HOME > メンタルの雑学 >  【2020年6月号】 メンタルの雑学

メンタルの雑学

「メンヘラ、豆腐メンタル、こんにゃくメンタル——メンタル俗語あれこれ」「メンタルの病気は誰でもかかる」「動物もメンタルを病む?」——今月はメンタルに関する雑学をご紹介します。


メンヘラ、豆腐メンタル、こんにゃくメンタル——メンタル俗語あれこれ

「メンタルはわりと強めです」「自分は豆腐メンタルなので」——普段、日常会話の中で何気なく使われている言葉の中には、メンタルヘルス関連の俗語が少なくありません。ひと昔前は「ガッツがある」「根性がない」などと言われていた言葉も、近年は「メンタル」に置き換わる傾向があります。
精神的に弱いことを意味する俗語「豆腐メンタル」は、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』(テレビ東京系列)のキャラクターに由来するといわれています。さらにそこから派生して「こんにゃくメンタル」という俗語も登場しました。これは、一見軟弱ながら、実は柔軟に対応できる精神を意味します。いずれもインターネット上で広がったいわゆる“ネットスラング”です。
「メンヘラ」も、そんなネットスラングの1つ。ネット上でメンタルヘルスについて話す匿名掲示板が発祥とされており、短縮形の「メンヘル」や、投稿していた人たちの総称「メンヘラー」が変形して「メンヘラ」になったようです。派生語も増えており、気を引こうと心が病んでいるふりをする人を「ファッションメンヘラ」というそう。2019年放送の人気ドラマ『凪のお暇』(TBS系)では、ヒロインの心を振り回す男性を「メンヘラ製造機」と称する造語が使用され、一時トレンドワードになりました。こうした俗語は差別用語としてではなく、機知のある表現として使うように心がけたいですね。


メンタル


メンタルの病気は誰でもかかる

メンタルヘルスとは、ひとことでいうと「心の健康」のことです。世界保健機関(WHO)では、「メンタルヘルスとは個人が能力を発揮し、生活上の一般的ストレスに対処しつつ、生産的に働き貢献できる状態(メンタルヘルスアクションプラン2013-2020より)」と定義しています。
また、厚生労働省のサイト『メンタルヘルスへのとびら』のトップページには、「こころの病気は、誰でもかかりうる病気です」と書かれています。実際、5人に1人は心の病気にかかるといわれています。
ちなみに、今は国内外でメンタルヘルスという言葉が当たり前のように使われていますが、この言葉が急速に普及し始めたのは20世紀末ごろからといわれています。情報化や格差社会化が急速に進み、うつなど心の病気を患う人や自殺者が増えたことから、メンタルヘルスの概念が社会全体に広まっていったのです。
近年は、過労やパワハラによる、うつなどの心の病気が労働災害に認定されるケースが増加したことから、メンタルヘルス対策に取り組む企業が増えています。医療機関でも、精神科ではなく、「メンタルヘルスクリニック」「メンタルヘルス科」といった呼称が一般化しつつあります。
不安定な世情や不況の影響によってメンタルに不調を感じる人が増えている中、今後ますますメンタルヘルスに対する意識が高まっていくと予測されています。


動物もメンタルを病む?

人間と同じように、動物も心の病気になることがあります。例えばペットの犬や猫も、ストレスなどで心の病気になり、かみついたり、どこでも排せつしたり、自分の尻尾を追ってぐるぐる回ったりといった問題行動を起こすことがあります。動物のメンタルヘルスに関わる認定獣医師もおり、治療やトレーニングを行っています。
動物が飼い主から離れると心が激しく動揺してしまう「分離不安」に陥ると、下痢や食欲不振になったり、ものを破壊したりすることもあるといいます。例えば、南米の空港で飼い主に置き去りにされた犬は、餌を与えられても決して食べようとせず、飼い主を待ち続けてとうとう衰弱死してしまったそうです…。有名な忠犬ハチ公も、亡くなった主人の帰りを毎日待ち続けながら、人知れず大きなメンタルストレスを抱えていたのかもしれないと思うと、切ないですね。ペットの数は年々増える傾向にありますが、ペットのメンタルストレスもしっかり気遣ってあげたいですね。