HOME > 生薬百選 > 【2008年10月号】生薬百選 55 梓実(キササゲ)
突然ですが、下の写真のような植物をご存知でしょうか?遠くから見ると少しキリ(桐)に似ていますが、花の色が異なり、秋になると棒状の房が垂れ下がっている点(写真右)で違うということがわかります。これは「キササゲ」という植物です。原産地は中国原南部で温暖な河原や谷筋などを好むとされていますが、ここ極寒の長野県でも河原などに見かけられます。
キササゲ(当研究所の圃場) (開花期:7月撮影) |
(結実期:10月撮影) |
キササゲの果実 |
生薬としては果実(梓実:しじつ)、根皮(梓白皮:しはくひ)が用いられています。生薬名には何れも梓(あずさ)という漢字が使われていますが、これは中国における植物名で、日本で弓の材料として知られている梓(カバノキ科の落葉高木)ではありません。勿論、長野県の「梓川(地名)」や「特急あずさ(電車)」とは何の関係もありません。 |
■ 泊 信義(養命酒中央研究所・主任研究員)