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月刊 元気通信

養命酒

特集記事 2022年9月号

夜試すだけで快眠度が大幅UP!
「即効!快眠アイデア&ナイトルーティーン」

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9月は夏の間の疲れの蓄積や残暑で体力が落ちがちな季節です。そこでしっかり眠って疲れをとるための方法を紹介します。
快眠のための方法は、食事法や体操、日中の過ごし方のルールなどさまざまな方法がありますが、今回は夜、就寝前に行うだけで眠りの質がアップするアイデアに絞ってご紹介します。今夜からすぐに取り入れられるものばかりなので、気軽に睡眠の質の改善に役立ててみてください。

教えてくれた先生

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作業療法士菅原洋平先生

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作業療法士。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、ユークロニア株式会社を設立。現在、「ベスリクリニック」(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で行なう。著書に『働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全』など多数。

 

体が睡眠に傾くメカニズムを知れば睡眠効率は上がる

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最近文章を読んでいてもスッと頭に入ってこなかったり、人の話を理解するのに時間がかかったりするな。以前より集中力が落ちているのかな…。

 

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私は夏からずっと疲れが抜けないかんじ…。ちゃんと布団に入っている時間は確保できていると思うけど、眠れてないのかな。

 

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それは質のよい睡眠がとれていないからかもしれません。医療機関で睡眠問題を判定する「睡眠効率」は「睡眠時間÷ベッドにいた時間×100」で計算します。この数字が85%を下回ったら、いくら寝床に入っている時間が長くても質のいい睡眠とは言えないのです。

 

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睡眠効率ですか…。確かにただ横になっているだけで、熟睡には遠い状態かも。ただ、眠ろうと思っても逆に目が覚めたり、体が熱かったり冷たかったりと心地よく眠りに落ちないのです…。

 

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大丈夫です!睡眠は就寝前の光や体温、そして脳の状態をコントロールすることで簡単に改善することができるのです。体が睡眠に傾くメカニズムを知って、無理なく自然に快眠生活をはじめましょう。

浴室の照明を消して入浴してみる

 

 

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夜になると逆に目が冴えてしまって眠れなくなります…。

 

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体内の1日のリズムを整える働きがあるのがメラトニンで、朝の光を網膜が感知して16時間後に増えます(朝7時起床の場合、夜11時前後にピークを迎える)。それが夜になると自然に眠くなる仕組みです。
ただ、このメラトニンの分泌量は周囲が明るいと増えにくく、就寝前に一般的な部屋の明るさ(500ルクス)で3時間過ごすと、本来の分泌量より50%も減るといわれています。夜寝る前に、部屋を明るくしていると眠気を感じにくくなるのはこのためです。また、メラトニンは昼間に蓄積された活性酸素を除去する働きがあるので、メラトニンが減ったままの睡眠では体に疲れが残ってしまいます。
ですので、部屋全体の照度を低くしたり、使ってない部屋の照明を消したり、読書灯を手元に当てたりして、できるだけ目に直接光が入らないような工夫が必要です。就寝前に光量を抑えた暗い空間を一定時間設けることで、メラトニンの分泌を促進することができます。

取り入れやすい暗闇の作り方としては、照明を消した状態での入浴がおすすめです。浴室はほかの部屋に比べて低いところに照明があるため、脳に強い光が届けられてしまいます。そこで、浴室の照明を消して、脱衣所の照明だけで入浴してみることをおすすめします。就寝前の時間はできるだけ光の量を抑え、脳が眠くなる環境を整えましょう。入浴後はリビングやベッドルームを暗めにすると、自然に眠くなります。

 足首を温めながら眠ってみる

 

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布団に入っても足の冷えが気になります…。

 

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寝る前に足のくるぶしが冷えていると寝つきが悪くなることがあります。そんなときには入浴後にレッグウォーマーや足先を切った靴下を履いて足首を保温してみましょう。
足のくるぶし近くを通る脛骨動脈が温められると血管が拡張され、足先や足の裏から放熱されて血液の温度が下がります。この血液が内臓を巡ると深部体温が下がって眠りやすくなります。足首は筋腹(※筋肉の中央のふくらんだ部分)がなく発熱ができないので、お風呂などでせっかく温めても冷めやすく、保温する必要があります。
靴下を履いたまま眠ると放熱しにくいので、脱いで就寝しましょう。シャワー浴の場合はシャワーの最後に両足首に10秒ずつシャワーを当てて、足首を温めましょう。

ホットタオルで首を温めてみる

 

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眠っているときに目や口が乾いてしまいます…。

 

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就寝前や起床後に目や口の乾きや、呼吸が浅いと感じたら、就寝の15〜30分前に首を温めてみましょう。唾液腺や涙腺、呼吸器などを管轄する副交感神経は、頭と首の間あたりに位置しています。就寝前にここを温めて神経活動を高めると、目や口が潤ったり、体の力が抜けて呼吸がしやすくなったりすることがあります。
タオルを濡らしてレンジで温めたり、お湯につけて絞ったりするとホットタオルのできあがり。副交感神経の機能を高めながら、睡眠中に行われる体を回復させる活動をサポートしましょう。

耳から上の頭を冷やしてみる

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寝床に入っても考え事をしてしまって眠れません…。

 

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就寝時に考え事をするのは、脳の温度が高いことが要因です。脳も内臓なので脳の温度は深部体温といえます。通常、夜には脳の温度が下がりますが、スマホの画面を見続けるなどの行為で上がってしまいがちです。そして脳を覚醒させるノルアドレナリンが減らなくなり、不安感や焦燥感にかられてしまいます。
そんなときは、眠るときに枕の上半分にタオルを巻いた保冷剤などを敷いて、耳から上の頭を冷やしてみましょう。冷凍しても柔らかい保冷剤や乾いたタオルに軽く霧吹きをして冷凍したものが使いやすいです。ただし、首のまわりは冷やさないように注意しましょう。
保冷剤の位置は、枕の上半分あたりに置いて、ちょっと上過ぎるかなと感じられるくらいが理想です。また、腹式呼吸をすることで空気が脳の近くの上鼻道を通り、それが空調の代わりとなって脳が冷やされます。
一般に考え事をして眠れないのは心理的な問題だと思われがちですが、脳を内臓の仲間だと考え脳(内臓)の温度が高いことによる生理的な問題だととらえることで、いっそう気楽に睡眠と向かい合えますよ。

就寝1時間前にエアコンで寝具を冷やしてみる

 

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寝苦しいのにエアコンをつけると体が冷えます…。

 

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体に接するパジャマや寝具に湿り気があり汗を吸わなかったり、熱がこもっていたりすると、深部体温が下がりにくくなります。逆にエアコンで直接体を冷やし、表面体温が下がると、深部体温を保とうと蓄熱するため、寝つきが悪くなってしまいます。そのため、体を冷やさず、放熱を促進することが大切です。
日中の強い日差しで寝室のベッドや寝具には熱が留まります。朝は出かける前に遮光し、帰宅後はベッドの上の枕やタオルケットを裏返して、溜まった熱を逃しましょう。そして就寝1時間前に別の部屋で過ごしている間に寝室をエアコンで冷やし、就寝時にはエアコンの温度を適温まで戻し、つけたままで眠ることをおすすめします。

重い掛け布団で眠ってみる

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体が落ち着かなくてなかなか眠れません…

 

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体が落ち着かない、どの姿勢でもなかなか寝付けないときは、圧覚が不足している状態です。圧覚とは体で感じる体性感覚のうち圧迫を感じるもので、脳の覚醒レベルの調整に影響を与えています。
圧覚の刺激後は脳の過度な覚醒が抑えられます。就寝時に簡単に圧覚を与える方法は、重い寝具をかけること。適度に重い布団で体が圧迫されることで圧覚を感じ、脳の覚醒が鎮まり睡眠に集中できるのです。また、子どもやパートナーが寝付けないときには、ぎゅっと強めに包み込むようにハグすることで、圧覚を満たすことができます。

 

 

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足首や首、頭などを部分的に温めたり冷やしたりすることで、深部体温をコントロールできて眠りが良くなるなんて意外!部屋の照明は寝るときだけじゃなくて、入浴中から暗くした方がいいのも発見だったね。どれも寝る前のルーティーンをちょっと変えるだけだから、今夜から早速試してみよう。

 

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暑苦しく寝苦しい 168
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