HOME > 健康の雑学 > 【2008年10月号】脳の雑学
人間は、脳全体のうちわずか2%しか使っていないといわれています。にもかかわらず、複雑でまだ解明できないことが山のようにある「脳」。その不思議の一端をご紹介しましょう。
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以来、猿人から人間になるまで、脳は大きくなり続けてきました。しかし、現在の人間と猿人を比較したとしても、さほどの違いはありません。ネアンデルタール人の赤ちゃんをタイムマシンで現在に連れてきて現在の教育を施せば、普通に「読み・書き・そろばん」ができるようになるといわれています。猿や他の動物でしたら、こうはいきません。 一方で、人間の脳であれ昆虫の脳であれ、脳の神経細胞1個を比較すると、そんなに優劣はないそうです。違うのは神経細胞の数、それにも増して、神経細胞同士が「どう繋がっているか」が「賢さ」に大きく関わってくるといわれています。 |
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進化の過程を辿ると、さも「脳が大きい=頭が良い」と思ってしまいがちですが、これは間違い。偉人の容量を比較してみると、この間違いが顕著になります。
◇ツルゲーネフ(作家)・・・2012cc ◇カント(哲学者)・・・1650cc ◇湯川秀樹(物理学者)・・・1500cc ◇夏目漱石(作家)・・・1425cc ◇アインシュタイン・・・1230cc ◇アナトール・フランス(作家)・・・1017cc 一般的な成人の脳は、重さが約1300〜1400ccといわれていますが、かの天才アインシュタインはそれよりも小さめ。ノーベル文学賞を受賞した20世紀前半のフランスを代表するアナトール・フランスに至っては、さらに小さい容量となっています。もっとも、アインシュタインもアナトール・フランスも高齢でこの世を去ったため、加齢による脳の萎縮などがあっただろうともいわれていますが、それでも脳の大きさに頭のよさは比例しない、という考えが一般的です。 ただし、チンパンジーを想像してみてください。おでこがアタマの方向へ、斜めになっていますよね。これは人間に比べて前頭葉が発達していないためだといわれています。前頭葉は、記憶を照らし合わせて判断を下したり、ものごとを考えたり、喜怒哀楽の感情を司るといった「人間らしさ」の結晶です。 また、小脳は運動神経を司る脳です。脳全体に対し、小脳の割合が大きい動物は鳥です。それゆえ人間よりも格段に俊敏な動きができます。このように、脳の大きさというより、脳の部位やその割合、関連性が、各動物を隔てているといってよいでしょう。 では、大きさに変わる「頭のよしあし」を測るモノサシはないのか?そうして生まれたのが、皆さん一度は耳にしたことのある「IQ」です。簡単な計算や図形などのテスト結果から導くものですが、そう簡単に「頭のよしあし」は判断できません。過剰に優劣を決めたり、人種差別に用いられることも多かったため、次第に使われなくなりました。 |
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「目の錯覚」という言葉、皆さんご存知かと思います。でも実際は「目と脳が創り出した錯覚」といったほうが正しいかもしれません。 まず「目」について、私達の目には網膜のない部分、つまり「盲点」があります。位置は、視点に対して耳側(外側)約15°のところ。しかし私達は、普段暮らしていて盲点の存在に気づくことはありません。それはなぜか?もう片方の目と「脳」が、その見えない部分を補っているからです。 脳は、これまで生きてきた記憶・経験・推測によってイメージを作り、実際にないものが「見えている」状態を作り出します。たとえば「カニッツァの三角形」。これはイタリアの心理学者、カニッツァが考案したものです。じーっと見ていると黒い線の三角形と、逆さになった白い三角形が浮き上がって見えてきませんか?この絵の中にちゃんとした三角形はひとつもありませんが、補助となるカタチがあるだけで「あ、これは正三角形だろう」と脳が勝手に判断して、ないはずの三角形を浮き上がらせているわけです。 そしてもうひとつの絵が「ハーマングリッド」と呼ばれるもの。白の交差する部分に、ぼんやりとしたグレーの影があるように見えます。これも目、ひいては網膜の特性と、脳が引き起こす錯覚のひとつです。 目の前に「見えている」はずのものが、じつは単なるイメージだったりする・・・人間の目、そして脳の不思議さを感じますよね。 |