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水戸黄門は元祖・健康オタクだった?! 〜「水戸 養命酒薬用ハーブ園」オープン〜

テレビドラマでおなじみの「水戸黄門」こと、徳川光圀。実はあの黄門様が、民間医療の先駆者だったってご存知ですか?今月は、医食同源を実行し、日本最古の家庭療法の本までプロデュースした、水戸黄門と医療の秘密に迫ります。黄門様ゆかりの地には、「水戸 養命酒薬用ハーブ園」も今春オープン。黄門様にまつわる薬草もご紹介します!


水戸黄門は「医食同源」を自ら実践!

野菜をがっつり食べる水戸黄門

「水戸黄門」の呼び名で知られる、水戸藩第二代藩主・徳川光圀(とくがわ みつくに:1628〜1700年)は、医学への関心が非常に高く、水戸藩の医学の礎を築きました。彼は日々の食事が病気予防につながるという思想「医食同源」を奨励し、自らも和食の基本である「一汁三菜」を基本に、季節の野菜を積極的に摂り入れていたといわれています。そして人生50年といわれた江戸時代に73歳の長寿をまっとうしました。


黄門様は薬草マニアだった?!

民間医療の普及に努めた黄門様は、方々の名医を水戸藩に招いて治療院を設置したり、内外のさまざまな薬の処方を集めた『奇方西山集(きほうせいざんしゅう)』を発刊しました。また、薬草研究にも非常に熱心でした。彼の伝記のひとつ『桃源遺事(とうげんいじ)』には、インド・ヒマラヤ原産の柑橘類「ブッシュカン(仏手柑)」や、地中海沿岸地方原産のハーブ「ルー(ヘンルーダ)」など、当時は珍しかった外国の植物を取り寄せていたという記載もあり、黄門様のマニアックさがうかがえます。

水戸黄門プロデュース!

日本最古の家庭療法本『救民妙薬』とは?

民衆思いだった黄門様は、貧しい民が病になっても医者にかかれず、薬も得られないのを気にかけていました。そこで彼は水戸藩の医師に命じて、身近で入手しやすい薬草の処方を紹介した家庭療法の本『救民妙薬(きゅうみんみょうやく)』を1693年に発刊しました。手に取りやすいコンパクトなサイズの本には、397もの薬草の処方をはじめ、旅に携帯すべき薬や、無病延命の方法なども紹介されていました。現代医学では効きそうにない処方も見受けられますが、江戸時代の知恵と、黄門様の民への思いやりがぎゅっと詰まったこの本は、当時の大ベストセラーになりました。

救民妙薬

『救民妙薬』

黄門様ゆかりのに地に新名所!?
水戸市植物公園に「水戸 養命酒薬用ハーブ園」が
オープン!

黄門様のお膝元の茨城県水戸市にある「水戸市植物公園」に、「水戸 養命酒薬用ハーブ園」が今春オープンしました。従来の薬草園に新たに約40種類のハーブを栽培しています。『救民妙薬』に登場する薬草も多数植えられているので、ぜひ足を運んでみてください!

養命酒薬用ハーブ園のイメージ写真
アカザなどが生い茂る、養命酒薬用ハーブ園のイメージ写真

触れて、香って、五感で楽しめる「水戸 養命酒薬用ハーブ園」は、薬草・生薬文化の継承を目的として水戸市との官民協働プロジェクトのシンボルとして開園。

みとちゃん、いばラッキー、ビンくん、ハコさんのいるハーブ園の写真

開園を記念して、水戸市のマスコット「みとちゃん」や、いきいき茨城ゆめ国体マスコットの「いばラッキー」、そして養命酒の人気キャラクター「ビンくん」と「ハコさん」も集合!

『救民妙薬』に登場する
夏の薬草たちを観察しよう!

「水戸 養命酒薬用ハーブ園」で、水戸黄門の時代に生薬として利用された薬草たちを観察してみましょう。夏に観察できる園内の薬草の一部をご紹介します。(*処方は『救民妙薬』に基づくものです)

黄門様の杖の正体は「アカザ」

杖をついて諸国漫遊する黄門様の姿は、テレビドラマの「水戸黄門」でもおなじみですね。実は、その杖の正体は「アカザ」の茎です!アカザは肥料が多いと人の背丈を越す草丈に成長するので、その茎を切って乾燥させ、木工パテやニスで加工すれば、丈夫な杖が作れます。

アカザ

アカザは「藜(レイ)」という生薬として、歯痛や虫刺されに処方されていました。

アカザで作った杖の写真

園内では、実際にアカザの杖をついて歩くことが出来ます。黄門様の気分が味わえるかも!?

痰の薬に用いられた「キキョウ」

キキョウの根には、去痰作用があるサポニンが含まれています。キキョウの根を用いた生薬の「桔梗(キキョウ)」は、痰を伴うせきや、のどの痛みの緩和に処方されていました。

キキョウ

葛根湯でおなじみの「クズ」

9月頃に開花するマメ科のクズ。花は「葛花(カッカ)」と呼ばれる生薬として、二日酔いに処方されていました。また、クズの根は、「葛根(カッコン)」の生薬名で知られ、風邪の引き始めに処方される「葛根湯」にも含まれています。

クズ

中毒や便秘に処方された「シソ」

シソの葉は「蘇葉(ソヨウ)」、実は「紫蘇子(シソシ)」の生薬名で知られています。蘇葉は風邪やのぼせ、魚やカニなどの中毒に処方され、紫蘇子はせきや便秘に処方されていました。シソ独特の香り成分に含まれるペリラアルデヒドには、強い抗菌作用があります。

シソ

忍冬や金銀花の生薬名を持つ「スイカズラ」

初夏に開花するスイカズラの葉や花は、「忍冬(ニンドウ)」や「金銀花(キンギンカ)」という生薬名で知られています。解熱や腫れもの、あせも、湿疹に処方されていました。

スイカズラ

寄生虫対策にも処方された「ハトムギ」

イネ科のハトムギの種子は、「ヨクイニン」という生薬名で知られ、美肌やおでき、滋養、利尿に処方されていました。『救民妙薬』には、「寄生虫の条虫(サナダムシ)」によって起こる病の薬としての処方も記載されています。

ハトムギ

「水戸 養命酒薬用ハーブ園」で各種ワークショップ開催!

「水戸 養命酒薬用ハーブ園」では、ハーブに関する各種ワークショップやイベントを毎月開催しています。また、園内の喫茶「フィオレンテ」では、季節の薬膳メニューが楽しめます。詳細はHPにてご確認ください。
http://www.mito-botanical-park.com/

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まとめ

水戸黄門は、テレビドラマでも民衆思いのキャラクターで知られていますが、こんなに地域医療に深く貢献していたとは驚きですね。この夏は、「水戸 養命酒薬用ハーブ園」で、黄門様が推奨した『救民妙薬』の薬草たちを、ぜひ間近に観察してみてください。



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