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脳の雑学

「頭の良いヒトは脳ミソのシワが多い」は本当?天才アインシュタインの脳スペックの秘密とは?人工知能AIがヒトの仕事を奪う?!今月は「脳」にまつわる雑学をお届け!


「頭の良いヒトは脳ミソのシワが多い」は本当?


「頭の良いヒトは、脳ミソのシワが多い」と昔からいわれますが、本当に脳のシワは頭の良さに影響しているのでしょうか?脳のシワは、正しくは「脳溝(のうこう)」といい、シワとシワで膨らんだところは「脳回(のうかい)」といいます。子どものころに「勉強してちょっとは脳ミソのシワを増やせ」といわれた人もいるかもしれませんが、脳溝は胎児の時に大脳が大きくなるにつれて形成され、「おぎゃあ」と生まれた段階で既にできあがっているので、生後はいくら勉強しても増えないそうです。

解剖学者の養老孟司さんは著書『バカの壁』の中で、脳のシワは「新聞紙を小さな箱に丸めて入れるのと同じ」と解説しています。つまり、一定の容量の頭蓋骨の中に脳を詰め込むためには、クシャクシャにして収める必要があるから必然的にシワになるだけで、シワの多さと頭のよしあしはまったく関係ないというわけです。
ちなみに、脳のシワを平らに伸ばしたとすると、風呂敷ぐらいに広がるという説から、テニスコートぐらいの広大な表面積になるという説まで諸説あります。ただ、実際にアイロンをかけてシワをピーンと伸ばせるものでもないので、真偽は定かではないようです。

天才アインシュタインの脳スペックのヒミツとは?


天才物理学者アルベルト・アインシュタイン博士は1955年に腹部大動脈瘤破裂により、76歳の生涯を閉じました。遺言では火葬にされたはずでしたが、脳だけは違いました。アメリカの医療施設で解剖したトーマス博士によって、自宅で密かに約40年間ホルマリン漬にして保管されていたのです。脳は研究のために240片に薄くスライスされ、複数の研究者の手に渡ったといわれ、その一部はアメリカのムター博物館で閲覧できるようです。
ちなみに、アインシュタインの脳の重さは1230gで、平均1400gよりも軽めのようですが、研究者の見立てでは、加齢に伴う色素沈着もなく脳の見た目年齢は若々しいそうです。神経細胞の数はごく平均的でしたが、神経伝達をスムーズにしたり、傷ついた神経細胞を速やかに修復する「グリア細胞」の比率が、ケタ外れに多いという特徴が見られたそう。 つまり、アインシュタインの脳は、高速道路や地下鉄が緻密に張りめぐらされた大都市の交通ネットワークのように、脳の活動が並外れて活発だったのです。
ただ、生前のアインシュタインは決して天才を鼻にかけることはなく「私は頭が良いわけではない。ただ人よりも長い時間、問題と向き合うようにしているだけ」「天才とは努力する凡才のこと」といった謙虚な言葉を数多く残しています。脳のスペックもさることながら、天才は努力なくしてはあり得ないということですね。

人工知能AIがヒトの仕事を奪う?!


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コンピュータが人間と同じような知能を持つ「人工知能=AI(Artificial Intelligence)」というと、ひと昔前まではSF映画や小説の世界の絵空事でしたが、近年はそれがぐっと現実味を増しています。グーグル社の創始者ラリー・ペイジ氏は、「20年後、望むと望まざるにかかわらず、人工知能の急激な進化によって、現在の仕事のほとんどは人工知能を持ったロボットが代行することになる。近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろう」という衝撃的な発言をしています。マイクロソフト創始者のビル・ゲイツ氏も「創造性を必要としない仕事は全てテクノロジーに代行される」と語っています。
さらに、オックスフォード大学のAI研究者マイケル・A・オズボーン准教授も、現在人間が行っている仕事の約半分は10 〜20年以内にコンピュータに奪われてなくなると予測しています。というと、まるで人が人工知能に脅かされるような印象を受けますが、人類は機械化や自動化によって作業効率が劇的に向上し、それよって空いた時間を、さらなる知恵や技術の発展に転化させることで進化してきたといえます。人工知能化が進むことによって、人類がより幸福な未来に向かうようにしていきたいですね。