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その習慣、もしかしたら脳に悪いかも?!あなたの脳タイプをチェック!

体に良い習慣と悪い習慣があるように、脳にとっても良い習慣と悪い習慣があります。そこで今月の元気通信では、脳科学者の林成之博士の理論に基づき、普段何気なく行なっている“脳に悪い習慣”をチェックし、それを改善して、能力をアップする秘訣をご紹介します!

監修:林 成之(はやしなりゆき)先生

1939年富山県生まれ。日本大学医学部、同大学院医学研究科博士課程修了。1994年、日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に就任。日本大学医学部教授、マイアミ大学脳神経外科生涯臨床教授を経て、日本大学大学院総合科学研究科名誉教授に。『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎)、『脳の中の7人の侍—勝負に強くなる』(主婦の友社)など著書多数。



脳に悪い習慣は、脳の働きを劣化させる!

「えっ!まさか…?!」と思うような普段の何気ない習慣が、実は脳に悪影響を与えている場合があります。そのメカニズムの秘密とは?

受け取った情報の「好き・嫌い」が脳の働きに影響!

通常、私たちの脳は何か情報を受け取ると、まず「自己保存」の本能に従い、2つの方法で、自分の脳を守る反応を起こします。1つは「A10神経群(えーてんしんけいぐん)」と呼ばれる中枢で「好き・おもしろい」と感じて脳の働きを高める方法、もう1つは「嫌い・つまらない」と感じて脳の働きを止める方法です。

脳細胞と情報の活動のマッチング「同期発火」が重要!

A10神経群を経た情報は、次に、「前頭前野」に持ち込まれて判断・理解されます。その際、前頭葉の脳細胞の活動と、持ち込まれた情報の活動が、どれくらいマッチングするかという「同期発火」によって、その正当性を判断し、理解する仕組みになっています。

繰り返し考えることで新しい発想が生まれる!

「嫌い・つまらない」と感じる情報は、マイナスのレッテルが貼られているので、同期発火が起きにくく、理解し難く、覚えられません。一方、「なるほど!」と同期発火した情報は、「統一・一貫性」の本能によって、「これは筋が通っている!自分もやってみたい」という気持ちを起こす「自己報酬神経群」に伝えられます。それが「視床」や「海馬回・リンビック」を経て、自分の考えを生み出し、記憶につなげられていきます。この思考回路は、エンドレスに回る渦のような回路になっているので、繰り返し考えることで新しい発想が生まれます。

こうした脳の仕組みを理解したうえで、はたしてどれくらい頭が良くなる生き方をしているか…自分の脳習慣を早速チェックしてみましょう。

あなたの脳習慣をチェック!

次のチェックリストの中で、自分に当てはまるものにチェックを入れ、A〜Eがそれぞれ幾つあるか書き出してください。

A
  • check 興味がないことは避けたい
  • check 知ったかぶりをよくする
  • check 権威があるものに弱い
B
  • check 「疲れた」とよくグチをいう
  • check 感動することが少ない
  • check 笑うことが少ない
C
  • check 言われたことをコツコツこなす
  • check マニュアルがあると安心
  • check 「気合い」「がんばる」が口癖
D
  • check 常に効率を優先する
  • check 同じ本を何度も読まない
  • check 反論されるとカチンとくる
E
  • check やりたくないことでも我慢して取り組む
  • check 人やものの名前を覚えられない
  • check 勝負に負けてもあまり悔しくない

脳タイプ別診断——まさか「これ」が脳に悪い習慣だったとは!

A〜Eそれぞれの合計で1番多かったのが、あなたの脳タイプです。合計が同じものが複数ある人は、複数のタイプの特徴を併せ持っています。脳に悪い習慣を断ち切るには、まずどんなことが脳に悪いのかを自覚することが大切です。

Aが多い人は「無関心脳」タイプ

脳は「知りたい」と興味を持つことで発達します。日頃から興味がないことを避けたり、知ったかぶりをしていると、脳の神経伝達路が衰えて、考える力が衰えてしまいます。また、脳には生きていくために自分を守ろうとする「自己保存」と、正誤を判断して筋道を通す「統一・一貫性」の本能があり、自分の立場を守ろうとして権威や多数派に迎合することがあります。しかしそれが習慣化すると、脳にバイアスがかかり、思考停止に陥ってしまいます。

Bが多い人は「グチ脳」タイプ

仕事でも勉強でも最初から「嫌だ」と思うと、A10神経群でマイナスのレッテルが貼られてしまい、脳の理解力や思考力や記憶力にもマイナスの影響を与えます。また、自己保存のために「疲れた」「つまらない」というグチが口癖になっていると、A10神経群が否定的な言葉に反応するため、脳の働きにブレーキがかかります。さらに、A10神経群には感動や表情を司る「尾状核(びじょうかく)」があります。笑うことが少ない人は、脳の判断力や理解力が衰えます。

Cが多い人は「コツコツ脳」タイプ

前頭前野で理解・判断された情報は、「自己報酬神経群」へと向かいます。これを活性化するには、スピーディな決断・実行によって一気に達成する必要がありますが、言われたことをマニュアル通りにコツコツこなしているだけでは、変化が早い今の社会に対応できず、達成率や集中力のレベルも低いマイペース人間になります。また、「気合い」「がんばる」が口癖になっていると、脳は何をがんばればいいのかわからず、目標達成しなくても「がんばったからいい」と納得して、いつまでも結果が出せない悪循環に陥ります。

Dが多い人は「効率優先脳」タイプ

脳の神経回路には感情を含む中枢と、記憶機能に深く関わる回路があり、繰り返し緻密に考えたり検証したりすることで思考力や独創性が高まります。しかし、常に効率を優先する人は、繰り返し考えることや同じ本を何度も読むことをムダと考えがちです。このタイプの人は、行動・決断は早くても、新しい発想をすることが難しく、言われたことしかできない優等生になりがちです。自分の考えにだけこだわり、他人に反論されるとカチンとくるので、「自分を疑う」視点も低く、思考も深まりません。

Eが多い人は「我慢脳」タイプ

やりたくないことを我慢して取り組んでも身に付かないし、対象に興味がなければすぐに忘れてしまいます。なぜなら、何かを覚えるには前向きな気持ちがないと、A10神経群でプラスのレッテルが貼られず、自己報酬神経群も働かないので、記憶に結びつかないからです。また、「悔しい」という気持ちは、海馬回を働かせ、脳のポテンシャルを上げるスイッチになりますが、勝負に負けても「まあいいか」と思う人は、脳の力を十分に引き出せず、実力があっても発揮できません。

脳に悪い習慣を改善して、能力アップ!

自分の脳がどんなタイプかがわかったら、次は脳タイプ別にポイントを押さえて改善することで、理解力、判断力、集中力、記憶力、達成力、発想力など、さまざまな能力が向上します。

「無関心脳」タイプは、「知りたい」本能を磨く!

人の脳は「知りたい」と興味を持つことで発達します。「知りたい」という本能を磨くには、脳のパフォーマンスを落とす「興味がない」「つまらない」という否定語はタブーです。自分の守備範囲でないことに対しても「おもしろそう」と興味・関心の幅を広げ、前向きに臨むことで、習熟度や発想力がアップします。特に脳の構造が定まる前の4歳未満の幼児には、「ダメ」「やめなさい」といった否定語を極力使わず、興味を持たせることを優先しましょう。

「グチ脳」タイプは、「笑顔」と「感動」を大切にする!

「疲れた」「もうムリ」といったグチは、A10神経群がマイナスのレッテルを貼って脳の働きを落とすので、意識的に使わないことです。また、感動することは、判断力や理解力アップにつながるので、新しいものに触れたり、人の話を聞く時は、「へえ!」「すごいね」と感嘆語を発したり、気持ちを込めて会話する習慣を身につけましょう。A10神経群の尾状核は顔の表情筋とつながっているので、口角を上げて笑顔をつくるだけでも、脳の機能がアップします。

「コツコツ脳」タイプは、「目標130%」を目指す!

目標への達成率を上げるためには、言われたことをコツコツやるのではなく、ゴールを目指して一気に仕上げる姿勢が必要です。その際、「もうゴールだ」と安心すると脳の血流が落ちますが、「ここからが勝負」と気を引き締めると脳の血流が上がります。目標は高すぎると脳が「ムリ」と判断してしまいますが、人の能力は130%まで引き上げられるという実験データがあるので、「100%〜130%を目指す」という明確な目標を掲げて進むと、集中力が増して脳の達成率がアップします。

「効率優先脳」タイプは、「繰り返し」を嫌わない!

効率を優先する人は、まず、繰り返し=ムダという認識を改めましょう。何かアイデアを思いついても、そこで思考を止めず、ノートやブログに書いたり、人と会話して意見を聞いたりして、熟考、整理、検証、修正というプロセスを繰り返しましょう。それによって持論や先入観に捉われず、論理の矛盾やより深い意味性に気付くことができ、独創的な発想が可能になります。読書も量より質を重視して何度も熟読することで、高い理解力や応用力が身に付きます。

「我慢脳」タイプは、「前向き」に取り組もう!

ものごとを修得するには、我慢するというスタンスではなく、「これを覚えると自分の役に立つからしっかりやろう」という前向きな意欲や自発性をもって取り組む姿勢が不可欠です。そうすると学んだ情報にA10神経群でプラスのレッテルが貼られ、自己報酬神経群が働いて、情報が強くインプットされます。何かを覚える時は、名前や数字だけを暗記するより、声に出したり、対象のイメージを他の事物と関連付けるなど複数の情報を重ねると記憶力が高まります。


まとめ

自分が普段何気なくしていることが、意外にも脳に悪い習慣だったことに驚いたという方も多いのではないでしょうか?悪い習慣に気付くことは、改善するまたとないきっかけになります。今すぐ脳に悪い習慣を改めて、自分がもっている脳の機能をフルに発揮しましょう!



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