に排出してくれますが、すべて除去できるとは限りません。ウイルスがのどから侵入する前に、水際で防ぐことが大切です。

point 1
使い捨てマスクが必須!マスクの外し方に要注意!

インフルエンザウイルスはサイズが小さいため、マスクの繊維を通過します。しかし、インフルエンザウイルスは、唾液と一緒になった飛沫として飛散するので、マスクを着用することで飛沫を防いだり、のどの湿気を保つのに役立ちます。ただし、人ごみの中で使用したマスクにはウイルスが付いている可能性があるので、屋内に入る際にマスクを捨て、新しいマスクに取り換えるのが鉄則。通勤時に使ったマスクをポケットに入れておいて、帰りに同じマスクを着けるのはNGです。マスクを外すときも、表面に触れると、手から接触感染するリスクがあります。まずマスクのゴム紐を持ち、表面に触れないようにしてごみ箱にすぐ捨てましょう。大谷先生は、診療日は1日に20枚、休日も1日に4枚はマスクを取り換えるそうです。

使い捨てマスクのイメージ写真

point 2
緑茶をこまめに飲んで、殺菌&潤い補給

風邪の予防には水うがいがおすすめですが、インフルエンザウイルスは比較的早期に気道に侵入するので、水うがいでは洗い流せない可能性があります。近年、静岡県立大学薬学部・山田浩教授らが緑茶うがいでインフルエンザ予防効果が期待できるという研究報告を発表して話題になりました。緑茶はカテキンの殺菌作用のほか、のどを潤すのにも役立ちます。インフルエンザ予防のためには、水うがいの効果が否定されたことを考えると、1日3回の緑茶うがいではインフルエンザウイルスの侵入を防げない可能性があるので、大谷先生は患者さんの診察が終わる度に、約10分間隔で緑茶を飲んでいるそう。緑茶うがいの大谷式変法だそうです。試す価値はあるかもしれません。

緑茶のイメージ写真

point 3
歯磨きで口腔内を清潔にすることも大切!

歯磨きが不十分で口の中が不衛生だと、口腔内細菌がインフルエンザウイルスの気道への侵入と増殖を手助けする酵素であるプロテアーゼとノイラミニダーゼを作り出してしまいます。食後や就寝前はフロスや歯間ブラシなども使用した丁寧な口腔ケアを心掛けて、インフルエンザウイルスが増殖しにくい環境を保つようにしましょう。

point 4
唾液はのどの守護神!唾液が出にくいときは「のど飴」をなめて潤いキープ

風邪やインフルエンザを防ぐには、のどを潤す唾液が不可欠です。唾液は加齢に伴い出にくくなりますが、唾液の分泌を促すには、ガムを噛んだり、トローチや飴をなめたりするのがおすすめです。ただし、薬用トローチをなめた後にすぐ飲食すると有効成分が流れてしまうのでご注意を。薬用ではないのど飴は処方量に制限がないので、普段から持ち歩き、こまめになめてのどの潤いをキープしましょう。

point 5
加湿器や濡れタオルを干して室内の湿度を常に50~60%に

のどを乾燥させないためには、室内の湿度を保つことも大切です。冬はエアコンで室内が乾燥しがちなので、加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、湿度が常に50~60%に保たれるようにしましょう。

point 6
看病するときは2m離れ、背中越しに会話して飛沫感染を防ぐ!

家族が風邪やインフルエンザに感染したら、セキをしている家族にはできるだけ別室にこもってもらいましょう。食事や会話をするときも、飛沫が飛んで来るのを避けるために2mは離れ、正面から向き合わず、肩越しや背中越しに話すようにしましょう。ドアノブやスマホなども接触感染のリスクを高めます。海外での実験データでは、インフルエンザウイルスは衣服だと15分ほどで活性が落ちましたが、金属は24時間以上、高い活性が維持されました。

point 7
セキが出るときは「はちみつコーヒー」がおすすめ

風邪やインフルエンザのウイルスがのどから気道に入ってしまうと、異物を吐き出そうとセキが出ます。セキが続いて辛いときは、コーヒーにはちみつを入れた「はちみつコーヒー」がおすすめです。コーヒーに含まれるカフェインには気管支拡張作用や抗炎症作用があり、1988年にイタリアで行われた調査では、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、まったく飲まない人より喘息発症リスクが28%も低いという結果が出たそうです。はちみつにも抗炎症作用や抗酸化作用があり、セキ止め薬よりも効果が高いという研究論文もあります。

はちみつコーヒーのイメージ写真

point 8
1日20分の日光浴で免疫力UP&風邪のひきはじめにプチ運動を!

風邪やインフルエンザ予防のためには、免疫力も不可欠です。日光浴をすると、UVB(紫外線B波)によってビタミンDが体内で合成されます。ビタミンDはキノコ類や魚介類にも多く含まれていますが、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症に役立つという論文発表が複数報告されています。日本のほとんどの窓ガラスはUVBをカットするので、1日20分だけ屋外で日光浴してください。紫外線が気になる方は、通勤や買い物の際に手袋なしで外を歩くだけでOKです。また、風邪のひきはじめに軽い運動をすると、幾つかの免疫細胞が活性化するといわれています。高熱のときはNGですが、のどの軽い痛みや寒気、鼻水程度の初期症状のときなら20分ほど軽くウォーキングするのがおすすめ。大谷先生は風邪のひきはじめに5分ほどプールで泳ぐそうです。



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