HOME > マスクの雑学 >  【2020年11月号】 マスクの雑学

マスクの雑学

「マスクの語源は幽霊!?」「世界をざわつかせるユニークなマスクたち」「日本と欧米ではヒーローのマスクを着ける位置が違う!?」——今月はマスクの雑学をお届けします!


マスクの語源は幽霊!?

今でこそマスクは日用品ですが、顔を覆うマスクにはどこかミステリアスな印象があります。英語の「mask」には「仮面」「覆面」のほかに「ごまかし」「見せかけ」「覆う」「隠す」などの意味があります。マスクを着けることを「put on a mask」といいますが、これには「正体を隠す」という意味もあります。またマスクを外すという意味の「throw off one's mask」には、「正体を現す」という意味もあります。日本語でも「あの人は仮面をつけている」「いつか仮面を剥いで正体を暴いてやる」などといいますよね。
マスクの語源には諸説ありますが、「仮面」「仮装」「隠ぺいする」という意味のイタリア語「マスケラ(maschera)」に由来するともいわれています。ちなみにまつ毛の美容に使う化粧品の「マスカラ(mascara)」も、マスケラが語源だそう。
また別の説では、マスクの語源はラテン語で「幽霊」を意味する「mascus」ではないかともいわれています。ハロウィンの仮装ではシーツですっぽり覆われたゴーストが定番ですが、昔の人は顔が見えないと実体のない幽霊のように感じたのかもしれませんね。



世界をざわつかせるユニークなマスクたち

マスク生活が続く中、各地でユニークなマスクが続々と登場しています。スポーツウェアメーカーが水着素材のマスクを作ったり、ランジェリーメーカーがブラジャーなどに使う優雅なレースやシルクを使ったマスクを発表したりするなど異業種もこぞってマスクを開発。ミラノコレクションなどのファッションショーでも、衣装とセットアップになった華やかなマスクを着けたモデルがランウェイに大勢登場しました。
連日テレビに映る政治家のマスクも個性が豊かで、小池百合子東京都知事が愛用する大きめの手作りマスクは「ユリコノマスク」と呼ばれ、まねをして作る人が続出しました。また、玉城デニー沖縄県知事が度々着けている沖縄名品の紅型(びんがた)模様のマスクは、現地の店に注文が殺到したようです。
暑い夏には自動販売機でガラス瓶入りの「冷やしマスク」や、両ほほに保冷剤が入った冷感マスクも販売されました。マスクの進化は目覚ましく、息苦しさを解消するために電動ファンを内蔵したマスクやLED搭載の光るマスク、スマホアプリと連動したマイク内蔵の透明マスクなど、まるでSF映画のようなハイテクマスクが続々開発されています。快適なマスクのさらなる進化が楽しみですね。


日本と欧米ではヒーローのマスクを着ける位置が違う!?

昭和の日本には、マスクを着けたヒーローがよく登場します。元祖は嵐寛寿郎(あらしかんじゅうろう)の当たり役として知られる『鞍馬天狗』シリーズ。イカ型の頭巾と一体になったマスク姿は大佛次郎の原作にはないものですが、鞍馬天狗の定番スタイルとして戦前から庶民の間で大人気でした。
高度経済成長期にお茶の間の子どもたちのヒーローだったのは、『鞍馬天狗』をヒントに考案された『月光仮面』でした。白いターバンと白いマスク、マントを着けた月光仮面のスタイルは当時の子どもたちの憧れでした。こうしたことから、日本では口をマスクで覆ったヒーローは正義の味方という印象があります。
しかし、アメリカでは、西部劇のヒーロー『ローン・レンジャー』や、アメリカンコミックのヒーロー『バットマン』など、口ではなく目をマスクで覆ったスタイルです。どちらかというと悪党が口を覆っているケースが多く、マスクで口を覆うのは不審者というネガティブな印象を持つ人が少なくありません。今は欧米でもマスク着用が日常化していますが、欧米人が口を覆うマスクをあまり好まないのにはそうした事情があるともいわれています。