ほろ苦さと独特の⾹りがクセになる早春の⼭菜
2月の立春を過ぎると、寒さがゆるんだ日にフキノトウの小さな蕾が大きく膨らみます。ほろ苦さと独特の香りがあるフキノトウは、春の香りを最初に伝えてくれるハーブで、多くの人に好まれてきました。食用の風習は『出雲国⾵⼟記』(713年以降)や『延喜式』(905〜927年)に記載があり、古くから生活に取り入れられてきたことが分かります。
通常、フキといえば食用にする根出葉の葉柄のことで、フキノトウとは区別されます。フキノトウは地中の茎から何枚も重なった苞に包まれた花枝の先に付く蕾の部分です。花は、白黄色で花茎をあまり伸ばさず早く枯れてしまう雄花に対し、雌花は白色で30cm程度まで成長します。
詩歌に取り入れる場合は、春を待ちわびる人々の心情を汲み入れ、季節の厳しさとほのぼのとした場面が詠まれるようです。
別名はフキンボコ、フキンボ、フキッタマ、ホーキッタマ、フキタンボなどかわいい名前が多く、これは厳しい寒さの中で土を割るようにして芽を出す姿に愛しさを覚えるからではないでしょうか。
薬用では、乾燥させたものを煎じて飲むと鎮咳、去痰、解熱、風邪、気管支炎などによいとされます。また料理に使うと、特有の苦味質が胃の消化を助け、食欲増進が期待できます。
食用(※注記)としては、味噌焼きや味噌炒め、酢味噌和え、醤油煮、天ぷら、塩漬など幅広く、刻んだ蕾を味噌汁に入れても美味しくいただけます。
花言葉は「待望」「愛嬌」「仲間」です。
出典:牧 幸男『植物楽趣』
※注記:フキノトウにはピロリジジンアルカロイド(植物に含まれる天然毒素)が含まれています。食用の際はしっかりアク抜きを行なって食べましょう。
今月の生薬クイズ
【Q.】 春の訪れを告げる「フキノトウ」の花言葉は?
➕
【A.】 「待望」「愛嬌」「仲間」