HOME > 健康の雑学 >  【2015年5月号】 花の雑学

花の雑学

母の日にNGのカーネーションとは? バラで若返るって本当? 今回は、花言葉の謎から、バラに憑りつかれた美魔女や、香りオタクの青年まで、花の雑学をご紹介!


雑学1 花言葉の謎——母の日にNGのカーネーションとは?


花にはそれぞれ決まった花言葉がありますが、その多くはギリシアやローマ神話、北欧の伝承がネタモトになっているといわれています。花の季節によって花言葉に傾向があり、例えば春に咲く花には「希望」「青春」といった前向きな花言葉が多く見られますが、秋の花には「薄れゆく愛」「死」など、ネガティブな花言葉がよく見られます。色によっても傾向があり、白は「真実」「純潔」など、潔白なイメージ、赤は「情熱」「恋」など、熱いイメージ、そして黄色は「片想い」「下品」など、悪いイメージの花言葉が多く見られます。また、ひとつの花にも複数の花言葉があり、例えば、キンギョソウ=「純粋な心」「図々しい」のように、よいイメージの花言葉と、悪いイメージの花言葉が一緒になっているケースもあります。
花そのものに罪はありませんが、例えば恋人にホウセンカ=「私に触れないで」を贈ったり、誠意を見せようと渡した花がアジサイ=「ほらふき」だったり、お見舞いの花束の中にクロユリ=「呪い」が混じっていたりすると、あらぬ誤解を受けるかもしれないのでご注意を。

カーネーションのイメージ写真


5月の母の日にはカーネーションを贈られる人も多いと思いますが、これも色によって花言葉のイメージがまったく違います。定番の赤いカーネーションの花言葉は「母の愛」「愛を信じる」、ピンクは「熱愛」、白は「私の愛情は生きている」です。ただし、黄色の花言葉は「軽蔑」「侮辱」なので、母の日にはやはり赤いカーネーションを贈るのが鉄板といえます。


雑学2 バラで若返る?——バラに憑りつかれた世界の美魔女たち


古代ギリシアの女性詩人サッフォーが「花の女王」と讃えたバラは、古来より多くの美女たちを魅了してきました。エジプト王妃クレオパトラは、恋人のアントニウスをもてなすため、自分の全身にバラの香油をふりまき、宴席にもバラの香油を焚き、さらに寝室にも薔薇の花びらをびっしり敷き詰めたといわれています。また、フランス王妃マリー・アントワネットや、ルイ15世に溺愛されたポンパドール夫人、ナポレオンの愛妻ジョゼフィーヌもバラをこよなく愛した女性として有名です。名だたる美女たちを虜にしてきたバラは、科学的にも女性の美の味方といわれています。バラの甘美な香りを嗅ぐことで、ストレスが和らいで愛情豊かになり、その香り成分が体内に入ることで若返りホルモンのエストロゲンの分泌が促され、さらに口臭や加齢臭の抑制効果もあるそう。バラが世界中の美魔女たちを虜にするのも納得といえますね。


バラのイメージ写真

横浜の山下公園にある「カトリーヌ・ドヌーヴ」と名付けられたバラ。
バラには美女の名が冠された品種が多く見られます。


バラの香りといっても、品種によって千差万別ですが、一般に広くバラの香りと認知されているのは、ダマスクローズの香りです。最高級といわれるブルガリア産のダマスクローズは、世界の名だたる香水の原料に使われており、「バラの女王」といわれます。ただし、その収穫期は1年にわずか2カ月間のみで、朝露に濡れた朝摘みのバラのみが香料に使われます。精油は4トンものバラの花びらから1kgしか抽出できないので、非常に高価ですが、母の日の贈りものにすると喜ばれるかもしれません。


雑学3 “究極の香り”が主人公のミステリアスな物語


数年前、“香り”をテーマにしたミステリアスな小説・映画『パフューム ある人殺しの物語』が、世界中で大ヒットしました。18世紀のフランスを舞台にした物語の主人公は、数km先の匂いも嗅ぎ分ける天才的な嗅覚と調香の才能を持った“香りオタク”の青年です。ある美少女の香りに憑りつかれた青年は、その香りを封じ込めた香水をつくり出したいがために、やむなく殺人を繰り返します。物語の中では、油脂に匂いを移す形で花から香料を抽出する古典的な調香法「冷浸法(れいしんほう)」によって、“究極の香水の原料” を抽出する様子が、幻想的な美しさで描かれています。
物語の舞台は、バラやラベンダー、ジャスミンなどの天然香水植物の一大産地であり、18世紀より香水産業で栄えた南仏のグラース。今もフランスの香水・香料の約7割はこの街で生産されており、世界で活躍する調香師の大半はグラース出身といわれています。グラースには、古典的な香水の抽出法から最先端の香水製造過程まで見学できる香水工場もあるので、興味のある方はぜひ訪れてみてください。