HOME > 特集記事 > 【2017年10月号】 毎日300歩ウォーキングで座りすぎ不調を解消!

毎日300歩ウォーキングで座りすぎ不調を解消!

日本人は世界的に見ても座っている時間が長いってご存知ですか?座ってばかりいると、さまざまな不調の原因になるといわれています。そこで今月は、座りすぎ生活を解消すべく、足から全身を診るスペシャリストに、1日300歩で病気の予防に役立つウォーキング法をアドバイスしていただきました!


日本人は座っている時間が圧倒的に長い?!

近年、座っている時間が長いことによる健康リスクが問題視されています。シドニー大学の研究チームが22万人の成人男女を対象にした調査によると、座っている時間が1日11時間以上の人は、1日4時間未満の人に比べ、死亡リスクが40%も高かったそうです。国別でみると、日本人は1日7時間近く座っており、1日4時間弱のアメリカや中国と比べても、座りすぎの傾向がダントツに高いようです。そんな座りすぎの健康リスクを「1日300歩ウォーキング」で解消する方法を、足のスペシャリストである新保泰秀先生に教えていただきます。

お話を伺った先生:新保 泰秀(しんぼ・やすひで)先生

新保整骨院、南青山「足から治療院」Creare(クレアーレ)院長。東海大学工学部卒業、日本柔道整復専門学校卒業。柔道整復師・フットマスター。「健康は足から」をコンセプトに、足首のゆがみ矯正、骨盤矯正、頸椎矯正などによって、外反母趾、ひざ痛、腰痛、肩こり、首の痛み、頭痛などの不調を緩和。『正しく歩けば不調が消える!1日300歩ウォーキング』(日本文芸社)、『ベタッと開脚してはいけない。どんなにからだが固い人でも、痛みがなくなり心が整う「1分ウォーキング」』(講談社)、『靴底の外側が減らなくなると体の不調も消える』(主婦の友社)など著書多数。
http://minamiaoyama-foot.com/



座りすぎは、どうして身体に悪いの?

長時間座っていると、足の付け根の鼠径部(そけいぶ)が曲がったままになり、立ち上がっても前傾姿勢になりやすく、猫背や腰痛、膝痛の原因になります。また、鼠径部には、動脈や静脈、大きなリンパが集まっているので、座った姿勢だと血液循環やリンパの流れが悪くなり、足の疲れやむくみにつながります。さらに、足には全身の筋肉の7割近くがあるので、座ったままで歩かないと、股関節や足の筋肉が衰え、特に年配者はつまずいて転倒するリスクが高まります。

1日5分間のウォーキングで不調を改善!

座りすぎの不調は、1日5分歩くだけでも改善されます。ただし、正しい歩き方をすることが大前提です。健康のために1日1万歩歩いても、誤った歩き方をしていると、かえって膝を傷めてしまう場合があります。大切なのは、量より質であり、時々ハードに頑張るのではなく、毎日ムリなく続けることです。そうすれば、正しい歩き方が習慣化して、歩くだけで健康につながります。

あなたは「正しい歩き方」をしている?

新保先生によると、モデルさんのような歩きのプロでない限り、街中を見渡しても、正しい歩き方をしている人はほぼ皆無だそうです。正しい歩き方と、誤った歩き方の違いは、体重のかけ方や、靴底の減り方でわかるので、セルフチェックしてみましょう。

セルフチェック1  立ったときに深呼吸できる?

正しく立てなければ、正しい歩き方ができません。正しい立ち方とは、内側と外側のくるぶしを結んだかかとの少し前にある「バランスポイント」に重心がかかっている立ち方です。正しい立ち方をしていると、スーッと気持ちよく深呼吸できます。しかし、バランスポイント以外の場所に重心がかかる誤った立ち方をしていると、筋肉が緊張するので、呼吸が浅くなります。

重心が前にかかった立ち方

NG重心が前にかかった立ち方。太ももの前に力が入り、呼吸が浅くなります。

重心が後ろにかかった立ち方

NG重心が後ろにかかった立ち方。太ももの後ろに力が入り、呼吸が浅くなります。

バランスポイント

GOOD重心がバランスポイントにあると、足にムダな力がかからないので、疲れません。重力に対してバランスが取れているため、最小限の力で立つことができるのです。スムーズに深呼吸ができる姿勢のときはバランスポイントに乗れています。
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セルフチェック2  靴底の減り方で歩き方のクセが一目瞭然!

靴底のすり減り方を見ると、その人の歩き方のクセがほぼわかります。正しい歩き方を実践していると、センターもしくはやや外側が左右均等に減ります。

かかとの内側だけがすり減っている

1. かかとの内側だけがすり減っている

X脚や内股の人に多く、足の内側に重心がかかっているタイプです。足が内側に倒れ込むのを防ごうとして、太ももの外側が張ったり、骨盤が開きやすい傾向があります。

かかとの外側だけが目立ってすり減っている

2. かかとの外側だけが目立ってすり減っている

O脚の人やガニ股や男性に多く、足の外側に重心がかかっているタイプです。ひざの外側や股関節を痛めやすい傾向があります。

左右のかかとのすり減り方が均等でない

3. 左右のかかとのすり減り方が均等でない

片側だけ骨盤が開いていたり、足を引きずっていたり、歩いているとき両足に均等に力が入っていないタイプです。片側だけ減っているのは珍しくなく、負荷がかかっている側の足だけが痛くなったり、肩こりや頭痛などの原因になることもあります。

つま先だけがすり減っている

4. つま先だけがすり減っている

地面を蹴るように歩くなど、つま先に重心がかかっているタイプです。猫背になったり、腹筋が衰えてお腹がポッコリ出やすい傾向があります。

これができれば歩いても疲れなくなる!
正しい歩き方3つのポイント

重心をバランスポイントにかける正しい立ち方がわかったら、今度は正しい歩き方のコツをつかみましょう。正しい歩き方を会得すれば、ふくらはぎが自然に収縮と弛緩を繰り返すので、全身の血行がよくなります。また、ムダな筋力を使うことによる足への負担も軽減されるので、足が疲れにくくなります。

POINT1|つま先を進行方向に向ける

つま先を進行方向に向け、足の親指に力を入れ過ぎず、中指に意識を向けて歩きましょう。

つま先が進行方向を向いている

GOODつま先が進行方向を向いているのが正しい歩き方。

つま先が外側や内側に向いている

NGつま先が外側や内側に向いていると、足首も外側や内側に過度に倒れ、骨盤がゆがみ、股関節や膝に負担がかかって痛めやすくなります。

POINT2|膝を伸ばして、かかとで着地

足を下ろすときは、膝を曲げず、かかとから着地させましょう。それによって骨盤や膝、足首のねじれを防ぐことができます。

膝を伸ばし、かかとから着地する

GOOD膝を伸ばし、かかとから着地することで、歩幅が広がり、見た目にもバランスのとれた美しい歩き姿になります。

膝を曲げてつま先から着地する

NG膝を曲げてつま先から着地すると、重心が前にかかるので、膝や太ももに負担がかかります。猫背にもなりやすく、つんのめって前に転倒するリスクが高くなります。

POINT3|後ろ足のかかとを上げて、足の付け根を伸ばす

着地したとき、後ろ足のかかとを上げて、後ろ足の付け根(鼠径部)を伸ばします。それによって後ろ足のふくらはぎが収縮するので、血行やリンパの巡りがよくなります。

後ろ足のかかとを上げ、足の付け根を伸ばす

GOOD後ろ足のかかとを上げ、足の付け根を伸ばすと、足がスーッと長く見えます。力むことなく、自然と重心が前足のバランスポイントに移動し、次の一歩がスムーズに踏み出せます。

着地するとき、後ろ足のかかとが下がっている

NG着地するとき、後ろ足のかかとが下がっていると、足の付け根も十分に伸びず、次の一歩を踏み出すときによけいなエネルギーを使います。

屋内外で毎日300歩ウォーキングを続けよう!

ウォーキングは、屋外でも屋内でもかまいません。狭い室内なら、何度も往復しながら300歩カウントしてください。個人差はありますが、所要時間は5分間程度です。仕事や家事の合間でも、テレビを観ながらでもいいので、毎日続けることが大切です。はじめは多少違和感があったり、今まで使っていなかった筋肉を使うことで筋肉痛になるかもしれませんが、1カ月ほど続けると正しい歩き方が身に付きます。



まとめ

正しい歩き方を習慣化すると、時間もお金もかからず、日常的に歩くだけで健康増進に役立ちます。特にデスクワークなどで座っている時間が長い人は、1日5分のウォーキング習慣をぜひ実践してみてください。


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