HOME > 猫の雑学 >  【2020年9月号】 猫の雑学

猫の雑学

「猫にメロメロな作家たち」「オーバーコート、フリル、ネックレスって猫のどの部分?」「猫はつらいよ!? ~トホホなネタに登場する猫たち~」――今月は猫の雑学をお届け!


猫にメロメロな作家たち

猫好きの文豪は数多くいますが、個性的な作家は愛情のかけ方も独特です。直木賞作家の向田邦子さんの『食いしん坊エッセイ傑作選』では、愛猫のマミオのために、10kg分の飛び魚を何回にも分けて煮つけ、小分けにして冷凍しておくという手間のかかる作業を、台所で3時間も奮闘して行ったと語っています。猫への愛情深さを物語るエピソードですね。
一方、芥川賞作家の開高健氏は、愛猫をネタに随筆を書き、「原稿料が入るとナマブシを買って若干リベートを申上げることがある」と著書『最後の晩餐』で語っています。また、猫が毎朝布団に入ってきて足指をぺろぺろ舐めるのは、「水虫の匂いがくさやの干物かブルーチーズに思えたのかも」と食通らしい見解を述べています。
『猫にかまけて』『猫とあほんだら』など猫をテーマにしたエッセイで知られる芥川賞作家の町田康氏も、長年多くの猫と暮らしています。町田氏は、猫にはWi-Fi機能のような能力があるという持論を語っています。これは、例えば町田氏が朝目覚めた瞬間、それを察知した猫が隣室の押し入れで鳴くといった行動を指しているようです。感性豊かな作家は、発想が独創的ですね。


猫にメロメロな作家


オーバーコート、フリル、ネックレスって猫のどの部分?

猫の優雅な被毛には、人間の洋服やアクセサリーにたとえたユニークな呼び名がつけられています。例えば「オーバーコート」は、猫の外側を覆っている長い上毛のことです。オーバーコートの下にはもう少し柔らかな「アンダーコート」と呼ばれる下毛があります。猫は犬よりも寒がりですが、二重の天然コートでしっかりガードしているのですね。
長毛種の猫にはキュートな「フリル」もついています。フリルとは猫のあご下から胸にかけてふんわり生えている柔らかな毛のことです。また、首周りにある縞模様は「ネックレス」といい、猫の前足に輪状に見える縞模様は「ブレスレット」といいます。ふわふわのフリルに、ネックレスやブレスレットをつけている猫を想像すると、まるでエレガントな貴婦人のようですね。
また、白いソックスをはいているように見える猫もよくいます。アメリカの元大統領ビル・クリントン氏が飼っていた白黒模様のファースト・キャット「ソックス」くんの足は、まさに白いソックスをピチッとはいているようでした。ちなみに、バーマンという猫種の白い後ろ足はソックスではなく「レース」、前足は「グローブ」と呼ばれます。


猫はつらいよ!? ~トホホなネタに登場する猫たち~

猫は歌や物語など、さまざまな創作の題材になっています。ただ、そうした中には猫が随分な目に遭わされているケースが多々あります。例えば、童謡の『ねこふんじゃった』は、明るい曲調とはうらはらに、猫を踏んづけてしまったという歌詞が連呼され、歌っているうちに猫がちょっと気の毒になってきます。ちなみにこの曲は作曲者不詳で、各国で独自の歌詞がつけられています。例えばドイツではノミ、ロシアでは犬、フランスではカツレツの歌として知られており、猫は一切登場しません。
猫にまつわる慣用句やことわざも数多くありますが、たとえば泥棒することを意味する「猫ばば」、猫が価値のわからない者の代名詞のように使われている「猫に小判」、猫が本性を隠してシレっと取り澄ますことの象徴になっている「猫かぶり」、猫が見境なく翻弄される人にたとえられた「猫も杓子も」など、猫にとっては不本意なものが少なくありません。
佐野洋子さん原作の『100万回生きた猫』は、ミュージカルにもなった感動の物語です。ただ、1つの物語の中でこんなに何度も何度も死んでしまうシーンが描かれる猫さんがなんともせつないですね。
また、死んだ猫が化けるという「猫又」などの伝説も、当の猫にとっては迷惑な話です。このように猫が少々損な役回りで語られることが多いのは、猫がそれだけ奥深くミステリアスな存在だからかもしれません。実際の猫たちは人間を癒してくれる存在でもあるので、もっと優しくしてあげたいですね。