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養命酒

特集記事 2022年12月号

カイロを当てる順番で体の温まり方が変わる!?
ポカポカ一直線!「冷えのタイプ別・ムービングカイロ活用術」

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いよいよ寒さが厳しくなる12月。冷え対策として「カイロ」を活用している人は多いかと思いますが、なんとなく「冷える場所に貼るだけ」という人がほとんどではないでしょうか。それでは、せっかくの温活アイテムがもったいない!
今回は、長年、湯たんぽやカイロを使った冷え症対策に取り組む先生にご登場いただき、血が巡る道や器官の働きを理解してカイロを当てることで、体がみるみる温まる「冷えのタイプ別・ムービングカイロ活用術」をご紹介。カイロを当て、それを移動させることで温活効果が大きくアップしますよ。

教えてくれた先生

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医学博士班目 健夫(まだらめ たけお)先生

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1980年、岩手医科大学医学部卒業後、同大学院進学、医学博士号取得。東京女子医科大学附属東洋医学研究所研究生、助手を経て、東京女子医科大学附属成人医学センター自然療法外来担当。2004年より東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック講師。2011年、「青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所」を開設。西洋医学の専門領域は内科、肝臓学、消化器内科。西洋医学と東洋医学などのよいところを取り入れた統合医療を研究・実践している。著書に『免疫力アップ!「湯たんぽ」で「冷え症」が治る』など多数。



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ブルブルブル。う〜寒い。しっかり着込んでいても寒いから、カイロを使って温まろうっと。

 

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カイロって、当たっているところは温かいけど、なかなか広い範囲で温められないからもどかしいのよね。

 

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手足が寒いからといって体の末端にカイロを当ててもなかなか温まりませんよね。カイロは血の巡りや臓器の働き、そして筋肉を意識しながら各ポイントを移動させると、体を温める効果が大幅にアップするのです。

 

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カイロを移動させながら当てる?カイロは1箇所に貼りっぱなしにするものだと思っていました。

 

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カイロのような局地的に温めるものだと、1箇所に当て続けても温まる範囲は限定的です。それよりも、自分の冷えのタイプに応じて温めるポイントを移動させることで、体の広い範囲を温めたり、自律神経を整えて冷え対策ができたりできるのです。

 

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カイロで冷えの元にアプローチすることができるんですか!?早速、効果的なカイロの使い方を教えてください!

 

 

班目流「カイロのイロハ」 

イ:冷えを感じる前からカイロを当てるべし

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寒さでブルっと震えたり、手足が冷たくなったりしてからカイロを使い出す人が多いのですが、残念ながらそれはちょっと手遅れです。一度冷えてしまった血液や筋肉は再び温まるのに時間がかかりますし、その間に体力も消耗してしまいます。冷えを感じる前からカイロを当て温かい血が巡るようにしておきましょう。とくに、外出や立ち仕事をする際はカイロで“熱の貯金”をして、寒さに備えておくことが大切です。

ロ:カイロは貼らずにこまめに動かすべし

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長時間カイロを1箇所に当てていると皮膚が赤くなることがあります。これが低温やけどです。とくにカイロを当てたまま長時間体重がかかると(腰に貼ったまま背もたれ付きの椅子に座るなど)熱の逃げ場がなくなり、必要以上に皮膚が加熱され、深くヤケドしてしまいます。私は貼るタイプのカイロも、粘着シールを剥がさずに手に持って当てることをおすすめしています。場所を移動させながら当てるなら、1箇所あたり3〜5分程度当てれば十分効果は得られます。

 ハ:まずは大きな筋肉を温めるべし

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人間は筋肉を動かすことで、熱エネルギーを血液にのせ全身に運んでいます。しかし体が冷えて筋肉の働きが弱まると、血液を運ぶポンプ(筋肉)の役割が低下し、さらに筋肉自体がこわばって血管を圧迫してしまいます。そのため筋肉の近くの血管(動脈)の流れが悪くなり、体が冷えてしまうのです。
カイロで冷えた筋肉に熱を加えることで、血管が開いて血流が増加し、全身へ熱を運ぶ力が高まります。とくに大きな筋肉の部分、それも「お腹」や「お尻」といった体幹や、「太もも前面」や「二の腕のうしろ側」を温めることを意識しましょう。

「下半身冷えタイプ」に即効!「4P+1ムービング活用」

 
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下半身の冷えに悩まされている方におすすめしたいのが、ズボンのポケットを利用した「4P(ポケット)+1ムービング活用」です。例えば足先が冷えているとき、末端だけを温めていても血液が心臓から足先を往復する間に、冷たい筋肉に熱を奪われ冷えは解消されません。

この活用術はデスクワークやソファで寛いでいるときなど、座っているときに行うのが効果的。まずズボンの左前ポケットにカイロを入れ、そのあとに右のお尻側のポケット、右前ポケット、左お尻ポケットと、クロスさせるようにカイロを移動させます。ズボンの前ポケットで温めるのは太ももの前面部分で、ここは全身の中でもとくに筋肉が集中している場所。

この場所には大腿動脈(だいたいどうみゃく)が通っており温めた血液を末端に届けるのにも役立ちます。また、前ポケットは広めの造りが多いのでポケット内でカイロを移動させて、太もも全体を温めましょう。この際、1箇所に長時間当てないように、熱いと感じる前(1箇所5分程度)に次の場所に移動させます。ハンカチやハンドタオルでカイロを包み、熱を抑えてもいいでしょう。

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続いて右側の後ろポケットにカイロを入れます。お尻には大臀筋(だいでんきん)という大きな筋肉があり、ここを温めることで“熱の貯金”ができ、冷えに備えることができます。この流れで、右前、左後ろと4つのポケットをクロスさせるように移動させていきます。

女性でポケットがないボトムスのときは、使わなくなったストッキングにカイロを入れてベルトのように縛り、ポケットと同様の位置に移動させるといいでしょう。

次に、カイロを椅子に置き、そこに肛門が当たるように座ります。カイロに体重がかかり熱くなりやすいので、座布団やハンドタオルを間に挟むといいでしょう。肛門の周辺には静脈が集中しているので、温め効果は抜群。5分もしないうちに下半身がポカポカ温まるのを感じると思います。

 「内臓冷えタイプ」に効果あり!自律神経を整える「頬杖ムービング活用」

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寒さによるストレスや室内と外の寒暖差により自律神経が乱れ、胃腸が不調になって内臓を中心に冷えてしまう「内臓冷え」も冬場の冷えの特徴です。体が冷えている自覚症状がなくても、普段から胃の調子が悪かったり、しっかり休んでも体が重かったりする人は、「内臓冷えタイプ」の可能性が高いといえます。

自律神経を整える鍵となるのが、耳と首筋です。耳と首筋を、まるで頬杖をつくような格好でカイロを当てていきます。耳には自律神経と深い関わりのある迷走神経が集まっています。迷走神経は副交感神経の75%を占めているとされており、耳を温めることで副交感神経が優位になり、血の巡りも良くなって、さらには胃腸の働きも活発になるのです。

まずはカイロを手に持ち、耳の穴を中心に押し当てます。じんわり耳が温まってきたら(2〜3分程度)、次に耳を顔の前側に倒し、耳の後ろから押し当てます(同じく2〜3分程度)。そのあと反対側の耳も同様に温めます。

これは夜眠れないときに行うと、リラックスできて快眠できる効果もあります。

続いて首筋です。首筋も耳と同様に迷走神経が広く分布しているエリアで、自律神経を整え内臓冷えを防ぐのに役立ちます。また首の頚椎は肩や腰の神経と繋がっているため、首を温めることで首から腰までの筋肉が緩み、血がスムーズに流れる体になります。

「4P+1ムービング活用」も「頬杖ムービング活用」も、思いついたときや好きなタイミングで試してみましょう。もちろん、家にいる場合は湯たんぽで代用しても大丈夫ですよ。

 

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今までカイロは手足が冷えたときの応急処置的な使い方しかしてこなかったから、冷える前に温める「ムービングカイロ活用術」は目から鱗だったね。肛門周りや耳などちょっと意外だけど効果的な温めポイントも学んだから、どれくらい体が温まるか早速試してみよう!

 

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