HOME > 特集記事> 【2009年6月号】梅雨のカラダメンテナンス


梅雨のカラダメンテナンス


梅雨前線が北上し、やがて日本列島はすっぽりと梅雨に包まれます。そんなときこそ、カラダのメンテナンスが大切!健やかに過ごす秘訣をご紹介しましょう。


梅雨は「湿邪」の季節。起こりうるトラブルと対策


東洋医学には「湿邪(しつじゃ)」という言葉があります。体内に余計な水分(湿気)が溜まることにより、カラダに様々な悪影響がもたらされることを指します。カビやダニなども育ちやすく、健康も不安定になって「湿邪」に陥りがちな季節が、梅雨。起こりうるさまざまなトラブルと、予防や対応についてご紹介してみましょう。


呼吸器系のトラブル〜カビやダニをシャットアウト〜

冬に比べ、梅雨の時期に5倍も増えるといわれているのがカビです。空気中のカビを吸い込み、鼻水や咳などの症状が出たら要注意。カビ過敏症や過敏性肺炎などのリスクがあります。一方、ダニもアトピーをはじめ、さまざまな症状の原因となります。

【予防や対応】
まずなにより、お部屋の換気です。毎日の換気を心がけましょう。空気清浄機も有効。押入れや家具なども、週に1度くらいは開け放ち、扇風機を向けるなどして空気の転換を図りましょう。エアコンも「送風」を活用すること。窓を開けた状態で「送風」モードにすると、フィルターに付着した水分を取り除くことにもつながります。


消化器系のトラブル〜梅雨に気をつけたい食中毒〜

高温多湿で病原菌をはじめとしたさまざまな菌類が旺盛になる梅雨。気をつけたいのは、食事です。菌が付着した(つまり腐った)食品は腹痛、吐き気をもたらし、さらに怖い食中毒になってしまう可能性もあります。

【予防や対応】
まずは自らの手から雑菌がつかないよう、しっかり手洗いの習慣をつけること。また、調理器具にも菌が付着しやすいので、使ったあとはすぐに洗剤で洗うようにしましょう。ボールに水を貯めて洗うのは、再び菌が付着する可能性があるので避けたほうが賢明です。料理にはしっかり火を通すことも必須。
それでも万が一、食事後に嘔吐などの症状が出たら、すぐさま病院へ。「むくみ」であっても違和感を感じる場合は、O157の可能性があります。下痢の症状が出た場合は、水分をしっかり補給すること。下痢止めは、便で菌が排出されるのを妨げてしまいますので、医師の処方がなければ飲まないようにしてください。


肌のトラブル〜カラダもカビる!〜

梅雨といえばカビ。カビはお部屋だけに生じるものとは限りません。人間のカラダにもカビが生じることがあります。たとえば白癬菌というカビ。白癬菌は感染する部位によって名前が変わります。頭に感染すると「白雲(しらくも)」、手のひらや脚部に感染すると「田虫(たむし)」、そして一番ポピュラーなのが、足指に感染した際の「水虫」です。

【予防や対応】
なにより清潔に保つことが一番です。毎日の入浴は必須。水虫の場合は、ムレを防ぐために靴下をこまめに変えること、通気性のよい靴や五本指に分かれた靴下を履きましょう。感染したら(かゆいな、と思ったら)まず皮膚科へ行くこと。外用薬も多く市販されていますが、「かゆい=100%水虫」ではないため、自分で判断することは禁物。かぶれ症状なのに水虫薬を塗布していると、余計かぶれが悪化する可能性もあります。


心のトラブル〜心の中までジメジメ蔓延〜

しばらく太陽とはご無沙汰。雨ばかりだと誰もが気分が沈みがちになるものです。実際に、心に関する医療施設や相談窓口も、一年のうち梅雨時がもっとも混み合うともいわれています。さらに高湿度でカビの発生する住居に住む人は、うつ病のリスクが高まるといった統計報告もあります。

【予防や対応】
やはり「休む」こと。どうせ雨だし、有給休暇は梅雨が明けてから取りたいし・・・と考えて、休む行為を先延ばしにしていると、心の病に陥りがちです。連休を取って旅行に出かけてみてはいかがでしょう。「雨=嫌なもの」という発想を変えて、紫陽花が咲くお寺や苔がいきいきとした緑を発する枯山水のお寺、金沢や長崎といった「雨が似合う名所」などに出かけるのもおすすめですよ。水族館も心地良さそう。
それでも、気分が沈んでどうしても出かける気になれない、という場合は、お部屋の中でカラダを動かすこと。料理や掃除といった家事でも構いません。特にお掃除は部屋を清潔に保てるので、健康に対して一石二鳥です。

また、だるさや倦怠感を覚えた場合も同様です。おすすめなのは、寝る前に飲む薬酒。血の巡りを促し、倦怠感、疲労感を改善してくれます。


生活のTPO別・梅雨対策Q&A
お弁当持って会社に行くのはOK?

最近では、外食を控えてお弁当を持参して会社に行く方も増えていますよね。梅雨時は持っていくな、とは言いませんが、いくつか気をつけたい点があります。おかずには、野菜であっても生ものは避ける。水分の多いおかずも控えましょう。作り置きしたものや冷凍したものは一度しっかり温めなおしてから弁当へ入れること。わさびやショウガなど抗菌作用のあるものを入れてもよいでしょう。もちろん、作る際には手洗いをしっかりと!


食材は冷蔵庫に入れておけばOK?

食材を外に放っておくよりはもちろん安全ですが、過信しすぎは禁物。食材に付着した雑菌の多くは冷蔵庫に入れることで消滅するわけではなく、「繁殖しない」状況下になるだけ。つまり、眠っているような状態ですね。よって、冷蔵庫に入れた食材であっても調理時には十分過熱すること。また、冷蔵庫の機能に負担をかけないよう、冷めた状態で冷蔵庫に入れるようにすること、さらに冷蔵庫の中は2割程度、余裕を持たせておき、詰め込みすぎないようにしましょう。


洗濯物は部屋干しでもOK?

雨続きの梅雨ですから、部屋干しせざるを得ないことも多々あると思います。そこで気をつけたいのは、まず洗濯物同士の間隔をなるべく空けること。干しているお部屋は密室にせず、ドアを開けて扇風機を回すなどして換気することです。換気扇のあるお風呂場でもOK。そうそう、洗濯、脱水が終わったら洗濯機に長々と放置せず、すぐに取り出して干すことも大切ですよ。


冷えるから暖房つけてもOK?

基本的には好ましくありません。特に冷え性の方の場合、梅雨に冷え込む「梅雨寒」の日には、つい暖房を入れたくなるものですが、お部屋の暖かさはダニの繁殖を助けることに繋がります。寒いな、冷えたなと思ったら厚着をするなどして対応しましょう。


お部屋に植物を置くのはOK?



気分が沈みがちだから、植物の緑で癒されたい。そう思うことは間違いではありません。
ただし、鉢植えの土や水が雑菌を溜め込みやすい季節であることもまた事実。お水のあげすぎはカビ繁殖の原因にもなるので禁物です。
もし屋外でも育てられる植物であれば、外に出すのもひとつの方法です。とりわけお部屋の観葉植物は熱帯系植物が多いので、高温多湿な日本の梅雨は居心地が良いといえるでしょう。




湿度が高いから水分摂らなくてもOK?

いえいえ、その分、じっとりと汗をかくのが梅雨。しかも湿度のために汗が乾きにくく、不快な気持ちになりますよね。でも、汗をかくこと自体はむしろ良いこと。こまめに水分を摂り、汗として出す。梅雨の時期は、水を身体の中で循環させるよう心がけましょう。寝起き、寝る前にはコップ1杯の水がおすすめです。



カラダと住まいを心地よくするアイテム

カラダをメンテナンスする前段階として、住環境に対する気配りは欠かせません。昨今では、室内の空気汚染によって引き起こされる頭痛や呼吸器疾患などの総称「シックハウス症候群」という言葉もよく耳にします。梅雨を乗り切るカラダを作るための、さまざまなお部屋のアイテムをここでご紹介してみましょう。


清潔に保つと同時にエコ!「生ゴミ処理機」

とりわけ梅雨の時期は、生ゴミが異臭を放ちやすくなり、虫が発生する恐れもあります。なにより不快な匂いとともに暮らしたくはないですよね。そこで注目したい家電が、生ゴミ処理機。生ゴミの除菌・消臭もできる熱処理タイプや、微生物の力で生ゴミを分解するバイオ処理タイプなど、さまざまな処理機が市場に出回っています。処理した生ゴミは肥料としてリサイクルできる点も嬉しいところです。家庭から出るゴミの量も減るので、エコの観点からも注目されています。


お風呂のカビやまな板の除菌に!「スチームクリーナー」

高温の蒸気の力を利用したお掃除家電、スチームクリーナーも人気です。台所の換気扇など、しつこい油汚れに対して蒸気を吹き付けつつブラシでゴシゴシやると効果的。特に水回りのぬめりや、蛇口などのカビの汚れなどに効果が期待できます。

掃除機のようなホースつきのタイプは一般的に連続使用時間が長く、小型のハンディタイプは連続使用時間は短いものの、コンパクトゆえ取り回しやすいといえます。梅雨時に気になる、まな板の除菌にも活用できますよ。


日本古来の梅雨対策!「竹炭」

脱臭に浄水、そして除湿。竹を炭化させて作る竹炭は、日本の風土から生まれた優秀な生活補助アイテム。それゆえ、使い方も多種多様です。
まずは空気清浄。お部屋や玄関などに置いておくだけで消臭効果があり、さらにシックハウス症候群の原因物質のひとつとされる「ホルムアルデヒド」の吸着にも効果的といわれています。お部屋の湿度が高い時には湿気を取り込み、逆に湿度が低い時には水分を放出する湿度調整機能も見逃せません。

また、通気性のよい布などにくるんで冷蔵庫に入れておくと、消臭だけでなく野菜などの生鮮食品の鮮度を保つことにもつながります。